ー保健委員会ー
濔羅「私は沢山の人を見殺しにしてきました。必死に手を伸ばして助けを乞うてくる人に苦無を突き刺し、治療と称して毒を投与してきました。」
深い笑みを浮かべた濔羅はとても恐ろしく、自分の知る乱太郎の笑みとは程遠い。
眞弦「わかってると思いますけど、僕達は先輩の知る何も知らない綺麗な乱太郎、伏木蔵ではありません。真っ赤に汚れた、汚い、濔羅と眞弦です。」
伊作「…なにが言いたいの。 」
濔羅「貴方は私達の先輩ではありません。」
伊作「……え?」
真っ直ぐ僕を見る濔羅の瞳は暗く濁っており、軽蔑を記していた。
眞弦「さっきも言った通り貴方の後輩は、何も知らない綺麗な猪名寺乱太郎と鶴町伏木蔵なんです。汚れた僕達はあなたの後輩に相応しくない。」
そう言う眞弦も、濔羅と同様濁った瞳をしている。
濔羅「というわけなので、その点だけご理解お願いします。」
眞弦「あぁでも、学園内では他の人の目もあるので伊作先輩と呼ばせていただきます。」
そのまま部屋から出ていこうとする濔羅と眞弦。
伊作「ちょっちょと待って!」
思わず引き止めたけど、何を言えばいいのか。言葉が出ない。
ふと、濔羅の手元に目がいった。
映える赤が視界を横切ったから。
濔羅の赤く染まるほど握りしめられている拳。見た瞬間にすぐわかった。
乱太郎、伏木蔵、君たちは何も変わってない。
伊作「…言いたいことは分かった。でもね、君達がどんなに人を手に掛けようと、二人は僕の大切な後輩だ。」
濔羅「……。」
伊作「…濔羅。君は何かを我慢する時、拳を握るんだよ。」
濔羅「っ!」
伊作「眞弦。君は何かを隠す時、絶対に目を見なくなる。あってるようであってないんだよ。」
眞弦「…。」
伊作「…相応しいかは僕が決める。二人は僕の大切な後輩だ。」
二人は何も言わず部屋を出ていった。
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