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彼を愛していたの
ー登場人物ー
・彼
・私
【第一章 行かないで】
「じゃ、行ってくるね」
毎年聞く言葉。
「やめてっ!行かないでっ!」
今年だけは、彼が居なくなってしまうのだと感じてしまった。
「ふふっ、またすぐ帰ってくるさ!心配するな!」
その言葉を最後に、彼は行ってしまった。
【第二章 安心したかった】
「ただいまっ!」
「っおかえり!!!」
彼が帰ってきた。
ただ、彼には無数の傷が。
「っ、、、」
「なぁに、どうした?あ、傷か?」
「へへっ、ちょっと転んじまってな」
「こんな傷、どぅってことない!そう心配するな!ほら、前向いて?」
私は彼の言葉に安心したかった。
「あっ、ごめん。もう行かなきゃ。」
「え、なんで、、、」
「安心して!また帰ってくるから!」
そう言い残し、彼は逝ってしまった。
【第三章 信じたくない】
「もう一年か。」
「探しに行こう。」
私は決心した。
彼を探しに行こうと。
「どこに居るのよ、、、」
私は走って、走って、走り続けた。
でも、彼はどこにも居なかった。
信じたくない。
「いやだ、、、」
視界に入った倒れた彼。
その周りには彼の友達が沢山寝ていた。
辺りに咲き誇った赤い彼岸花。
彼の首元には一輪の青い彼岸花があった。
彼は真っ赤な湖の上で起きることの無い深い深い眠りへとついていた。
私は彼は駆け寄った。
「ねぇっ!起きてよっ!お願いだからっ!」
「もう一度、、、声を聞かせてよ、、、」
私は目から雨粒を流した。
彼はもう居ない。
私はどうやって生きれば良いのだろう。
寝ている冷たい彼を抱きしめる。
どうやら、仲間達の自殺を止めに入り、道連れにされてしまったのだと聞いた。
「なんで、、、」
「彼は悪くないじゃないっ!!」
私は嘆いた。
天に向かって、叫んで泣いて。
もう疲れちゃった。
「帰ろ。 」
私は彼の首元に咲いていた青い彼岸花を取って帰った。
【第四章 彼の後を追って】
彼が映った遺影。
その遺影の前に彼が大好きだった料理を置いた。
遺影の中で笑っている彼。
でも、私はそんな彼を見て寂しくなってしまった。
もう彼は居ないのだと、再度実感した。
「私も今から行くね」
私は家の屋根へ登った。
勇気が出ない。
でも、彼の元へ行く為に勇気を振り絞る。
私は屋根から落ちる準備をした。
彼の声が聞こえた。
どこにも居ないのに。
きっと幻聴だ。
でも、私を支えていたのは間違いなく彼だった。
「、、、え?」
「あはは、帰って来ちゃった!」
「もう、遅いわよ、、、!」
私は彼に抱きついた。
「ごめん、すぐ帰らないと神様に怒られちゃうんだ。」
「またすぐ帰ってくるよ!」
「すぐ帰って来てよねっ、ばかっ、、、」
「泣かないで!俺はずっと見守ってるからね!」
私は屋根から降りて、彼を見送った。
私は今日も、見えない彼と一緒に生きています。
ーあとがきー
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
戦争物が好きで、描いてみました!
気分転換に描いた物語なので短めです!
楽しんでいただけたら嬉しいです!