「かんちゃん、待って。りゅーちゃん置いて来ちゃったよ。」
「えー?別にいいじゃん。龍夜(りゅうや)はすぐ追い付くでしょ、人間からしたら早い方らしいし。」
「人間からしたら、でしょ?白虎からしたら全然追いつける早さじゃないよ。」
白虎と人間のスピードは桁違いなんだよ。かんちゃんもそれは知ってるはずなのに。
「それより、愛菜(あいな)と俺同じクラスみたいだよ!」
本当だ、私とかんちゃんは2組か。りゅーちゃんは……。
「かんちゃん……。りゅーちゃんも同じクラスじゃない。」
なんで言ってくれなかったんだろう。
「あいつはどうでもいいだろ。違っても困んねーし。」
「あいつって……。りゅーちゃんといると楽しいよ。」
「おーい……!お、お前ら、はぁはぁ……。早すぎだろっ!バケモンかよ……。はぁはぁ。」
「りゅーちゃん。早かったね。」
「これでも一応50m走6秒代なんだけどな……。 」
6秒代でも、普通に早いと思うけどな……。
「……って、あ!俺たち同じクラスじゃん!」
「そうみたいね。」
「俺もいるぞ。」
「うげっ。お前も一緒かよ……。 」
相変わらずね。2人とも仲悪そうだけど、喧嘩するほど仲がいいっていうし、実は仲がいいのよね。
「当たり前だろ。愛菜(あいな)がいるところに俺もいる。」
「はぁ?お前きっしょ!」
「どうとでも言っとけ。」
「ほら、2人とも。喧嘩ばっかしてないで、教室に行くよ。」