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#さのじん
さき
688
はる☻
4,727
やらかしたぁ…。麻酔から覚めて一番に思い浮かんだのは後悔の二文字で。
とあるバラエティ番組のロケで街中を散策している途中、周りのどよめく声と悲鳴、視線の先を辿ると目の前に迫る小さな身体。
気が付くと受け止めようと両手を差し出していた。
「全治2ヶ月…」
あの日、たまたま通り掛かった住宅街。お母さんの目を掻い潜って小さな冒険に出た結果、誤って3階のベランダから転落した3歳児を両手だけで受け止めた俺は、物の見事に両腕の骨折と脱臼により両腕を吊り下げた間抜けな姿になっていた。
倒れ込んだ俺の腕と身体をクッションにしたお転婆なレディは、かすり傷一つないふわふわなほっぺを真っ赤に染めて、泣きじゃくりながら上手に「ごめんなさい」をしてくれた。
良識のある親御さんの教育の賜物なのだろう。
女の子を連れて来たご両親から何度も何度も頭を下げられ、お詫びの品とは別にお見舞いにと高そうなフルーツを山盛り貰った。
まだ拙い喋り方をする幼い女の子は、きっとこのお父さんとお母さんにたくさん叱られたんだろうな。
大丈夫だよ。と本当は頭を撫でてやりたかったがこの有様なので微笑むだけにとどめた。
あーあ、きっと太智なら自慢の筋肉で受け止めきれたんだろうなぁ。柔太朗ならもっとスマートに、舜太なら持ち前の長身と頭を使って遠心力が何とかで、勇斗なら…、あいつらなら。きっと、もっと、上手く…。
そんなことをぐるぐると考えているうちに退院の日がきた。
仕事に穴を開けてしまった。代わりに駆り出されてくれたメンバーには後日しっかりお礼をしよう。
焼肉でも奢ってやろうかな。あ、太智は俺の桃食ったから某Mバーガーにランクダウンだ。美味いからいいだろ?
「仁人!」
他3人へのお礼を考えていると思いのほか近くから聞きなれた声が聞こえた。
「勇斗」
「おつかれ。今から帰るとこ?会計は?」
「済んだよ。タクシー待ってるとこ。勇斗は?」
「近くで仕事。間に合ってよかったー!一緒に帰ろ!」
そんな偶然あるんだ。てかなんで退院の時間知ってんだ。マネージャーだな。あいつめ。
待合室に俺を残しタクシー乗り場でタクシーを待つマネージャーに「余計なことしやがって」と念を飛ばす。
ちょうどタクシーが来たようだ。目が合ってバツが悪そうに目を泳がせるマネージャーに、くすりと笑みが零れる。
それに気が付いた勇斗は流れるような手つきで俺の入院バッグを奪い取ると、マネージャーが待つタクシー乗り場に向かって
「仁人、行くよ…って、手使えないんだったね。」
と俺を腰を抱いて歩き始めた。
「別に腕と肘以外は何ともないから支えてもらわなくても歩けますけど?」
「まあまあ、俺がこうしたいの。ダメ?」
「…べつに、だめじゃ、ないけど…」
そう返すと、勇斗は嬉しそうに微笑んで
「おかえり、仁人。」
あぁ、心配させちゃったんだ。
「うん。ただいま、勇斗。」
たまには素直に返してやりますか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「あぁ〜我が家〜」
「なにおっさんみたいな声出してんの」
久しぶりに帰った我が家は思いのほか綺麗に保たれていて、勇斗が?あの勇斗が掃除を?まめにしていた…?
「昨日1日かけて掃除した!」
まめにしてるわけはないわな。
得意げな顔につい、口元が綻ぶ。
「いやえらいじゃん。」
「へへっ」
素直に褒められたのが嬉しかったのか外では見せられないほどに破顔した恋人の頭を撫でようとして、思い出した。
あ、腕…。
入院中は看護師さんに頭を洗ってもらったり身体を拭いてもらったりご飯をたべさせてもらったり、諸々の世話をしてもらっていた。
あれ?退院したら俺、どうしたら…。
「仁人、シャワー浴びる?」
「え、ぁ…っと、」
シャワー、どうやって浴びたらいいんだ…?
「俺、仁人のお世話するよ。」
「え、いいの?」
「お前さぁ。いいもなにも、当たり前じゃん!何のために一緒に住んでんの。」
「ありがとう、勇斗」
大きな手のひらでわしゃわしゃと荒々しく、でも温かく撫で回され、ふと崩れた前髪の隙間から目が合い、そのままゆっくりと唇が重なる。
今は、恋人からのありがたい提案に甘えさせてもらうことにした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「お痒いところはございませんかー?」
「ないでーす。」
入院中は頭を洗うのもベッドの上、身体は拭くだけの生活だったので久しぶりの温かいシャワーに目を瞑りリラックスする。
アホみたいなやり取りをしつつ、わしゃわしゃと頭を洗ってもらう。
ここ数週間で気が付いた。人に頭洗ってもらうのってほんとに気持ちいい。
「流すよー。」
「はーい。」
掛け声とともにシャワーで泡を流される。
綺麗にシャンプーを流し終えるとトリートメントチューブを手に取り手のひらに広げると優しく髪に揉み込む。
トリートメントを染み込ませる間に身体を洗ってくれるようで、ボディタオルにソープを2プッシュ。もこもこと泡立てて背中から柔らかく撫でるように洗ってくれる。
洗車されてる気分だ。
首の後ろから耳の後ろを通りラップで保護されている境目、脇を通って横腹、おしりで「ぺんぺーん!」などと小学生のようなイタズラをされつつ、腿からふくらはぎ…と一通り洗うと
「はーい、じゃあ前向いてねー。」
と声がかかる。
くるりと勇斗に向き合うと首から順番にまた柔らかく泡を撫で付けられる。
暇を持て余した俺は楽しそうに洗う勇斗の顔を見つめていると、ふと目が合った。
「なぁに仁ちゃん♡見惚れてたの?」
「いや別に。随分楽しそうだなと思って。」
「うーん、まあ。楽しいよ♡」
そう笑うと、鎖骨からゆっくりと泡だらけの手を胸へと滑らせる。
そこに軽く触れた瞬間、びくっと腰が跳ねた。
「んー?仁ちゃんどぉしたの?」
「べ、つに…」
あぁ最悪だ。
この数週間、手が全く使えてない。
そう、つまりは健康優良成人男性の俺はこの数週間一切ヌけていないのだ。
一度意識してしまうともう無視できない甘い痺れが腰にたまっていく。
煌々と光る浴室のライトの下では勇斗にもそれはしっかりと見えていて
「仁ちゃん、俺身体洗ってあげてるだけだよ?」
やわやわと薄く色付いた胸の頂きに泡を撫で付けていた手は、なけなしの腹筋を通ってゆるく兆し始めているそこに長い指を巻き付ける。
「ひっ、ん…ッ」
狭い浴室に甘ったるい声が木霊する。
聞いていられなくて包帯とラップでぐるぐる巻きにされた手で口元を抑える。
「両手使えないと溜まってるでしょ♡ヌいてあげる♡」
「いら、いらなっあッ」
ボディソープのヌルつきと勇斗の手の温かさに溜まりに溜まった欲は爆発寸前だった。
「やっ、あッ♡も、はや、はやとぉッ♡もぉでるっ♡」
「もう?♡やっぱ溜まってたんだねじーんちゃん♡いいよ♡出しちゃいな♡」
「あ、あっ♡イクッ♡も、でるっ、〜〜ぅッ♡♡♡」
「あはっ♡めっちゃ濃い♡♡」
散々溜められていた欲はもはや固形ともとれるどろどろ具合で、勇斗の指の隙間からもったりと浴室の床へと滑り落ちる。
べしゃっ、といった音と共に零れ落ちた欲は排水溝へと這うように進んで行った。
「一回じゃ足んないでしょ?また固くなってきた♡」
「や、ッあぅ、♡ひんッ♡♡」
ゆるゆると吐き出した精液と共に再度陰茎を撫でられると硬度がどんどん増していく。
溜められた欲はたった1回の放出程度では収まらなくてお腹の中がせつなくきゅんきゅんと質量を求めていた。
「はや、はやとッ♡そこ、も…やぁッ♡なか、なかがいいッ♡♡」
みっともなく勇斗の逞しい胸板に縋り腰を押し付ける。
もうなんでもいいから早く勇斗が欲しかった。
「かぁわい♡でもごめんなぁ。無理はさせたくないから入れるのはできない。」
「なんでッ♡なんでぇ♡やだやだ♡♡勇斗がほしいっ♡はやとぉッ♡」
元から欲しいものは全部手に入れたいタチの俺はタガが外れると性欲にも正直になる。
恥も外聞も捨てて必死に勇斗に縋るも「無理をさせたくない」という勇斗の気遣いの前では納得せざるを得なくて
「じゃあえっちはしないっ、しないからなか触ってッ♡」
「ふふ、上手にオネダリできたね♡いーよ♡」
グズる俺に優しく口付けを落とすと陰茎をゆるゆると撫でていた手を後ろに回す。
期待でひくつくそこに中指を当てるとクルクルとくすぐる。
早くッ♡早くいれてっ♡♡
焦燥感に腰を揺らして勇斗の指にそこを擦り付ける。
「仁人」
名前を呼ばれ上を向くとそのまま唇を奪われた。
じゅっと下唇を吸われ熱い舌が入り込んでくる。
キスに気を取られているとゆっくりとそこに勇斗のゴツゴツとした指が捩じ込まれる。
「ん”んッ♡」
久しぶりの侵入にぎゅうぎゅうと締め付けるそこに勇斗がゆっくりと指を押し進める。
ゆるゆると出し入れをされて解されていくそこはだんだんと勇斗の指を歓迎するようにきゅうきゅうと甘く締め付けるようになっていた。
緩やかな快楽に、貪欲な俺は物足りなくなってしまって欲を求めて腰が揺らめく。
「あ”ッ♡♡」
勇斗の太い指先がそこを掠めると、ずっと欲しかったその感覚に身体中が喜ぶのを感じた。
と同時に白濁が押し出されるようにだらだらとこぼれ落ちていた。
「あれ?仁人もうイッちゃったの?」
ふーふーと荒い息のままこくこくと頷く。
「ふーん♡」
意地悪く笑う勇斗の顔を見てあれ?と思った。
その瞬間、グリっとそこを押し込まれる。
「〜ッ♡♡♡」
声にならない声をあげて腰を反らせて喉元を晒す。
中を掻き回されて、ぐりぐりされて、さっきまでの暴力的な快楽を与える場所だけは決定的には触らない。時折掠めるスパークが脳内麻薬を迸らせて、もう本当に勘弁してくれ、と思った。二回も精を放った中心はゆるく勃つばかりでだらだら先走りを垂らしている。
「あ”ッ♡はや、ッはやとっ♡だめだめッ♡んぁっ、あっう、んッ♡♡イくッ♡やだやだっ♡いってぅからぁッ♡♡」
「うんうん♡」
「ッあ…ぅあっ♡ まっ、てぇ…♡ まだイッた、ばっか…ぁあっ♡ あぅ♡」
もういつイッていつイッていないのかが分からないほど、その境目が無くなるほどにぐちゃぐちゃになった思考と、つぷと沿わされたもう一本にお腹にきゅぅっと力が入ってしまって、締め付けた中が丁度イイとこに当たって辛くって、背中を丸めるように快楽を逃がそうとして、キスでまた押し戻される。舌を絡ませ合うとどっちが気持ちいいのか分からなくなるから、指では届かない腹の奥がずくんと切なく疼いた。
絶頂が近付きぎゅうぎゅうと中が締まるのを感じる。
「中あつ、♡ 仁人、イく? 顔見せて」
「やらァッ♡ちが、あッ♡ずっとイッてぅ、あッ♡またっ、いッイくッイくイくイッ〜ッ♡♡♡」
びくびくと身体が跳ねる。
「上手にいくいくできたね♡」
ずるっと勢い良く抜かれた指の刺激にまた甘く緩やかな絶頂が帯を引く。
ガクガクと震える足に力が入らなくて勇斗にもたれ掛かるようにしてようやく立っていた。
肩で息をする俺の身体を温かいシャワーとともに
「頑張ったねぇ♡いっぱいイけてえらかったねぇ♡」と猫可愛がるような声で蕩けさせる。
ばかにしてんのか!いつもの俺ならこんな可愛くないことを言うんだろうけど、思いのほか入院生活で勇斗と一緒にいられなかったのが寂しかったのか
「…、うん」
なんて、気が付けば素直に返事していた。
弾けた泡だらけのヌル付きも綺麗さっぱり流し終わり、ふわふわのタオルに包み込まれた俺は、ふと振り返る。
男として負けを認めざるを得ない圧倒的な存在感を放つそこに
「勇斗、は?」
と問うと
「俺はいいよ。今日は、ね♡」
意味深なその一言に、完治した後の自身の身を案じることしかできなかった。
コメント
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甘々からのえちえちなお世話シーンに悶絶しちゃいます💞 スイッチが入ると可愛く正直におねだりする豹変っぷりが微笑ましいです😆
コメ失礼します!!ほんとに最高です…大好きです😭💘
「おかえり、仁人」のシーン、めちゃくちゃじんときました……! 勇斗さんの「俺がこうしたいの?」って甘やかし方がもう、仁人さんが素直になっちゃうのもわかります(笑)入院中の寂しさとか、二人の距離感がぎゅっと縮まる瞬間が本当に丁寧に描かれてて、読んでてこっちまであったかくなりました🩷 完治後の仁人さんの身の心配も含めて、続きがすごく気になります!