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「今日かー、仮免許試験、、、」
そう一言つぶやくと隣に座っていた耳郎響香が顔を覗かせた。
「そんなこと言って昨日寝てなかった人誰だよ」
彼女とはこのクラスで1番仲良しだ。
ここはバスの中。
今から仮免許試験の会場に行くところ。
「新技完成した?」
窓の外をボート眺めていると響香が聞いてきた。
「ちょっとね、面白いのができたよ」
「へぇー楽しみだねぇ」
「おーいお前ら。着いたからバスから降りろ」
「「「はーい!」」」
会場は大きな体育館のようなところ。
でもかなり大きい。
「着いたぁー。やっとだよぉ」
「まぁ確かに長かったね、まぁ頑張ろうよ芦戸!」
本番前から疲れ切っている様子の芦戸に声をかけつつバスの横に集合する。
ここには色んな高校が集まっているから時々知っている顔も見えたりする。
嫌だな。
「あーれーー?疫病神じゃない?」
「あ、ホントじゃん。嫌やだ〜一緒の会場とか不運がうつっちゃうよ」
嫌というほど聞きなれた声がした方を振り向くとそこには二度と会いたくないと誓った人たちがいた。
「久しぶりねー疫病神。まさかあの雄英に入ってたとは思わなかったわぁ」
「、、、、、、、、」
「黙ってないでなんかいいなよ。私がおかしいみたいじゃない」
だんだん近ずいてくる声に体が動かなくなってしまう。
あの時のように。
「あんた達、だれ?」
私の反応がおかしいことに気づいたのか響香が手を握ってくれる。
「この子にあんまり近ずかないほうがいいよ」
「そんなことうちが決めるし」
さっきからずっと話しているのが須藤ネネ。
私が最も会いたくなかった人物。
ネネは私が中学校の時、私の事をいじめていた張本人だ。
彼女の個性は、”言霊”。
気持ちを込めて言った言葉を本当にしてしまう個性。
効かない相手は、愛する人がいる人 のみ。
ネネの個性のせいで私の中学校生活は最悪だった。
そんな中でも味方してくれたのが幼なじみの、 轟焦凍。
生まれた時からの仲で、小さい頃からずっと一緒にいた。
実は従兄弟だったりするのだけれど。
焦凍のお母さんと私の父さんが兄弟だった。
ネネはそのことを妬んでいた。
なぜ轟くんをずっとあんたが独り占めするのかと。
理由はそれだけだった。
「疫病神とかどんなかあだ名だよ。最低にも程があんだろ」
「お前らがすずとなにがあったのか知らねぇけどさすがに見過ごせないわ」
「上鳴くん、、切島くん、、、、」
そうだ。
私には今味方がいるから、、。
だから大丈夫だ。
「ネネ、、か。お前またすずになにかしに来たのか?」
後ろから肩に手を置かれ振り向くと焦凍が立っていた。
「焦凍、、、」
焦凍は、怖い顔をしていた。
「もう大丈夫だ。お前は俺の後ろにいろ」
そう言って私の前に立ってくれる。
私はこの大きな背中に何度救われたか。
焦凍の後ろは私の唯一の安全地帯。
昔からずっと。
「あれ、、轟くんもいんじゃん、、、」
「なんだ。俺がいちゃ悪ぃか」
「いや、、そういうわけじゃ、、、」
「さっさと失せろ」
その一言でネネは赤くなっていた顔を一気に白くしていった。
そう、ネネは焦凍のことが好きなのだ。
「ねぇすず。あんた絶対に”仮免落ちるよ”」
「えっ、、、、」
一気に体の力が抜ける。
そして恐ろしいほどの息苦しさに襲われる。
これはネネの個性にかかった時の証拠だった。
「、、ゴホッ…ヴ…ゲホッゴホッゴホッ…」
「お前、、、、」
焦凍が体を支えてくれたおかげで地面に打ちつけることはなかった。
だけど、、、、
「じゃぁね〜。まぁ頑張りなよ」
あぁ最悪だ。
ネネの個性を解くには方法は1つしかない。
それは彼女の気失わせること。
それもかけられた本人が。
「ゴホッ…ヴ…どうしよう、落ちちゃうよ」
「すず!!意識しっかり持って!!!!」
目を開けていないとという脳からの命令に逆らうように私の意識は遠のいて言った。