車内、夜。帰り道ーー
「ねぇねぇ、暇だしマジカルバナナしない?」
涼架くんが後部座席から声を上げた。
「まさかの昭和ノリ……」
滉斗くんが笑いながらも興味津々。
「俺、そういうのわりと本気出すよ」
元貴くんが低く笑う。
「じゃあ、お題どうする?」
私が振り向くと、涼架くんがにっこり。
「もちろん、”◯◯”からはじまるマジカルバナナ♡」
「え、私!?」
「やば、開始1秒で照れそうなんだけど……」
「じゃ、いくよ~~~!」
涼架くんがリズムを刻み始めた。
🎵 マジカルバナナ!◯◯と言ったらーー?
「◯◯と言ったら、天使!」(涼架)
「天使と言ったら、癒しの塊!」(滉斗)
「癒しの塊と言ったら、俺が疲れてても一瞬で回復!」(元貴)
「なんか、もうすでに恥ずかしい!!」
助手席の私は、顔を手で覆って悶絶中。
🎵 第2ターン!
「◯◯と言ったら、笑顔が反則!」(滉斗)
「反則と言ったら、可愛すぎて捕まるレベル!」(元貴)
「捕まると言ったら、俺たちの心を盗んだ罪♡」(涼架)
「こら!人の心盗まないでくださいー!」
「いやもう盗んでるの自覚して……」
「完全なる現行犯だね」
「執行猶予つかない」
全員でわいわい笑って、でも空気はどんどん甘くなる。
🎵 第3ターン(わりと本気)
「◯◯と言ったら、がんばり屋さん」(元貴)
「がんばり屋さんと言ったら、誰かのために無理しちゃう人」(涼架)
「無理しちゃう人と言ったら、俺が守りたくなる人」(滉斗)
一瞬、車内が静かになる。
3人の声が、いつもよりほんの少しだけ、優しくなっていた。
「……今日さ、スタジオ来てくれてありがとう」
「ずっと見ててくれて、すごく嬉しかった」
「だから……ちょっとでも、◯◯のこと褒めたくなった」
照れたように、それでもまっすぐな目で言ってくれる3人に、胸がきゅんとする。
🎵 最終ターン!(甘さ最大レベル)
「◯◯と言ったら、大好きな人」(涼架)
「大好きな人と言ったら、誰にも渡したくない人」(滉斗)
「誰にも渡したくない人と言ったら……俺たちの未来」(元貴)
「…………っっっ!!!!」
何か言いたいけど、言葉にならなくて、ただ黙ってしまった私に、
3人の顔が、ふっと柔らかくなる。
「照れてる顔、100点♡」
「照れてる◯◯が一番可愛い」
「……ずっと、隣にいてくれれば、それでいいよ」
◆助手席にそっと手が伸びる
滉斗くんが、そっと私の手を握ってきた。
「ねぇ、◯◯」
「ゲームじゃなくて、本気で言ってたって、わかってるよな?」
後ろから涼架くんも、頭を私の肩にちょんっと乗せる。
「◯◯は、俺たちにとって、毎日が特別になる存在なんだよ」
元貴くんは静かに、でもまっすぐな声で囁いた。
「誰よりも、大事。……誰よりも愛してる」
信号待ち。夜風が車内にふわり。
照れくさくてたまらないのに、
不思議と、心がとろけていくような、安心感に包まれていた。
(……マジカルバナナ、最高すぎた)
次からこのゲームやるたびに、
私はきっと、この夜を思い出すんだろうなって思った。