帰りのSTも終わり、帰ろうとしたときにクラスメイトから話しかけられた。どうやら呼ばれたらしい。荷物を持って廊下に出ると、案の定香港がいた。
「ういーす、アイス迎えに来た的な」
「香港…校門でいいっていったじゃん」
「アイスに会いたかった的な?」
「〜〜〜!いいから速く帰るよ」
僕の気も知らないで、香港は期待させる台詞ばっかり言う。
そう、僕は香港に恋をしているのだ。一目惚れだった。
知っている人がいない高校の入学式。隣の席が香港だった。話す人がいないし寝てしまおうと思ったとき、香港が話しかけてきたのだ。
「もしかして、アイスランド?」
その時の衝撃は今でも覚えている。
少し長い茶色みがかった黒髪、煙水晶のような目。目があったとき、キラキラと輝いた。その顔を見て、恋に落ちたのだ。
「おーい、起きろ的な」
「なんで、名前知ってるの」
「名札に書いてある的な」
やばい、焦りすぎて変なこと言ってしまった。
「で、なに?寝ようとしてたんだけど」
「んー、なんとなく?」
「なにそれ、意味わかんない。寝る」
「寝ないで的な、会話相手になってほしい感じ的な」
「…はぁ、知らない人しかいなくて暇だからいいよ」
「ありがとう的な」
先生が来るまで、色々なことを話して香港と仲良くなった。色んなことが知れて夢みたいだった。
「_______で、そこのクレープ…アイス、ちゃんと聞いて的な」
「…あ、ごめん。最近できた駅前のクレープ屋だよね。フルーツが沢山ついてる」
もちろん、サーチずみだ。香港と話したくて色々なことについて調べてるから、なにが流行かもわかる。前までは流行なんて気にしてなかったから、結構変わったって自分でも思う。
「そう!そこに行きたい的な」
「…駅前なら、帰り道に通るし良いよ」
「サンキュー!アイス様様的な?」
そう言って、笑う。
「ほら、早く行くよ」
照れた顔を見られたくなくて、速歩きで店に向かう。香港が何か言っているが、無視して歩く。
「アイス〜機嫌直して的な」
「ほら、ついたよ。写真撮るんでしょ?早く注文しないと」
「そうだった的な」
2人でメニューを見て考える。香港は一番人気のイチゴバナナかアイスイチゴかで悩んでるらしい。…恥ずかしいけど、やるか。
「イチゴバナナかアイスイチゴ…どっちにする的な…」
「…悩んでるなら、僕が片方買うから分ければいいんじゃない」
香港はその手があったか!と、顔に出ていた。
「うぅ〜アイスありがとう的な〜」
香港は抱きつこうとしてくる。
「ちょっと、やめてよ。早く注文しよ」
「うぃ〜」
2人でレジに向かうと、店員がなににするか聞いてきた。
「イチゴバナナとアイスイチゴで〜」
香港はそう言って店員にウインクする。店員の顔が少し赤くなる。苦い気持ちをぐっと堪える。僕にはそんなことしてくれないのに、なんで初対面の人に。
「お、お会計1000円になります」
香港はお金を出す。あれ、僕の分まで…
「え、自分の分は払うよ」
「今日、付き合ってくれたお礼的な」
「で、でも…」
「じゃあ、また今度アイスが奢って的な」
「うっ…それなら」
なんか丸め込まれてる気がするけど、また今度って約束ができたから気にしないでおこうかな。
「お待たせしました、イチゴバナナとアイスイチゴです」
「ありがとう的な。ほい、アイス」
香港からクレープをもらう。美味しそうで食べたいが、写真を撮らなくてはいけないので我慢する。
「あ、あのこのあと…」
店員が香港の予定を聞き出そうとする。それに香港は、僕を引っ張って腕の中に入れる。
「このあと予定あるんで」
「〜〜〜〜!ちょっと香港急にやめてよ!」
「急じゃなかったらいい的な?」
「…そ、それは言葉の綾で。って早く写真撮って食べようよ!」
「そうだった的な」
もう、僕の気も知らないで!
コメント
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ニヤケ止まらん萌えをどうもありがとう可愛いしんどい…日々の疲れが萌えで飛んでいって自分の体も地面に吹っ飛んでってブラジルに行き届いたわ