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面接

1 - 第1話

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30

2024年08月20日

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はぁはぁ、、だめだ、間に合わない、、、



激しく雨が降る夕方。1人の男がとても慌てた様子で自転車を漕いでいる。車道の左側をクロスバイクで爆走し、あわよくば自動車を抜かす勢いである。


はぁはぁ



ひとつ大きな交差点がある。男が交差点に差し掛かる手前、歩道の信号が点滅を始める。男はブレーキをかけることなく交差点に突っ込んでいく。

あきらかに間に合わない。

男もそう判断したのか、急ブレーキをかけた。激しい雨がふる。

いつも通り止まれるわけもなくスリップによる自転車の激しい横転。ガッシャーーーン。


男はなんとか起き上がると自転車を確認する。その時、赤信号により止まっていた車の窓がスゥーっとあき、

「おい、大丈夫か?」と運転手が声をかけた。


「、、、、」

大通りの真ん中で派手にこけたのである。それはそれは恥ずかしいだろう。男は声をかけられてることに気づいていたが、聞こえないふりをした。


「おい、鍵落ちてるぞ!」


男はポケットを確認する。

しっかり聞こえている。

運転手も理解した。


「ありがとうございます、、、」

雨にかき消されそうな、細い細い声でお礼をいいながら鍵をひろう男。

自転車は大丈夫そうだ。そうこうしているうちに信号は青になり、また男は爆走を開始した。


男が到着したのはあるスーツ専門店。店に入るとスタッフらしき人がでてきて店の奥へと連れていかれテーブルを挟んで対面している。


なるほど。面接が行われるようだ。


ここで、男はあることに気づく。ズボンの膝の部分が小さく破けて、血が滲み出ていることに。急いで膝に拳をおき、きれいな姿勢を作るように誤魔化して座る。


ここで面接官はあることに気づく。男の肩の部分が破け、血が滲み出ていることに。採用するかどうかではない。血だらけで面接に来る男など選考どころではない。



さて、結果はどうだったのだろうか、、



晴れた日の夕方、通知書を見た男の目から激しく雨が降り出す。


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