テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
力を入れて開けたドアから、光が差し込み、やがて私は青空に照らされることになった。
完璧にセットされたヘアスタイル。早起きをしたといういつもの過去。だからかいつも私の目の下は少しだけ黒くなっている。でも、光に照らされた私には、そんな色なんて無かった。
満員電車。見慣れた店、家、人、場所、形。皆の不快感が伝わってくる。でも私だけは、いつも輝いている。こんなに眠たいのに、楽しみで仕方がない
少し大きく揺れ、乗員が左へ角度を付け、それと合わせるように私も左へ傾いた。
電車におり、走って学校へ向かう。
「凪咲!!おはよ!!!」
机に顔を伏せていた凪咲は、私の音波を感じた0.3秒後、ピンク髪が揺れ動いた。
「天野さん、おはよ」
「今日も早いね!そこも好き!」
「あはは、ありがと」
凪咲はいつも朝早くからいることが多い。
朝の教室が好きだとか。
だから私はいつも2番目に来る。ここだけ、今だけ、2人だけの世界になる。それが心地いい。
私と凪咲は朝と下校以外の関わりはあまりない。凪咲は人と関わるのには余りにも消極的で、周りが遠慮しているのだ。だが決して、人見知りでも根か腐ってるなど、凪咲に問題があるわけではない。本人がその環境を望んでいるのだ。
だから私は、帰るまで他のグループと喋っている。
ああ、
今日も楽しかった!また早く明日が来ないかな!!
凪咲と他愛のない会話を帰りの電車でして、お別れの時が来た。私が先に電車を降りるため、いつも寂しく空いた私の座っていた所をみることになる。その場所が、永遠に私でありますように。電車が消えるまで見送って、夕暮れに照らされるアスファルトを眺めながら人気の少ない河川敷を歩く。
「ただいま〜、…」
誰もいない閑散とした空間に私の声が響いた。
スマホをすこし眺めた後、
机の上にある紙に視線を向ける。
『一週間彼氏と旅行に行きます。
お金は貯金から出してください』
母は離婚した後、新しい父親を探すのに夢中になっている。鈍感な母は、周りから見れば若く見えて、華やかな印象を受ける。母は私を信用しているようで、貯金箱の番号まで私に教えていて、そこから私は化粧用品や食事を買っていた。
「まったく…私が強盗だったらどうすんだ」
家庭環境はいいとは言えないけど、私は幸せだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝、いつものように学校に着き教室のドアを開けようとするが、開けることは出来なかった。
「凪咲………?」
今日は凪咲が学校に来なかった。……そうだよね、1年に1回ぐらいはいなくてもいい。…でも、凪咲がいない今日なんて、ゴミだ。
「つまんなーい…」
「それな〜…ってそっか、今日清水さん居ないもんねー」
「死んじゃいそぉ………」
電車に揺られ、凹んでいない隣の椅子のクッションを見て、感傷的になる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「………」
「はぁ〜〜〜……………………」
オレンジに光る青い空が、憎らしく思えた。
「………あれ…?」
凪咲だ。
「……………………」
凪咲とは電車で別れるため、ここにいることは本来ない。
「凪咲………って、」
「な、…………どうしたの………………??」
「ど、どうしてそんなに…………え……??」
私の目に映る凪咲は、空よりも鮮やかに、そのまま陰に溶けてしまいそうな人に陥っていた。学校に来ていないのに制服で、服からはみ出た傷が痛々しく、絶対に何かがあったのだと悟る。
「天野さん………」
「な、なに…、?」
「美咲の事好きなんだよね…?」
「み、美咲……?」
誰のことだろうか。実は本当の名前は美咲だったとか…?いや、それは現実的じゃない。帰りから今日学校に来るまで…何かがあった……
誰かに何かをされたのだろうか…その仮定なら、恐らくその誰かと凪咲は何かしら縁のある関係で、そいつに何かをされた、私はそう考え納得させ、心を静める。
「……………」
凪咲は私の返事を待っていた
ーーー嫌な予感がした。
「……………うん、大好きだよ」
「私のいうこと、聞いてくれる、?」
「う、うん」
「うふふ、優しいね、そのことば、信用するから」
「……うん」
「………あのね、」
「…………うん、」
「私を、殺して?」
「…………………」
「……………」
「…………………………」
「分かった」
これが愛なら、私は喜んで伝えよう。
…………………泣いちゃ、だめだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だんだん青くなっていく空の風に当たりながら、
私は見つめ合う
薄いピンク髪が赤い血とマッチしていて可愛い
と思うその反面、先に獲られたことに腹が立つ。
「う”、……………………が、………」
「…、……………」
「…………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………………」
「は」
「あは、…………あ、はは…ひゅ」
「えへ、………………は………あ…………」
「……………………………………………」
「……………………………………………………………」
「………………………………………………………」
「…………………………………………………………………」
「…………………うぅ…っ」
「ううぅぅぅぅうぅぅぅぅ………………」
「ううう〜〜〜〜〜………………………」
酷い顔、これはどっちにも言える。
さっきまで生きていた物。絶命まで思ったより力が必要で時間がかかったため、
別れの実感がわかなかった。
「〜っう、……………うう…、………」
ぎゅっと凪咲を抱きしめる。重くて、動かなくて、ぶら下がっていて、静かで、周りの音が聞こえる。
ふらふらと暗闇を歩く。気づいたら家にいて、凪咲の断片らしきものを握っている。
とにかく忘れたくて、睡眠剤を飲んだ。
持ち帰った凪咲から段々と悪臭と血がにじめ始めて、自分の服につく。
初めて凪咲とハグをした。
初めてだが、彼女は重かった。
私はあの時から興奮に襲われていた。
これが理性が飛ぶというやつなのだろうか。
アドレナリンに埋め尽くされていた。
思考より大きな魅惑が私に覆いかぶさっていた
のに、どこか冷静な私が少し離れたところで見ていて、当の私は猛獣だった。
前が見えないのに、吐き気は止まらない
心臓の音はよく聞こえるのに、
生きた心地はしない
考えるのが嫌になっても、考えは収まらなくて、私は大量の睡眠薬を口に入れた。
こんなの
最悪だ、