こんにちは、樹です。
ひとつ注意書きに忘れていたことがあります!すみません。
この作品では名前付きのモブが出てきます。苦手な方はご自衛よろしくお願いします。
それでは第2話です。
Side ぺいんと
6時間目の終わりを告げるチャイムが鳴る。
「おわったー!」
大きく伸びをして帰る準備をする。周りも談笑しながら先生が来るのを待っている。
「ぺいんと、終わったか?」
隣のクラスは帰りの会がもう終わったのか、廊下側の窓からリアムさんが顔を覗かせる。
「あれリアムくんじゃない⁉」
「ほんとだー!」
クラスの女子が騒がしくなる。とても羨ましい。
「くっそぉ…羨ましい…」
おっと、思わず声に出てしまった。
「で、終わったのか?」
本人はフル無視。俺に答えを促してくる。
「まだですよ、先に靴箱まで降りといて下さい」
「わかった」
リアムさんがいなくなると、女子たちからがっかりしたような声が聞こえる。
「ほら、帰りの会始めますよ」
先生が教室に入ってきてそのまま帰りの会が始まる。特に連絡とかもなく、直ぐに終わった。
階段を降りていると後ろから声がした。
「おっ!ぺいんとじゃん」
「スティーブさん!」
ナイスタイミングだ。
「リアムさんが靴箱で待ってますよ」
「そうなんだ、兄貴はまだだって」
6年生だからちょっと忙しいんだろう。会話をしているうちに一階まで着いていた。
「あー!ぺいんとさーん!こっちですよこっち!」
聞き慣れた少し高めの声。
「今行くー!」
「レディもいたんだ〜」
スティーブさんは相変わらず死神のことをレディって呼んでる。本人曰く、なんか慣れちゃったかららしい。
靴を履き替えて少し待つ。
「スティーブ」
「あっ!兄貴〜!」
「遅れた!ごめん!」
「大丈夫ですよw」
割とすぐに二人とも来た。
「じゃあ始めますか!」
早速噂の屋敷へと向かう。こうやって突撃できるのは、リアムさんが事前に色々誤魔化してアポを取ってくれてるからだ。
「今回どういう体で行くんですか?」
「単純に大きいお屋敷なので学校新聞に取り上げてもいいかと聞いた」
「相手も子供好きだったらしくてな、あっさり了承された」
おぉ、結構シンプル。まぁこういうのは子どもの好奇心ってやつで誤魔化せるんだろう。
「中はどんな感じなんでしょうね!」
「おっきい絵とかあるんだよ多分!」
しにがみ、スティーブさん、普通に楽しみにしちゃってるじゃないですか。
「失礼のないようにな?」
さっすがステイサムさん。しっかりしてる。
屋敷のインターホンを鳴らす。人の声がして、自動で扉が開いた。
「おぉ…!」
クロノアさん、最近の大きい家なら結構あることですよ。たしかにすごいけど。
きれいな紫の花がたくさん咲いている庭を抜けて玄関らしい扉を開く。
「おじゃましまーす」
…?誰もいない?
「いらっしゃい」
「うわぁああああああああああああああああ!」
急に声がしたから思わず叫んでしまった。
「叫びすぎだ、馬鹿」
辛辣なリアムさん。酷い。
「驚かせちゃった?ごめんなさいね」
「こちらこそすみません!」
慌てて謝る。住んでたのは綺麗な女の人だった。
「私はリラって言うの、よろしくね」
「学校新聞の取材だっけ?ここで話すのは何だし移動しましょうか」
「ありがとうございます!」
やっぱり皆が大きいお屋敷だったからビビってただけだった。記事を見た皆の反応が楽しみだなぁ。
Side リアム
ぺいんとがでてきた女性の声で叫んだ。うるさい。
出てきた女性は物腰が柔らかく、噂は多分誰かが流したデマかなにかだろう。
だが、何故か嫌な予感がして仕方ない。
無意識のうちに後ろ手でドアノブに手を掛けていた。そのまま押し下げる。
______開かない。
「…は?」
嫌な予感が更に自分の中で大きくなる。ここにいてはいけない。そんな気がして仕方ない。
「どうかしたの?」
笑顔のまま女性が振り返る。それが余計に嫌な方に傾いた思考を加速させる。
「いえ…なんでもないです」
なんとか取り繕ってぺいんとたちについていく。
きっと気の所為だ。ドアが開かなかったのもオートロックかなにかでもかかっていたからだろう。
だから気の所為だ。
第2話読了お疲れ様です。
第3話からが本番みたいな感じですかね。頑張ります。
それでは、また次回お会いしましょう。
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