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『西阿より。〜王権の終焉。』第1話「日差しの中の夢」
「眩しい……。この光は……?」
窓から差し込む、ニシアルティス特有の冷徹なまでに白い太陽の光が、私の視界を揺らす。
私はいつも通り、白亜の天蓋付きベッドの中で目を覚ました。
私の名前は西阿 心沙(にしあ しんさ)。この厳格なる秩序の国、ニシアルティスにおいて、王の血を引くお嬢様です。
「ああ……。また、あの夢だったのですね」
額に浮かんだ汗をそっと指先で拭った、その時だった。
――トントン、と、静かで規則正しい、完璧な間隔のノックが部屋の扉に響く。衣服の擦れる音のあと、控えていた侍女が恭しく扉を開けた。
「失礼いたします、心沙お嬢様」
「ええ、構いませんわ。入りなさい」
許可を得て部屋へと足を踏み入れてきたのは、神霊 誠司(じんれい せいじ)。私と同じく王族の籍にあり、私の最愛の兄・哀図(あいず)お兄様の、最も親しい友人でもある御方だ。
誠司は扉のすぐ近くで足を止め、私に対して、宮廷法に定められた完璧な角度で、深く優雅な一礼を捧げた。
「朝から私に、何か用件でもあるかしら? 誠司」
「いえ、心沙お嬢様。ニシアルティスの調和の朝に、あなたをお迎えに上がっただけです。いつも通り、あなたを起こすために」
「あら。それは丁寧なことで。ありがとうございますわ、誠司」
彼の隙のない礼節に満足を覚えながら、私はシルクのシーツを払い、ベッドの上からゆっくりと、しなやかな足取りで床へと降り立った。
コメント
1件
ああ、第1話、素敵な始まり方でしたね……。「冷徹なまでに白い太陽の光」という表現がもう、この世界の空気を一瞬で伝えてくれました。心沙お嬢様の上品でいてどこか寂しげな佇まいと、誠司さんの完璧な礼節——その隙のなさに逆に人間味を感じてしまいました。「迎えに上がっただけ」という台詞の裏に何があるのか、続きが気になります。次話も楽しみにしていますね🌷