コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「兄さんにしてはかなりの大胆発言だな。それだけ彩葉さんのことを大事に思ってるんだな」
「ああ。俺にもようやく家族ができた」
「そうだな。兄さんには雪都までいて、いきなりパパだもんな。早く雪都にも会ってみたい。きっと可愛いんだろうな」
「ああ。雪都は俺に似てすごく可愛い」
「よく言うよ」
久しぶりの笑顔の再会。
照れながら微笑む慶都さんを、とても愛おしく思えた。
「慶都さんは、ずっと蓮さんのことを大切に思っていました。だから、今日、本当に嬉しいと思います。慶都さん、きっと照れて言わないだろうから、私が言いました」
蓮さんもニコッと笑った。
「兄さんの気持ち、今ならすごくよくわかるのに、あの頃の俺は……本当にバカだった。兄さんをずっと尊敬してたのに、信じてやれなかった」
蓮さん……
「ごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃないんです」
「もちろんわかってます。でも……」
「もういいんだ。過去のことは何も気にしなくていい」
「いや、ちゃんと謝らせてくれ。これは俺のためでもあるから。本当に申し訳なかった。兄さん……ごめん」
蓮さんは頭を下げ、そして、続けた。
「でも、今この幸せがあるのは、あの時のことがあったおかげだから……全部意味があったんだと思うようにしてる」
「蓮……」
「美咲と海の見える場所で小さな店をしてるんだけど、そんな幸せが待ってるなんてあの頃は思いもしなかった。だから、兄さんには感謝してるんだ。兄さんを苦しめておいて変かも知れないけど、今、俺は……本当に幸せだから」
「蓮。過去のことなんかもうどうでもいい。全部忘れればいいんだ。俺は、お前が幸せならそれが何より嬉しい」
あまりにも素敵な兄弟の絆。
この先、何があっても家族として支え合っていけるよね。
「ありがとう。俺も兄さんが幸せなら嬉しいよ。いつかみんなで俺達の店に来てほしい。自作のアロマや香水なんかの販売をしてるから、ぜひ、彩葉さんにも見てもらいたいです」
「もちろんです、ぜひ。嬉しいです」
「一堂化粧品さんほど立派な品は作れませんが、美咲がパッケージデザインをしてくれて、結構人気なんですよ」
「いえいえ。お2人が作っているものには、きっととてつもない愛情が込められてるんですよね。本当に素敵です。早く見にいきたいです。ね、慶都さん」
「ああ、行くよ。蓮が作った香水なら、間違いないな。俺もつけてみたい」
「兄さんをイメージしたのを作っておくよ。必ず……来てくれ」
「楽しみにしておく」
耳に届く波の音、星が瞬く空、優しく吹き抜ける風……
こんな夜に最高の出会いを果たした慶都さん。
私は、あなたのためなら何でもしてあげたい。
愛おしくてたまらないよ……
「さあ、ホテルに戻ろう」
私達はみんなでゆっくりと歩きながらホテルに向かい、蓮さんと美咲さんも部屋に入った。
そして、私達も、スイートルームで2人だけの時間を過ごした。
甘い甘い大人の夜を……