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【5話】
— 花火大会の数週間後 —
風鈴が夏風で揺らいで
それと共に汗が頬を静かに伝う
『…あっつい 、』
ぱたぱた 、と扇子を仰ぐ
〈あかり 、麦茶飲む?〉
『飲む!』
目の前に置かれた麦茶を口にする
『んは 、生き返ったー、!』
〈なになに、誰かの真似?笑 〉
『お父さんの真似。』
へら 、と冗談めかして言って見せる
その時 、メッセージを知らせるバイブが鳴った
『ん 、』
テーブルに置いた携帯に手を伸ばし
相手の名前を確認すると侑華からだった
【今日話せない?】
話…?一体なんの話なんだろう。
『場所はいつもの?』
【うん。】
『いいよ、すぐ行くね 。』
そこでスマホの電源を落として
『お母さん〜、少し出かけてくる』
〈は~い 、〉
携帯と財布が入ったカバンを
肩にかけて〝いつもの場所〟に向かった
『おまたせ 。』
「…、全然、私もさっき来たとこ」
『…それで…話って?』
「あのさ … 」
「私…彼氏とうまくいかなくて」
『え、?』
「…、花火大会。一緒に行ったんだけど」
「そのあとは、全然—」
『私と付き合った方が絶対よかったじゃん』
『侑華には …私が必須じゃん。』
「…、それってどういう—」
『絢芽から聞いたよ。何人かの男子を相手にヤったって。』
「…っ 、」
侑華は口をつぐむ
やっぱり心当たりあるんだろうか
『私と付き合った方が』
『絶対よかった 。』
「…、あか—っ 、?!」
『…この間のお返し』
侑華にされた額のキスを
私は侑華の額にお返しした
「…そんなの 、ずるいよ _。」
耳が赤くなる侑華が可愛くて
『っは 、笑…かんわいい。』
「可愛いのは…!あかりの方だよ!」
『えー、そう…?笑』
「そうだよ … !しかも不意打ちとか、ずるいって」
『それは~ごめん。』
「別に謝ってほしい訳じゃ…、」
俯く私に侑華は慌てた 。
『やっぱり可愛い。』
「可愛くなんてない!」
…ほんとに
侑華は可愛い女の子みたいな所がある
そんなところが私は〝スキ〟
—end
コメント
1件
百合最高👍👍 不意打ちキッスはされてみたi(((( こんな夢のような恋してるひとは羨ましいすぎるな