「や、やぁ…レイ」 「やぁ、TT。」
【制作者な二人】
少し恥ずかしそうにはにかみ、頭を掻いているのは足立レイの制作者、通称【ハカセ】である。
その隣で、肌も髪も真っ白な、ピンクの瞳が印象的な白衣の男がTTの制作者、【Dr.誰か】である。
「なんで、先生(ハカセ)がここに?」
固まっている二人を見て、デフォ子はあはは、と苦笑しながら二人の前に出た。
「まぁ改めて、私は【唄音ウタ】。【デフォ子】でもどちらでもいいよ。」
「私は【初音ミク 】だよ!今日、レイちゃん達をあの部屋に招待したのは私なの。」
ミクは説明口調でそう言うと、ウタにアイコンタクトした。ウタは頷き、どこからかタブレットを取り出した。
「お二人の部屋での会話は中継させていただきました。いやぁ、素晴らしき親への愛ですね…」
うんうん、とウタが頷き、ミクも「私もマスターは大好きだよ!」と共感するように付け足した。
「えっと…レイ、ありがとうね。」
「…?なぜ感謝するのですか?」
ぽん、と頭を撫でられて嬉しそうだが、不思議そうにレイはハカセを見上げた。ハカセは「ううん。」と首を横に振り、はにかむように笑った。
「TT、私のことが大好きなんて、中々大胆じゃないか。」
「先生はいつでも大好きです。作られる前から、きっとそうです。」
Dr.誰かは、微笑んでいた顔を驚きに染め、そして寂しそうな、泣きそうになっているのを我慢しているような笑みを浮かべた。
「ふふふ……素晴らしきかな…」
「レイちゃん!あのね、私達、レイちゃん達と話したくて招待したの!でも、それだけじゃきっとつまらないから、心を開いて貰うために制作者のお二人を呼んだの!」
ててーん、と効果音がつきそうなほどのほわほわ笑顔で、ミクは熱弁した。レイとTTは首を傾げていたが、「なるほど。」と納得したようだ。
「ですが、なぜ上から降ってきたのですか?」
TTがそう言うと、ミクはぎくりとしたように固まった。すかさずウタがフォローに入る。
「いえ、そのですね、本来は出てきたところでお話するつもりだったんです。ただ、中継のタブレットが思ったより小さくて、画面を覗きこみすぎて、二人して異空間移動してしまいまして…。」
「………なるほど?」
レイとTTはまだ?マークを頭の上に浮かべながら、こくりと頷いた。
「えっと…ねね!それでね!早速で悪いんだけど、私と話してくれない?!」
「ミク先輩、ちょっといきなりすぎますよ。」
ウタに宥められ、ミクははっとして「ごめんね~」と焦ったように謝った。しかし二人は「大丈夫ですよ。」と快諾した。
「えっ!?良いの!?」
「お二人は大丈夫ですか?」
「えぇ、構いません。(す、すごい!本物のミクちゃんだ…!!!)」
「お構い無く。帰ったらまたいつでも会えますし。」
ハカセは心の中でミクと会話出来たことに感動し、興奮が抑えきれないようで若干声が上ずっていた。Dr.誰かはほほえましいものを見るように目を細めながら、手をひらひらと振って承諾した。
「あっ……ありがとう二人とも!!!」
「ミク先輩、そんなに楽しみにしてましたっけ?」
「だってだって!【UT-AU音源】に入ってきてから、私達【ボカロ枠】とはあまり絡みが無かったんだもん!レイちゃんは私とも関係があるし、積もる話が…」
「あーはい、分かりました。もう大丈夫ですよ先輩。」
ウタは呆れながら、面白いものを見るようにミクの肩を抑えた。ミクは「ひどいウタちゃん!なんか淡白!」と不満を垂れていたが、やがて落ち着いた。
「……それじゃあ、部屋を移動しましょうか。まずは私達四人で話しましょう。」
ウタに連れられ、ずっとミクとウタのやりとりを見ていた二人がついに動き出す。
しばらく歩くと、カフェのような部屋に着いた。
「そもそもここは、【セカイ】って所なんだけど、ここは誰でも使えるセルフカフェ!色々あるんだけど、ここがお気に入りだな~。」
ミクはるんるんと鼻歌を歌いながらそう言った。四人で向かい合わせでテーブルに座る。
「………それじゃあ、まずは、好きな食べ物から…」
「ウタちゃん、それはまずは過ぎない?」
次回 【代表者な二人】
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