TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第一章・修行編⑤:「兵庫の圧倒的な実力」

 鳥取は全力で地面を蹴り、兵庫へと突っ込んだ。

 だが——

「遅い。」

 兵庫の静かな声が響いた瞬間、鳥取の視界がぶれた。

 ドガッ!!

 強烈な衝撃が脇腹を襲い、鳥取は横へ吹き飛ばされる。

「がっ……!」

 地面を転がり、砂まみれになりながらも、必死に体勢を立て直す。だが、兵庫はまったく動じていなかった。

「勢いだけじゃ通用せんぞ。」

 兵庫は腕を組んだまま、冷静に鳥取を見下ろしている。

……っ!」

 鳥取は歯を食いしばった。これほどまでに攻撃が通じないなんて——いや、そもそも自分はまだまともに攻撃すらできていない。

 兵庫の動きは大阪とは違った。大阪はパワーとスピードで圧倒するタイプだが、兵庫は必要最低限の動きで無駄なく攻撃を繰り出し、確実に相手の隙を突いてくる。

(まるで……先の動きを読まれてるみたい……!)

「お前の動きは直線的すぎる。」

 兵庫は静かに言い放つ。

「今のお前では、俺に一撃も当てることはできん。」

 その言葉に、鳥取は悔しさを噛み締めながらも冷静に考えた。

(どうすれば……どうすればこの人に攻撃を当てられるんだ……?)

 砂の上に膝をついたまま、鳥取は考える。そして、一つのことに気づいた。

(俺は、砂丘での戦い方を学んだばかり……なら、それを使うしかない!)

 鳥取は深呼吸し、足元の砂を感じる。

 ——そうだ。大阪との修行で身につけた、砂丘での流れるような動きを思い出せ!

……行きます!」

 鳥取は再び兵庫に向かって走り出した。ただし、さっきまでとは違う。直線的に突っ込むのではなく、砂の流れに乗るように滑らかに動く。

……ほう?」

 兵庫の目がわずかに細められる。

 鳥取は身体を大きくひねりながら、予測しづらい動きで接近していく。

(この動きなら……!)

 しかし——

「悪くない……が、甘い。」

 兵庫の足が砂を蹴ると、その場から消えた。

——なっ!?どこ……

「ここだ。」

 鳥取の背後から、低い声が聞こえた。

ドンッ!!

 次の瞬間、兵庫の手刀が鳥取の背中を打ち抜いた。

「ぐぁ……!!」

 鳥取の体が前のめりに倒れる。しかし、何とか踏ん張り、膝をつきながら顔を上げた。

「くっ……やっぱり……すごいですね……!」

 息を切らしながらも、鳥取は悔しさと興奮が入り混じった表情を浮かべる。

「フッ……まあ、悪くはなかった。」

 兵庫は腕を組み直し、少しだけ満足げに頷いた。

「お前は確かに成長している。だが、まだまだやな。」

……はい。」

 鳥取は砂を払いながら立ち上がった。

「けど、俺は諦めません!何度でも挑みます!」

 その言葉に、大阪は豪快に笑う。

「おもろいやんけ、鳥取!やっぱりお前はそうでなきゃな!」

 兵庫も静かに目を細めると、再び構えた。

「なら、もう一度来い。」

 鳥取は深く息を吸い込み、砂を蹴った——

〈続く〉

この作品はいかがでしたか?

16

コメント

2

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚