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茅野side
思考が停止した。
だって慧が、慧が。
その瞬間音が消えた。
周りには沢山の人が無表情で歩いている。
そうだ、きっと夢を見ているんだ。
きっと。
じゃなきゃ私は……、私は…。
……メールだ。
女たらしクソやろう:これって…。
すごい猿:え…。
ギャル英語:え、これ慧…?
貧乏委員:茅野は大丈夫か?
永遠の0:……私はね。
鷹岡もどき:原因不明の死ってなんだよ…。
中二半:ニュース見て気付いたんだけどさ、慧ちゃんの首元、なんか赤黒くない?
性別:僕も思った。血にしては跡が小さすぎるよね…。
……許せない。
慧を殺した奴が許せない。
なんで慧なの…。
慧は何も悪いことしてないじゃん……。
「 演技をしててもしてなくても、カエデちゃんはカエデちゃん!!私たちが友達なのには変わりない! 」
「 ……慧…。 」
「 コップはね、水を溜めすぎちゃうと全部全部溢れ出ちゃうの。きっと、堀部くんの心は今、コップみたいに我慢していたものが溢れ出ちゃってるんだよ。……堀部くんは我慢しすぎなんだよ。いいじゃん、ちょっとぐらい欲望に縋っても。 」
「 ……コップみたいに…か。 」
「 国語って難しいよね〜…。あ、奥田さんは理科が得意なんだよね?私理科苦手でさ〜…。国語なら得意!だから一緒に勉強しない? 」
「 ……はい!!ありがとうごさいます!慧さん! 」
「 ……なにそれ、赤羽くんは何も悪くないじゃん。E組だからって差別するのも可笑しい!それを助けた赤羽の何が悪いの!? 」
「 !!………ははっ…、如月ちゃんって優しいね。 」
「 速水さんさ、殺せんせーの暗殺に失敗しちゃったけど、私よりも百倍狙撃上手だよ!めっちゃ尊敬してる!速水さんなら出来るよ。相手はマッハ20の超生物でもないんでもないんだから。 」
「 …うん、ありがとう。如月。 」
「 狭間ちゃん何読んでるの?…闇!?復讐劇の奴!?…あ、この前本屋で闇の小説見つけてさ、ポップな表紙なのに闇小説って気になったから買ったんだ!貸してあげる!読んでみて! 」
「 …復讐小説は否定されやすいのよ、変わってるわね。因みにそれは読んだことあるわ。 」
「 え〜?私は木村くんのジャスティスって名前好きだな〜。イジられやすいかも知れないけど、自分は正義だ!って思ったら自身持てるかもよ! 」
「 …おう!!やってみる! 」
「 渚くんの髪が長くても、親に縛られてても、それでも渚くんにはちゃんと意思がある。操り人形なんかじゃない、渚くんなんです。渚くん自身を見てあげてください。 」
「 (……渚、いい友達持ったのね…。) 」
「 寺坂くんはちゃんと自我を持ってるんだね。強いんだね。それじゃあその寺坂くんにお願い!プールに流されちゃったみんなを一緒に助けて! 」
「 ……おう。 」
「 神崎さんは綺麗だよ。たまには無理しないで自分のこと慰めてあげよう。前に進んで生きてる私偉いって! 」
「 …慧ちゃん…、ありがとう。 」
「 杉野くん凄い凄い!!えっと……、名前は忘れちゃったけど、野球選手のフォームの真似してるんだよね!私、素人だけど凄く綺麗なフォームだったよ!今度私にも野球教えてよ! 」
「 ……おう!任せろ! 」
「 自律ちゃんはマスターさんの言うこと聞いてて偉いなぁ…。可愛いし!私自律ちゃんともっと話したい!だめかなぁ? 」
「 如月さんは変わり者ですね。少しだけなら話をお聞きします。 」
「 竹林くんメイド喫茶行くの!?メイドさんって可愛いよね!私もアニメとかゲームとかでメイドさん見るんだけど、竹林くんはリアルのメイドさんが好きなんだね!今度一緒に行こ! 」
「 …僕の趣味を否定してこない人は珍しいですね。行きましょう、僕のイチオシはミカちゃんです。 」
「 イリーナ先生の生まれた環境のこと、私全然わかんない。でも、イリーナ先生と一緒に授業してたときは凄く楽しかった!!先生ごっこって思ってもいいからもっといっぱいイリーナ先生に教えてほしい! 」
「 慧…、アンタ……。 」
「 ……殺せんせー、ありがとう。そして、さよなら。 」
「 はい。慧さん、さようなら。 」
あの日、殺せんせーが胞子になる前、慧だけは泣かなかった。
悲しそうに微笑んで、最後に感謝を伝えた。
後から知ったけど、慧はその後家に帰ってすぐに号泣したらしい。
みんなを慰められるように、慧は、慧だけは我慢して我慢して。
一番辛かったのは先生っ子の慧なのに。
……思い出しても良いところしか思い浮かばない。
そんな慧を…、なんで神様は連れてくの?
可笑しいじゃん…。可笑しいじゃんか……。
私はすぐに慧のもとへ走った。
そこには血塗れで横たわってる慧。
夢って言って。
願っても過去は変えられない。
茅野「 うぅ……、慧ぃ……。 」
私は慧を呼びながら泣き喚くことしか出来なかった。