シャッター音が、部屋に響く。俺の目の前には――両膝を開き、ベッドに手をついて体を支える紫崎或間。
🍍「……そう、そのまま……いいですね。」
口から出るのは、プロとしての冷静な指示。
けれど。
🍍(やばい、やばい、やばい……!)
心臓が爆発しそうだった。
光に照らされる鎖骨、伏せた睫毛、指先に入る緊張の力――全部が、俺の欲望を正確に撃ち抜いてくる。
🍍(こんなの……“写真”としてじゃない。ただの俺の妄想じゃないか。)
ファインダー越しに彼を覗き込むたび、理性が削られていく。
仕事だから、ポーズだから、と自分に言い訳して。
でもその奥で叫んでいる。
――欲しい。
――この姿を、俺だけのものにしたい。
🍍「……は、ぁ……」
気づけば、シャッターを押す指先が震えていた。
或間がふと顔を上げる。
🧸「……那津さん?」
🍍「だ、大丈夫です! すごく……いいです、その表情!」
慌てて笑顔を作る俺。
けれど、胸の内は隠しきれない。
🍍(駄目だ。こんなの、ただの職業写真家じゃない。
俺は……紫崎或間に、完全に恋をしてる。)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!