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突然の告白だったのだ。困惑するのも無理は無い。
「えっと…。好きって、そういう好きってこと…?」
か細い声を絞り出し、やっとの思いで聞いた。
「はい。俺、ずっと先輩のこと…見てたんです。話しかけられるタイミングとか考えて…。キモイですか…?」
「あっ、えっと、別にそうは思ってないけど、突然のことにびっくりしたって言うか…。」
手首は掴まれたままで、内心心臓はバクバクしている。
「…返事ください。3日、3日待ちます。」
上目遣いで頼まれたのだ。〝先輩〟としては断れない。
「うん…じゃあ分かった。3日で考えてくる。ちょうど部活あるし。」
翔はニコッと微笑み、
「絶対ですよ。」
と言った。何故か怖く感じられて、頷くことしか出来なかった。
「また、3日後に。さよなら。」
手を振られ、別れる。紗奈も小さく手を振り返した。
家に着くと、直ぐに部屋着に着替え、ベッドに飛び込んだ。まさかあんなことを言われるとは。枕に顔を擦り、悶える。とにかく、どうしよう。まだ自分にとって後輩にしか感じられない上、告白された時にほんの少し恐怖も感じてしまったのだ。
「はぁ、どうしよ…。」
ため息をついてから、うつ伏せになり、スマホを手に取る。こんな時は、幼馴染グループに聞くのが1番だ。
「一旦、瑠璃に聞いてみよう。」
メールアプリを開き、瑠璃のアイコンをタップする。今朝までメールをし合うほど、仲が良い。
【瑠璃、もう帰った?】送信。
ふうっ、とため息をつき、スマホを伏せる。今日あったことなのか、考える時間が必要そうだ。すぐに、ブブッとスマホは振動する。
【帰ってるよ〜。どーした?珍しいじゃん。帰ってから直ぐにメールくれるなんて。】
いつもの瑠璃にほっとしながら、メールを書く。
【後輩で翔っているでしょ?】
【あーいるね。そういえば今日一緒に帰ってるところ見たけど。】
見られてたんだ、と思い、少しだけ話そうか迷う。
【あのね、あんまり驚かないで欲しいんだけど…。】
心拍数は運動後のように早い。告白というものは人に言ってもいいものなのだろうか。そもそも、これがドッキリであったら、後輩も、私も恥をかいてしまうのではないかと思った。躊躇ってから、
【告白されたんだよね、その後輩から。】送信。
ドキドキしている。どう返信が帰ってくるか。もしこれが嘘であった場合、私だけ浮かれているように見えてしまう。送ったことに少々後悔しながら、返信を待つ。