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ねぇ玲王。】

【あてっ、急に止まるなよ。どうしたんだ?】

【玲王ってめんどくさいね。】

【…は?】

【何言って、】

【はぁ、そーゆーとこ。】

そうか。俺ってそんなめんどくさい奴だったんだな。

【…あっそ】

俺の目は涙をいっぱいためて大粒の涙を1粒零した。

もうだめだ。凪に嫌われた。めんどくさがれた。捨てられた。

俺は布団にこもって目を閉じた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「っ、はぁ、」

バッと起き上がると大量の冷や汗と涙があった。

「クソが…」

何故毎回この夢を見るのだろうか。

“また”凪に捨てられる夢を見た。

捨てられるのが怖くて寝られない。寝付かない。

そんな理由で凪を起こすのもダサいと思ったので水を飲むことにした。

「美味っ、水ってこんな美味かったか?」

いつもより水が美味しく感じる。

思ったより多く飲んでしまった。あとで腹壊しませんように…


タンタン、と足音が聞こえてくる。

起こしたかな?と振り返ると凪が立っていた。

「お、凪。すまん、起こしちまったか?」

「ううん、それより玲王、またあの夢みた?」

「み、見てねぇよ。」

「嘘だ。俺分かるから。」

「ほんとに見てねぇって!」


「ふーん。あっそ」

凪からの低い声。これ怒ってるな。

「じゃ、俺もう寝るから」

「…おやすみ」

「…」

凪は口も聞かなかった。

悪かったのは俺。ちゃんと正直に言えば良かったのにこんなこと言ってしまった。

「はぁ、」

ため息を吐きながら腰を下ろす。段々と眠気が俺を襲う。ベットに行かなきゃ行けないのに眠気に襲われて俺はそのまま寝てしまった。




痛い、痛い、ズキズキと何か痛む。

あまりの痛さに耐えられず起きてしまった。

腹が痛い。水を飲みすぎたんだな。

早く布団に行こうとするもズキズキと痛む腹が邪魔をしてあまり動けない。

凪は寝ているし起こす訳にもいかないので自力で行くことにした。

1歩1歩踏み出す足が重い。段々と気持ち悪くもなってくる。

早く布団に入りたい。俺は痛む腹を押さえて走った。

歩くだけでも精一杯なのに走るのはもっときつい。ただ、歩いてればもっと痛くなると思ったから走った。


ガタッと音がしてやっとの事でベットに着いた。

凪の隣に入り、目を瞑る。

痛すぎて寝れもしない。

起こしてしまおうか、せっかく寝ているのに起こすのは可哀想だ。俺の中の天使と悪魔が戦っている。吐き気もプラスされてとうとう凪を起こすと決めた。

背中を向けて寝ている凪をトントンと叩く。

「…」

起きない。おかしい、いつもなら

「ん、何」とか「…どしたの」なんて言って起きるのに。

痛い、痛いよ、頼むから早く起きてくれ。

凪に嫌われてしまったという強い不安に襲われる。お願い、捨てないで、俺を1人にしないで

「ぐすっ」っと涙が出てきてしまって鼻を啜っていると

「…え、何?なんで泣いてんの」

と凪が飛び起きた。

「なぎ…」

「ごめん。起きなかった俺が悪い。どうしたの?何かあった?」

「腹痛い、気持ち悪い、」

多分凪はびっくりしただろう。

だって俺から甘える事はあまりないから。

「ちょっと待っててね、お湯沸かしてくるよ」

そう凪が立ち上がる。待って、置いてかないで

「やだ、ここに居て、」

「え、だってお腹暖めなきゃ。玲王、すぐ戻って来るから。絶対。約束ね」

「…ん、」不機嫌ながらも指切りげんまんをして凪は台所へ行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

玲王に起こされた。いや、起こしてくれた。

玲王は体調が悪い時は俺に隠して無理をする。

だけど今回は隠さずに言ってくれた。俺は言ってくれたことが嬉しかった。

「なぎ…」

「ごめん。起きなかった俺が悪い。どうしたの?何かあった?」

「腹痛い、気持ち悪い、」

泣くほどだったとは。

俺は必要な物を揃えるために台所へ向かった。

玲王には指切りげんまんをしておいた。

必要な物はゴミ袋とお湯、薬くらいかな。

お世話をあまりした事ない俺にとっては分からないことばかりだった。でも玲王の為ならば何でもする。俺が玲王を不安にさせてしまったから。

俺が必要な物を持ってベッドへ行くと玲王は涙目でこっちを見ていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気持ち悪い。どうしよう、凪はまだ帰ってこないだろうし、動くのもしんどい。

「…ふっ、」と息を漏らした。

吐きそうだというのに声も出せないから凪を呼べない。早くこっちに来て欲しい。

1度起き上がる。深く深呼吸をしてひたすら凪が来るまで耐える。

凪が必要な物をもってベッドへやって来た。

俺は既に涙目で凪を見つめる。

「どうしたの?痛い?」

首を振る。

凪との会話中に凄い吐き気に襲われる。

俺は急いで口元を抑える。

凪はそれを察したようで袋を持ってきてくれた。

「吐きたいなら吐いちゃっていいよ。俺は大丈夫だから。」

嫌だ。こんなみっともない姿を見せたくない。不快な思いをさせてしまうと思い、首を振った。

「なんで?大丈夫だよ。俺嫌わないから。ね、玲王。」

「嫌わない」という言葉に安心したのか、吐き気が一気にきた。

でも俺は吐きたくない。どうにかできないものかと考えた末に飲み込んでしまった。

「え、なんで飲んじゃうの?ほら口開けて」

俺は首を振る。

「や、ほんと、むり、やめて、」

「えー、これしないと治らないよ?いいの?」

「…やだ、」

「大丈夫だから。ね?」

凪は優しく俺に声をかける。分かったと承認した俺は覚悟を決めた。

凪の手が俺の口の中に入る。怖い、早く終わらせて。

「ごめんね、苦しいかもだけど頑張れ 後で沢山甘やかしてあげるから。」

そう凪は言ったまま俺の口の中に指を入れた。

「ん︎︎゛っ、ゔえっ、」

「お、よしよし、偉いよ玲王。ちゃんと出来たね。」

びちゃびちゃと音を立てながら袋に入っていく。

水しか飲んでいないのと夕食を食べていないから水しか出ない。

「も、やだ、」

涙を零しながら言うと、

「もう少し頑張ろう玲王。あと少しだから。」

と凪がもう一度指を入れてくる。

今度はすんなりと出てきてくれた。

「う゛ぇっ、げほっ、」

再び袋の中に落ちていく。

凪は治まるまでずっと背中を撫でてくれた。

「玲王、大丈夫?」

優しく問いかけてくれる凪に言葉を返せなかった。

今はただ、この体を楽にしたかった。

「お疲れ、玲王。楽になった?」

吐き気は数分で終わった。

終わると凪は俺の頭を撫でてくれた。

「よく頑張ったね。偉いね。」

と言いながら額にキスをしてくれた。

好きだなぁ。

吐き終えて怠そうにしてる俺に凪は文句も言わずに優しくベッドまで運んでくれた。

改めて惚れた。俺は運んでくれている凪の頬にそっとキスをした。

「玲王」

「…ん。」

口にも。甘い口付けを交わしてベッドに着く。

優しく寝かせてくれてなんだかいつもとは別人に見えた。

口をゆすいでベッドに入ると

とんとん と優しく寝かしつけてくれる。

うとうとしてきて意識も飛びかけた頃、

「おやすみ。可愛い俺のお姫様。」

となんとも言えない王子みたいな声が聞こえた。

恥ずかしすぎた。そんな俺は凪にこういった。

「大好きな俺の王子様、



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