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「司くんって好きな人とかいるのかい?」
ほんの少しの好奇心だった。
僕は司くんに恋をしている。
それに気づいた時はもう手遅れだと思った。諦めれるものなら諦めたいし、司くんに好きな人がいるのなら僕は司くんを応援したい。
もしいるのなら、少しは諦めれるかなと思ってしまった。
「あぁ……いるぞ。」
その言葉を聞いて、時間が止まったように感じられた。
「そうなんだ。」
いるとは察していたけど正面から告げられるとやはり辛いもので、少しだけ泣きそうになった。
泣いてしまったら司くんに迷惑だ。そう思い、そのまま僕はショーの話題に戻した。
「また明日!!」
「またね司くん。」
いつも通りショーの話をして、家に帰って、夕食を食べて、お風呂に入って、歯磨きをして、ロボットの調整をして、寝る。
そのはずだった。
でも僕は家に帰るといつの間にかベッドに横たわっていた。
「自分で聞いといて、馬鹿だなぁ…」
そんなことを呟いて、僕は眠りに落ちた。
「ふあぁぁ……」
目覚めると、外は明るくなっていた。
その時、瞬時に察した。僕は家に帰ってそのまま寝落ちしてしまっていたんだと。
どうしよう…用意も全くしていないし、あと5分でいつも学校に着いている時間になる。
「よし、休もう。」
答えはすぐに出た。運が良く、親は明後日まで家に帰ってこないらしいし、バレなければ別に大丈夫だろう。
昨日できなかったロボットの調整をしよう。そう思い、すぐに作業に取り掛かった。
「類ーーー!!!!!」
「わっ……!?」
急に司くんの声が聞こえたから驚いた。もう学校に登校している時間だし、幻覚かなと思い無視してそのまま作業を続けた。
『ピーンポーン』
玄関チャイムの音まで聞こえてきた。よっぽど疲れているのかな僕は。
「まだ寝ているのかーーー!!!!??」
幻覚の君は僕の目覚まし時計か何かかな?普通の人は最初の声で起きるよ。
「先に行くぞーーーー!!!!!???」
この声は僕の幻覚なわけだし、返事する必要は無いよね。
「____。」
誰かと何か話しているのかな?
「朝から大声を出さないでくれ…?す、すいません!!!気をつけます!!!」
「フフッ……」
注意されている司くんを想像して、思わず笑ってしまった。
「はぁ……類…」
君の小さなその声の後は無かった。おそらく学校に向かったのだろう。
朝から司くんの声を聞けるなんて、普段なら嬉しいに決まっているけれど………今は少し辛いかな。
「司くん…」
最初から無駄な期待なんてするつもり無かったのに。