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前回の続きです!
相変わらず口調迷子ですみません。
それでは!
※注意
死ネタあり
……これで、二人は大丈夫。後は太宰だけだ。
中「けど俺が汚濁使うんだったら、何か頑丈な隠れ家でもねえと……。」
太「あぁ、それなら丁度あそこにシェルターがあるよ。」
……あぁ、本当、”丁度いい”。
太「……中也?」
中「ん?あぁ、何でもねえよ。じゃぁ手前らは、あそこのシェルターに入っててもらえるか。」
芥敦「えっ?あ、はい……。」
敦「あの、どうしてですか?」
太「死ぬからだよ。」
敦「はい?」
太「汚濁状態の中也は目に入ったら殺そうとしてくるから、視界に入らない方がいい。あぁ、因みに君達じゃ攻撃を避けることすら出来ないと思うよ。」
敦「……なるほど。分かりました。」
シェルターに移動すると、さりげなく電源を確認する。どうやら外からしか扉の開閉が出来ないようになっているみたいだ。良かった。
…….にしてもじめじめした嫌な場所だ。可哀想だが、仕方ない。せめて森さんに連絡を入れて、三十分後くらいには出して貰えるようにしておこう。
芥「お二人共、どうかご無事で。」
敦「生きて帰って来て下さい。」
二人の心配そうな顔が見える。……もしその言葉が叶わないものだと知ったら、どんな顔をするんだろうか。
太「当たり前でしょ。」
何も知らない太宰はそう言って扉を閉めるボタンを押す。
今だ。
太「え」
太宰の背中を思い切り押す。
太宰が腑抜けた声を出して奥の方まで吹き飛ぶ。
「いったぁ」と呻きながら蹲っている。
一体あいつは今どんな顔をしているのだろうか。
……どうせなら最後くらいクソ太宰の間抜け面を拝んでやればよかった。
ゴウン……と音を立ててどんどん扉が閉まっていく。
暗くてよく見えないが、此方に走ってきているのだろう足音が聞こえる。
今の状況を即座に判断したのだろうか。
俺の名前をを何度も叫ぶクソ太宰の声が聞こえる。
「待って」と懇願する切ない、今にも泣き出しそうな声がシェルターに響く。
……ごめんな太宰。
お前に言いたいことは山ほどある。
でもそれ以上に、大切なことが俺にはあった。
守らなきゃいけねぇんだ。
織田との約束を。
手前は知らなかったかもしれないが、織田とは月に一回程飲みに行く仲だったんだ。
一度、「死ぬ時にどんなことを願うか」という話題になった時。
「太宰に、人を救う側に、なって欲しい。彼は、とても優秀だ。でも同時に、何もない世界に生きる、孤独な子供だ。彼は、生きる事に、何の価値も見出していない。ならば、せめて……。……中也、重いことを頼んでしまうけれど、大宰のことを頼んだ。一番側に居るのは、きっと、君だろうから。」
もし俺が、汚辱を使っても敵を倒せなかったら。
応援を呼ぶのは無理だから、手前が敵を殺さなきゃならなくなる。
それは駄目だ。
……まあでも手前にも一応、世話になったなァ。
太「中也!」
中「じゃあな。……ありがとう。」
扉が閉まる。
これでいいんだ。
もう何も思い残すことは無くなった。
ビルの前に立つ。
俺を解放する言葉を唱える。
中「……汝、陰鬱なる汚辱の許容よ、改めて我を目覚ますことなかれ……」
段々意識が薄れていく―――――
???「也、ちゅ也、中也、中也!」
……声が、聞こえる。
重い瞼を無理矢理持ち上げ、うっすらと目を開ける。
真上に太宰の顔があった。
太「中也⁉」
芥「中也さん⁉」
敦「中也さん!」
三人の声がする。
中「な、んで、」
何で。
何で手前らが出てきてる?
何で俺は生きてる?
……何で、手前らは泣いてる?
芥川、手前、そんなに感情を露わにしてるとこ見たの今が初めてだよ。
敦なんて、関わったのはこの数日間だけだろ?
なのにどうして俺が死ぬだけのことに涙を流せる?
それに。
なぁ太宰、手前は俺のことが嫌いだろ?
お前が嫌悪する人間が死ぬんだぞ?
喜べよ。笑えよ。
……そんな顔ぐしゃぐしゃにして泣くなよ。
俺の名前を何度も呼ぶなよ。
太「ねぇ、中也、頑張って。今、与謝野さんを呼んだから。それまで頑張って。ね、中也。」
……どうやらそれは無理そうだ。
なんとなく、自分がこれから死ぬことが分かった。妙な感覚だ。
……そういえば一つ、太宰に伝え忘れていたことがあった。
ずっと、言いそびれていた言葉だ。
俺が言う覚悟を決める前に、手前はポートマフィアを、俺を、裏切ったから。
中「だざ、」ゴポッ
無理に喋ろうとしたせいで口から血が溢れる。
三人が辛そうに顔を歪ませる。
太「中也、もういい。もういいから。」
良くない。言わない訳にはいかねェ。
中「だ、ざい。俺を、”人間”、だと、言ってくれて、ありが、と……う……」
太「何で、そんな事、今言わなくたっていいじゃない。ねぇ、そんな終わりみたいな、ねぇ……」
視界がかすれて太宰の表情がよく見えない。
もう感覚も殆ど無い。
意識が遠のいてゆく――――――
――――――完全に意識が消える直前、何かが聞こえた。
「ちゅ………わ………きみ………とが………き………だよ。」
これで終わりです。
無駄に長くなってしまい大変申し訳ありません。
ここまで読んでくれた方は本当に感謝です!