私の名前は、二里桐(ニリトウ)。
新生日本列島――〝桐華列島〟の案内人です。
まずは、私が案内を務める〝桐華列島〟とはどのような場所か、ご説明いたしましょう。
桐華列島(トウカレットウ)について――
桐華列島とは、皆様が住まわれている現在日本よりも、少し先の未来に存在する日本列島です。
約百年前、東京から京都へと政府本部が移されて以来、旧日本と区別するため、日本列島は桐華列島と名を改めました。
この世界では、人間と同じく、土地が人々の郷土愛によって人の姿を得た――
〝土地体(とちたい)〟と呼ばれる存在が暮らしています。
しかし近年、人々の郷土への思いが薄れゆくにつれ、土地体たちの存在は不安定になりつつあります。
そして、存在を保てなくなった土地体が暴走することで引き起こされる、
〝狂土災害(きょうどさいがい)〟が、桐華列島最大の社会問題となっているのです。
私、二里桐は、そんな桐華列島を数多の仲間と旅し、各地の土地体たちと出会い――
その記録を、物語として綴っています。
どうか、あなたもこの列島の歩みを見届けてください。
――ようこそ、桐華列島へ。
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