コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「え、あ、ごめんなさい…ずっと違うところに手を置いていたので」
僕は恐る恐ると彼に言った
彼に嫌われてしまう…僕の恋愛はこんな風にすぐに散ってしまうのだ
「あ、ありがとうございます」
彼は僕に嫌な顔をひとつ見せず逆に微笑みを浮かべながら僕を見た
僕は呆然と立ち尽くし一瞬で顔を赤らめた
彼の微笑みがなんとも…可愛かった
僕は恥ずかしのあまり彼に一礼してその場を後にした
家に帰る途中ずっと心臓が張り裂けるくらい…彼に聞こえてないかな、と心配になるくらいドキドキしていた
(ガチャン)
僕は玄関に入ると全ての力が抜けたかのように崩れ落ちる
「はぁ明日も会いたいな」
こんな思いになるのは生まれて始めて、今までだ
男同士で付き合うだなんて親は反対するだろう
しかもまだ付き合うなんてそんな先のことわかんないし、彼にも想い人の一人や二人いるであろうし…
僕はゆっくりと立ち上がり新しく始めた居酒屋の「宮塚(みやつか)」というお店と、前からバイトしていたパン屋のお店に働いている
自分でお金を稼がなければならないためバイトの二つ、三つ、なんてことない
僕は昼がパン屋で、夜は居酒屋で酒を出す
帰りは十二時を過ぎヘトヘトの状態で家に帰る
今月の稼ぎはまだ末子な方だ…前の給料日なんかは本当にこれだけで生きていけるのだろうかと心配になるほどの量だった
僕は恋愛には程遠い人生を歩むのだろうと思っていたけど、僕にもそんな人生を歩ませてくれる神様は本当にありがたいと思っている
「ありがとう」
明日も明後日もずっと頑張れる気がした…それは神様がやってくれたことなのかな、それとも僕が掴み取ったものなのか