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――数日後。
神代玲司とルナリアは、街のあちこちを歩き回っていた。
図書館で見つけた記録だけでは、魔法が消えた原因までは分からない。
ならば。
実際にこの街で暮らしている人々の話を聞くしかない。
「昔の魔法について、何か知りませんか?」
ルナリアが尋ねる。
しかし。
「さあなぁ。俺が生まれた頃には、もう使えなかったよ」
「祖父から聞いたことならあるが……昔は魔法を使える人がいたらしい」
「魔法なんて、昔話でしょう?」
「本当に存在したのかも怪しいもんだ」
返ってくる答えは様々だった。
けれど。
どの話にも共通していることが一つあった。
誰も、魔法が消えた瞬間を知らない。
いつの間にか使えなくなっていた。
ただ、それだけ。
「うーん……」
玲司は腕を組む。
「手掛かりになりそうで、ならないな」
「でも、少し面白い話もあったわ」
ルナリアが言う。
「北の方に住んでいる人たちは、昔から魔法の話をあまりしないらしいの」
「北?」
「ええ。ただ、それ以上は誰も知らないみたい」
「……また北か」
玲司は小さく呟いた。
だが、それ以上は深く考えなかった。
今はまだ、何の意味があるのか分からない。
だからこそ。
余計に気になった。
◇
夕方。
二人は噴水の前で足を止めた。
「結局、分かったのは昔は魔法があったってことくらいか」
「それでも大きな一歩よ」
「そうか?」
「ええ」
ルナリアは微笑む。
「知らないことが、少しずつ分かってきてる」
「……まぁ、それもそうか」
玲司は空を見上げる。
夕焼けに染まった街。
その景色は穏やかだった。
なのに。
なぜか胸の奥に、小さな違和感が残っている。
魔法が消えた理由。
切り取られた記録。
そして、街の人々が語る曖昧な記憶。
どれも繋がっているようで。
どこにも繋がっていない。
「……分からねぇな」
玲司は呟いた。
答えはまだ。
どこにもなかった。
コメント
1件
「第6章:街の声」読ませていただきました。 街の人々の証言から少しずつ見えてくる魔法の輪郭、でも消えた瞬間を知る人は誰もいないっていうもどかしさがすごく伝わってきました。特にルナリアの「知らないことが、少しずつ分かってきてる」っていう言葉、いいですね。前向きな視点にほっとしました。 玲司の胸の奥に残る小さな違和感、気になります。まだまだ謎が深まっていく感じがして、続きが楽しみです🌷
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