「ねえ、美華(みか)起きないけど。」
美しい男が3人ほど、真っ黒なシーツを囲んでいる。
チュッ
そのうちの一人がベットで眠っている女に軽いキスをした。
「そんなんじゃ、起きないだろ。」
またも、もう一人の男が呟いた。
「そこどけ。」
男は周りの男をどかすと女にかがんで「起きろ。」と、とびっきりの甘い声で囁いた。
Side美華
雨兄ぃ(ぐれ)の声がして、目が覚めたら、いつもどおりの光景。
「あっ起きた。 おはよ美華。」
彼らは私の兄だ。いつもこうやって起こしに来る。
雨兄ぃとは橘 時雨(たちばな しぐれ)私は昔から雨兄ぃと呼んでいる。
黒髪に漆黒に瞳で私は、雨兄ぃとそっくりだとよく、言われる。
ちょっと、俺様だけどとても頼りになる。
「美華、それにしてもシンプルな下着だね」
彼は橘 蓮斗(たちばな れんと)蓮兄ぃと呼んでいる。
黒髪の長髪の深い青色の瞳をしている。
紳士的で優しいが怒らせると怖い。
「美華、学校行かなくていいの?」
橘 律(たちばな りつ)律兄ぃと呼んでいる。
黒髪にワックスを程よくかけて、銀色の瞳をしている。
普段無口で冷たそうに見えるけど実は優しい。
は? っていうか学校!?
私はいわゆる不登校というもので、前の学校の校長がむかついたから、ぶん殴って退学になった。
そんな私に、学校に行けというのか。
「なんで学校?」
訳が分からない。
「え?言ってなかったけ。今日から俺たち、用事があってこの家に帰ってこれないから。」
疑問に思ったことを聞いてみたら、律兄ぃが答えてくれた。
「でも、なんかあったら、ぶっ倒すし、大丈夫だよ。逆に、私がいたほうがいいんじゃない?」
この家は、いわゆる世界トップの橘組の家で雨兄ぃが若頭を務めている。
世界トップと言ってもバカな組の奴らは、たまに攻めてきたりする。
それに私は小さいころ頃から狙われたりすることも多かったから、護身術として、空手や柔道など身につけている。
「バカだな~美華は。逆だろ逆。この組よりも美華のほうが大事に決まってるだろ。」
なっ!! バカって言った!!雨兄ぃにバカって言われた!!
「つまり、美華にはあまり喧嘩はしてほしくないんだよ。」
蓮兄ぃがフォローしてるけど、私の耳には届かない。ゴッ!!!
「・・・・っ!!!」
フンっしかいしだ。雨兄ぃが、バカって言ったのが悪い。
今の状況を説明すると、いわゆる私がむかついたから、雨兄ぃの腹を殴ってやったのだ。
「うわ痛そ。美華のこぶしは結構きくからな。」
律兄ぃが憐れんでいるけど、関係ない。
「おまっ!!本気で殴ったろ!?」
雨兄ぃがお腹を押さえながら、訴えてくる。
「雨兄ぃがバカって言ったからじゃん。」
組より、美華のほうが大事だって言ってくれたのは、少しだけ。
ほんの少しだけ嬉しいって思ったのは内緒だ。
「そこじゃねえだろ・・・まあいいや。」
いいんかい。だったら初めから訴えるな。
って、学校!!
今何時!?
勢いよく時計を見たら8時15分だった。
もう遅刻じゃん。
学校なら、もっと早く起こしてよ。
「ねえ、どこの学校?」
さっきから、気になっていたことを聞く。
「ああ。桜ヶ丘高校に行ってもらうよ。」
蓮兄ぃが答えてくれた。
「美華もさっさと学校行ったほうがいいよ編入初日から、遅刻はまずいからね。」
もう遅刻でしょ。
「まだ間に合うだろ。車とばせば。」
おいおい。やめろよ。
「なに腑に落ちない顔してんだ?俺が運転したら、問題あるのか。」
問題大有りだよ!!雨兄ぃの運転は荒いから嫌なんだ。
またサツに追いかけられたら面倒なことになる。
「律兄ぃ、運転して」
律兄ぃなら安全運転で無事、学校までたどりつけるだろう。
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