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2025年08月07日

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※タグの意味がわからない方は閲覧をご遠慮ください。

本作は、お名前をお借りした二次創作であり、実在の人物・団体とは一切関係ございません。

新参者で設定やキャラクターの口調などに違和感がある場合がございます。あらかじめご了承いただけますと幸いです。

nmmn作品を扱うのは今回が初めてのため、至らぬ点がございましたらご指摘いただけますと幸いです。














・     ・     ・
















空は、まるで誰かがスカイブルーの絵の具で上書きしたように澄んでいた。

だがその静けさを裂くように、今日も銃声が鳴る。


地面を這うような濁った音が、どこからか響いてくる。それはもう赤ではなく、錆びた何かの色だった。







カランカラン、と艶やかな音が響いた。

この時間はあまり人が来ない。ちらりと目をやるとそこにはよく見知ったコーラピンクの頭があった。


「お! セラ夫! 久しぶり!」



日差しを受けた赤毛は、どこか乾いて見えた。以前の艶やかさはなく、光の中で少しだけ軋むように揺れている。


「雲雀、コーヒーちょうだい」


彼はいつもと変わら場所に腰を下ろし、変わらぬ声で注文する。それが逆に、不自然だった。


「了解〜。今日のはちょっと濃いめかも。眠気とか吹っ飛ぶやつ!」


雲雀はにかっと笑って奥へ引っ込み、豆を挽く音が店内に響く。

けれどその間も、目はカウンターの端を、彼──セラフの背中を、ちらちらと捉えていた。


「セラ夫その服暑くねぇ?今日けっこう気温高いべ」

上から下に目をやると今日のセラフの服は季節外れで何処か違和感を感じる。


「…そうか?」


いつもなら半袖で来るこの季節。なのに今日は、襟のある長袖シャツにジャケットまで羽織っている。

動きも、どこかぎこちない…気がする。


コーヒーを出そうとした手を引っ込め言葉を発する。


「……なぁ、セラ夫なんか無理してね?」


セラフは一瞬だけ目をそらす。

雲雀はそれ以上何も言わず、さっき引っ込めたコーヒーカップをそっと差し出した。


「まー、とりあえず飲みなね!話はそれからでもいいからさ」


俺の言葉にこくりと小さく頷いたセラ夫がカップを持ち上げる──そのとき。

微かに手が震えているのが見えた。


「……なぁセラ」


スッと目を細め、 先ほどまでとは違う声色を帯びる。


「やっぱ、どっか痛いやろ」


ほんの一瞬、セラフのまつ毛が揺れた。

沈黙のまま、口元まで運んだカップを持つその手がふと目に入る。そんな何気ない仕草ひとつにもどこか気品が漂っていて惹きつけられる。

すらりと長い指。動きはしなやかで、どこか丁寧だ。 けれど、皮膚の下に微かに残る痕がちらついている。



「……バレてんのか」

セラフの声はかすかに滲んでいた。彼はそれを隠すように、静かにカップをソーサーの上へ戻す。


雲雀は肩をすくめて、くすりと笑った。

「うん、最初っからね」


ふはっとため息のような笑いが漏れると同時に艶を失った髪ががふわりと揺れる。

「相変わらず、そういうのだけは鋭いよな雲雀は」


セラフが言葉口にしたと同時に、隣の席に腰を下ろした。


張りつめていた気配がほどけたのか、丹唇

がゆっくりと開いた。

「……肩、かすっただけ。思ったより浅いよ。でも、ちょっと止血が甘かったかも、」


なぜ言わなかったのか、その理由を知りたくて、静かに言葉を向けた。

「いつ? 今日?」


「うん、さっき。向こうからの挨拶みたいなもんだ」


(挨拶ねぇ……)

頬杖をつきながら目を細める。少しだけ間を置いてから、

「…で、本当は?」


そう問いかけた俺に、切れ長の明眸が大きく開いている。

何かを読み取ったのか、それとも、読まれたことに動揺したのか──。


「……どこまで見えてんだよ」


低く、乾いた声だった。


「入ってきたときから、顔色も声も違ってた。」


「……」


「目が泳いでたし、歩き方も変だった。コーヒー、手が震えてるし」


寧ろ、隠そうとしていたことに、心のどこかで不安が広がった。

――自分は、それほどまでに頼りにならない存在なのか。

セラフはゆっくりと背もたれに体を預けると、片手で前髪をかき上げた。指先が額をなぞるたび、乾いた髪がさらりと揺れる。

伏し目がちのまま、無造作に流したその仕草に、なぜか視線が引き寄せられる。


「あー……なんか、ひばりに負けた気分」


「別に勝ち負けじゃないやろ」


「いや、負けだよぉ。せめて“元気なふり”くらいは完璧にやりきったつもりだったのに」


俺はなにも言わず、セラフの美腕に眼差しを向ける。


「……肩の上、貫通しかけた。あと太腿……反撃はしたけど、逃げきるので精一杯だった」


「誰にやられたの?」


「昔のツテ。もう消えたはずの名前だったのに。忘れてた頃に、急に来た」


ぽつぽつと、セラフの口から影の断片こぼれていく。

それはどれも、血のにじむような過去で、口にすればするほど苦しくなるもののはずなのに──


俺が黙ってそばにいるだけで、彼はちゃんと話してくれる。


「……こっちに来るなって、思ってたんだ、。雲雀達には、関係ないって」

夕暮れの様に赤く染まった瞳に、青空の透明さが映り込んでいた。

激情と冷静が共存するその視線に、思わず息を呑む。 まっすぐと俺を映していた。


「でも、勝手に足が向いた」


「それでいいじゃん」

ほんの少しでも頼りに、信頼されているのかと思うと、胸がふわりと浮いたようだった。


「……よくないよ」

セラフは項垂れて、悟った様に顔を伏せている。


雲雀は軽く笑って返すと、セラフの目がほんの少しだけ、やわらいだ気がした。


「ここは、おまえらの場所だろ。……なのに、俺が来ると汚しそうでさ」


「じゃあ」


そっと、セラフの手の甲に自分の手を重ねる。


傷の残るその手は、細くてしなやかで、なのに戦いの痕が色濃く刻まれていた。

それでも、雲雀はためらわず触れる。そうすることで、彼の中に巣くう何かを、ほんの少しでも和らげたかった。


「じゃあさ、もう汚いとか、関係ないとか、言わんでよ」


セラフは目を伏せた。

睫毛がわずかに揺れて、紅い光がカップの縁できらめく。


「……ひばり、ほんと変わんないね」

無邪気な微笑み。ああ、俺はずっとこの笑顔を待っていたんだ。


「よく言われる」


冗談めかして返すと、セラフがかすかに息をもらした。

笑ったのか、呆れたのか、その境目が曖昧な、弱い音だった。


「……ありがとな、雲雀」


ぽつりと、吐き出すように紡がれた声。

それを、雲雀はただ静かに受け止める。


「いいよ。……また来て」


その言葉に、セラフはようやく顔を上げた。

赤と青の瞳が、今度は少しだけ光を取り戻していた。



「まぁ、このことはちゃんとアキラと奏斗に報告するからな!」

彼がそれほどの怪我を隠していたことは、アキラと奏斗に伝えるべきだ。


「えっ!それは聞いてない!」

セラフは椅子を勢いよく蹴るように立ち上がった。焦りと戸惑いを隠そうにも、表情がそれを許してくれない。


「心配かけんなよな。おれもセラ夫のこと、心配でさ、もうほっとけねーよ。」


そう言うとセラ夫の耳が少しだけ赤くなった気がしたが、気づかないふりをしてみた。





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