あなたの苦しみが、宇宙に何の関係がありますか?
駒の苦しみが、あなたに何の関係がありますか?
この二つの問いが、いつだって彼の頭を苦しめてきた。
考えなくてもいいことを、延々と貫くことほど辛いことがあるだろうか。
きっと、ないと思う。それ以上の苦痛があるなら楽なんだろう。
「おはよう、世界」
今日は休日。できれば愉快に過ごしたいものだと彼は思った。
しかし、この世界がそれを許してくれそうにはとても思えない。
この世界の名前が、実にそれを表してくれていた。
つまるところ、異世界転生というものだ。
今さら彼がこの世界を選んだ理由は思い出すことはできなかった。
もう思い出す必要も最近は疑わしく思っていた。
思い出そうが思い出さまいが、この世界でも人生は進んでいくのだから。
それでも心のどこかが凍える感覚は存在したのだが。
・・・いつまでも過ぎたことをくよくよ考えてもしょうがない。
質素ながら高価な栄養の朝食を食べた後、彼は外に出る。
さて、今日は本でも立ち読みしに行こうか?
それだったら、夏目書房がいいかもしれない。
この前の『災害』のせいで街は少し荒れているが、気にするほどでもない。
あの子に会えるということを
「・・・ところで、どうして付いてきているんだい?」
振り返ると、そこには黒いローブを纏った少女が立っている。
ろくでもない予感しかしなかった。
「マギウスはとっくに解散してんだろう?」
咄嗟に呟いてしまった言葉。
彼はそれをすぐに後悔した。
そして、悪い展開が続く。
「おや?どうして一般人のあなたがそれを知っているんですか?
・・・まあいいでしょう。どちらにせよ、あなたは捕縛しますから」
ぞろぞろと同じような(白羽根もいたが)が出てきて、彼を包囲した。
「僕は平和に過ごしていた。
それなのに、急にこんなのはないだろう?
僕にだって、穏やかな人生を生きる権利があると思わないのか?」
「平和?穏やか?何もしなかった傍観者らしい言い方ですね。
・・・笹瀬良一、とりあえず覚悟しなさい」
笹瀬は深いため息をつくと、指をぱちんと鳴らした。
「あー、お嬢さんとって良い知らせと悪い知らせがあるんだ」
「ほう、なんでしょうか?」
「良い知らせは・・・僕自身はこの通り無防備だということ」
「そうでしょうね」
「悪い知らせは三つ。
僕の味方は武装してるし、君たちは包囲されてるし・・・。
あと、武器は取り出せばいいだけのことだ」
形成は逆転した。
彼女たちの背後では兵士たちが銃を構えていた。
服装や装備はWW2のカナダ軍のようであった。
そして、いつの間にか笹瀬自身もナイフを構えていた。
軍事力が違う
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