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次の日
「えー!月、おめでとう!」
私はまず恋雪ちゃんに報告した。
「ありがとう」
「なになに、何の話?」
「あ、瑠璃ちゃん。あのね…」
そこでチャイムがなってしまったので、瑠璃ちゃんには教えられなかった。
「月」
「あ、璃音。」
「一緒に部活行こ」
「うん。あ、瑠璃ちゃんとか光琉君に教えておいた方がいいよね」
「あぁ、あの二人はうるさいからね」
「うん。あ、璃音、後で教えて欲しいメロディーが…!?」
「なに?」
急に璃音に手を繋がれた。璃音はいつも通りだ。
「あ、あの、教えて欲しいメロディーがあって」
私は必死で動揺を隠す。
「いいよ。教えてあげる」
「あの、」
「ん?」
「手、このまま?」
「うん」
当然でしょ?とでも言いたげな顔をされたので、繋ぎっぱなしで音楽室に入っていくと案の定
「えー!」
と全員が驚いた。
その後は怒涛の質問ラッシュ。
「いつから?」
「どっちが告白したの!?」
「はーい、みんな静かに」
瑠璃ちゃんと光琉くんが出てくると、みんなは静かになった。
「やっとか。」
「うん、昨日告白した。」
「やるじゃん璃音」
「というわけで、俺と月は付き合うことになりました。」
璃音が言うと、またみんなからの質問攻めが始まった。が、すぐに先生が来てストップした。
「月」
いつものように恋雪ちゃんが待っててくれた。
「月、今日は璃音と帰りな。」
「え、でも恋雪ちゃんは?」
「私は光琉と帰るから大丈夫」
「え、俺!?」
「なに?嫌なの?」
「い、いや、そんなことない」
「じゃあね」
「うん、ありがとう」
恋雪ちゃんは光琉君を半分引きずりながら帰って行った。
「じゃあ帰るか」
「うん。」
「璃音、質問してもいい?」
「え?いいけど。」
しばらく歩いたあと、私は切り出した。
「いつから私のことを?」
「1年の時からだから昨年からだね」
「え、そんな前!?」
1年生なんてクラスが違くて璃音とは部活で顔合わせるくらいだったのに。
「月、先生から顔が隠れて前が見えなくなるくらいのプリントの束1人で運ばされててさ、」
そんなことあったっけ?
「転びそうだなーって思って見てたら無事に着いたんだけど」
おぉ、さすが私
「ほっとしたのも束の間、何も無いところで何も持ってないのに転んじゃったんだよ」
あぁ、さすが私。
「それで毎日観察してたらだんだん好きになっちゃってさ。同じクラスになった時はチャンスだ!って思って話しかけた。」
「それ覚えてる!『俺、鈴峰璃音!音水さんと同じ吹奏楽部!』ってすごい元気だったのにその後急に『分かるかな…』って声小さくなっちゃったんだもん。この人絶対いい人だって思った。」
「やめて…」
璃音が恥ずかしそうに顔を隠す。
「あはは。」
「月、」
急に璃音の声のトーンが下がった。
「本当に俺で良かったの?」
璃音が不安そうに聞いてくる。
何だこの可愛い生き物は。めっちゃ可愛い。
「璃音がいいの!」
私は思いっきり璃音に飛びついた。
「うお!」
璃音は一瞬よろけたものの、すぐに体勢を立て直した。
「だから、これからもよろしくね。」
璃音は真っ赤になった。
「俺だって月じゃなきゃ嫌だから。離れる気ないし。」
私は自分から飛びついたのに、照れくさい空気に耐えきれず
「帰ろっか。」
と言った。
「うん、帰ろう」