「おい!それこっちに運んで来い!」
『はい!』
僕は、物心がついた時から働いている。
なのに、僕と同い年だと思う子は、母親と一緒に遊んでいる。
(僕に…家族はいるのか…?)
(自由はあるのか…?)
「何をぼけっとしている!早く運べ!」
『すみません…』
「お前はいつ無能から育つんだ!」
『ごめんなさい…』
次のご主人様の取引先が居るナタへと入って行った。
取引が終わり…
「お前は足手纏いだから置いていく。」
『へ…?』
『ご主人様、僕何でもします!どんな命令でも受け入れます!』
『…だから…』
『置いて、いかないで…』
「駄目だ。」
「努力したって、お前なんかじゃ無意味だ。」
「じゃあな」
『待って!』
無情にも、ご主人様達は荷物を持って去って行った。
『あ…』
『これから…どうしよう…』
しばらく歩いていると、小さな龍を発見した。
「キュゥゥ…」(置いて…行かないでよ…)
『誰かに、置いてかれたのか…』
『少ししか無いけど、あげるよ。』
道中で拾った木の実をあげる。
「キュ?」(なにこれ?)
モグモグ…
「キュッ!キュッ!」(ありがとう!親切な人!)
「キューキュ?」(名前なぁに?)
『僕はね、ナレアって言うんだ。』
「キュ〜…」(ナレア…)
「キュキュッ…」(僕には名前が無いんだ…)
「キュキュキュ!」(だから、ナレアがつけて欲しいな!)
『名前か…』
『う〜ん…』
『ユムっていうのは?』
「キュッ!」(気に入った!)
「キュイ!」(僕の名前は、ユムだ!)
「キュキュ!」(よろしくね!ナレア!)
『うん。よろしく。ユム。』
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