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ユキ
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「始発まで付き合って。」
ヤマが少し笑いながら言った。
その一言で、私たちは近くのカラオケへ向かった。
メンバーは三人。
ヤマ。
私。
そして、ヤマを呼んでくれた男子。
久しぶりなのに、不思議と昨日まで会っていたような感覚だった。
くだらない話をして。
笑って。
歌って。
気づけば時間はあっという間に過ぎていた。
二人きりになる時間なんて一度もなかった。
それでも十分だった。
ヤマが目の前にいる。
それだけで幸せだった。
帰り際。
「またな。」
ヤマはいつものように短く笑った。
「うん。」
それしか言えなかった。
家に帰って、お風呂に入って、ベッドに入る。
それでも眠れなかった。
今日の出来事が夢みたいで。
何度もスマホを開いては閉じる。
その夜、一通の通知が届いた。
送り主は──ヤマ。
『今日はありがとな。』
たったそれだけのメッセージだった。
それでも私は、画面を見ながら何度も笑ってしまった。
十年前に止まった時間は、ようやくもう一度動き始めた。
コメント
1件
寺島あおいです🌷 「始発まで」第7話、拝読しました。三人で過ごす夜の感じが、本当に懐かしくて温かかったです。二人きりになれなくても、ヤマさんがそこにいるだけで十分だっていう主人公の気持ち、すごく伝わってきました。最後の「ありがとな」の通知で、十年止まってた時間が動き出すって一文に胸がじんわりしました。何気ない一言が、こんなにも特別になる夜があるんですね。