テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
オレが殺されてから、どれくらいの時が 経ったのだろうか。
身体はもう動かない、いや動かせないと
いったほうがいいだろうか。痛みも息苦しさも、何も何も残らない。
ただ単に、ぼんやりとした意識だけがその場に残っている。まるで、オレの魂が「この世界にまだ留まっていたい」と訴えているように。
オレ、シャルナーク=リュウセイは、幻影旅団No.6として生きてきた。だけど、こんな
終わり方なんて 予想できなかった。
ヒソカに殺られたんだっけ…?
あれ、思い出せない。記憶が曖昧だ。
けれど、死んだことは確かなのだ。
公園は静かだ。オレの身体は、ブランコにまるで操り人形(マリオネット)のように歪に飾られている。
突然、足音が近づいてきた。あまりにも静かで威圧感だけがある歩み。姿が見える……いや、感じてると言ったほうがいいだろう。
黒いコート。
黒い髪。
逆十字のタトゥー。
クロロだ。
クロロの匂いがする。いつもより濃くて、そしてどこか腐ったような匂いが漂っている。
クロロはオレの前に膝をついて、顔を覗き込んだ。
吸い込まれそうな、例えるとするならブラックホールのような瞳がオレの死んだ眼をじーっと見つめる。
「…………シャル」
名前呼ぶ声が、震える。
クロロの手がオレの顎を掴んで、顔を起こさせた。死体は抵抗なんてしない。ただぐにゃりと首が曲がるだけ。
クロロはオレの唇に、自分の唇を重ねた。
それは欲に身を任せたレイプのような
キス だった。冷たい死体の唇に、熱い舌がねじ込まれた。深く、深く……喉の奥まで侵入してきた。舌が死体の舌を絡め取って、吸い上げる。唾液がオレの口のなかに流れ込んで、死体の喉を伝って食道に落ちていく。
クロロはキスをしながら、オレの腹の傷に腹に指を這わせる。
血の塊を掻き出して、指ごと俺の口に突っ込む。
「……………もっと、味わせでくれ」
クロロの声が低く掠れる。
突然、クロロの体が震え始めた。
喉……いや胃の奥から、ぐうっと音がして、それから次の瞬間熱いものが俺の口の中に噴き出した。嘔吐。
クロロが、死んだオレの口の中に吐いたのだ。
酸っぱく、そして苦い。ほとんど胃液だけのゲロがどろりと溢れる。
死体の口からゲロが逆流して頬「伝って落ちる。それでも、クロロは決して唇を離さなかった。オレの口に自分の吐瀉物を押し戻すように、舌でかき回したのだ。
いわゆる、ゲロチュー。
死んだオレの口と、クロロの口が、ゲロで繋がっている。ぬるぬるとした塊が、二人の舌の間を往復する。クロロは嗚咽のような息を漏らしながら、オレの死体を抱きしめて、吐いたものを親鳥がひなに餌を与えるように口移しする。
「シャル………お前はオレのもんだ……全部、オレの…」
ゲロがオレの喉を通って、死んだ食道を滑り落ちていく。
胃袋に溜まっていく感覚はないのに、意識だけがその汚れを感じ取っている。
吐瀉物の臭いが、死体の鼻腔に充満していて不愉快だ。クロロはようやく唇を離して、オレの顔をそっと見下ろした。
オレの死体は口の周りも顎も、ゲロでべっとり
汚れている。まるで顔射でもされたように。
クロロの目には涙が浮かんでいて、けれど歪に笑っている。
「…綺麗だな、シャル…」
そう呟いて、もう一度、汚れた唇を重ねてくる。今度は優しく、ゆっくりと。
恋人同士のようなキスだった。
ゲロまみれの舌が、死んだ舌を優しく撫でた。
───
そこにはもうほとんど残っていないかった。
ただ、最後に残っていたのは吐瀉物まみれの穢れてた死体と狂った欲望の黒髪の男だけが取り残されていた。
残酷だが、ただそれだけが真実であった。