真乃side
今日はホワイトデー。
以前のバレンタインの時に屯所の皆にチョコをあげたので朝からたくさんの隊士達が私にチョコを渡しにきてくれた。そんなこんなで私の手元には沢山のお礼のチョコがある。チョコを貰うとき 「この間はチョコありがとう。真乃ちゃんの手作り美味しかったよ」 と言われ、嬉しくてニコニコ歩いていたら前から見知った顔の人物がこちらに向かってきている。
「おはようございます、土方さん」
鬼の副長こと土方十四郎さんだ。武州から一緒だからなのか、はたまた誰かさんと違いしっかり仕事をこなしているからなのか妹のように優しく接してもらえていて、滅多に怒られない。私には鬼の副長ではなくて優しいお兄ちゃんのような存在だ。
「おう、おはよう。あ、真乃この間はチョコありがとうな。ちとばかりだが俺からのお礼だ。受け取ってくれ。」
そう渡されたのは前から食べたかったが休みがなく買いに行けなかったショートケーキだった。
「えっ、ありがとうございます!とっても食べたかったので嬉しいです!」
「そうか、喜んでもらえてよかった」
と優しく微笑んでいる。
「あ、そういえば総悟とさっき会ったんだが真乃のこと探してたぞ。多分この先の庭の方にいると思うんだが。」
「そうなんですか?分かりました。沖田に行ってきます。お礼の品ありがとうございました!」
そう言って急いで庭の方に向かう。向かった先には土方さんの言っていた通りアイマスクを付け、すやすやと眠っている沖田がいた。急ぎの用かと思ってはやく来たのに、と思いながらアイマスクに手をかけ声をかける。
「おーい、おはよう沖田。さっき土方さんに言われて来たんだけど何か用??」
眠たそうな顔をしながら起きたかと思えば驚いた表情をする。
「なんでィ、お前か。急いで来たのか?前髪ぼさぼさだぞ。」
急に口を開いたと思えばそう言われる。
「なによ!!仕方ないじゃない。大事な話だと思って急いできたのに。」
「大事な話ねー、、、」
何を考えてるのかわからない顔で空を見上げている。数秒して決意したのかこちらを向き、
「真乃、これホワイトデーのお返し」
とそっぽを向きながら可愛いリボンの付いた袋を持っていた。
「えっ、」
突然のことにびっくりして少しの間固まってしまった。 袋を開けてみるとそこにはふたつのマドレーヌが入っていた。
「わっマドレーヌだ!!美味しそう〜。ありがとう!」
目を輝かせながら感謝を言う。美味しそうだと思い見ていたら、ふたつのマドレーヌがすこし形が違っていることに気づいた。
「もしかしてこれ手作りだったりする?」
反応が気になり、沖田の顔を見るとニヤリと笑っていた。
沖田はぐっとこちらの方に近づき
「気づいたかィ、俺の気持ちがよ〜くこもってんだから味わって食べろよ笑」
と言い私の頭を撫でながら立ち上がりすたすたと去っていった。
撫でられたことで真っ赤な顔をし
「まさか手作りのお返しをもらえるなんて、、もったいなくて食べれないな〜///」
嬉しそうに微笑んだ。
沖田side
はぁ、とため息をつきながら自分の部屋に寝転がる。今日はいつもより素直になれたんじゃないかと先程の自分の行動を思い出す。
アイマスクがとられ目を開けると近くに真乃の顔があり思わず照れそうになった。それは仕方ないことだと割り切った。
先程真乃にあげたマドレーヌは1週間前から決めていて、柄じゃない手作りなんてして作ったものだった。いつも素直になれず、気持ちを伝えられない俺は今日こそはと思っていた。今日は俺にしては大きな一歩だった。マドレーヌには 「特別な関係を築きたい」なんていう告白のような意味がある。まあ当然鈍い真乃はマドレーヌに深い意味があるなんて思っていないはずだ。でも知ってしまったらどんな顔するんだろうなァと思っていると自然と口角があがる。
そんな風に思ったとき毎度実感する。
あァ俺はこんなに真乃のこと好きなんだって。
今度は意味のこもった物じゃなくて、俺の言葉で想いをぶつけてやる。そう決意した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!