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勉強会

1 - 第1話

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2024年10月12日

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すっかり空気が冷えて肌寒くなってきた。ついこの前までならこの時間帯はまだまだ外は明るく太陽が燦々としていたというのに、もう外は赤くって眩しいほどの夕日が教室を染め上げる。

放課後、こうやって集まるのをずっと続けている。

今日も変わらない風景、変わらない心地良さ

2人、向かい合わせでノートを開いて問題を解く。わからないところがあっても聞けば教えてくれて、答えが返ってくる。

ノートをめくる音とペンを紙に滑らせる音。今日はこんなことがあったんだとくだらない話をして、適当な相槌が返ってくる。それだけでもう幸せな気持ちになれる。


「なあ、ここ。わかる?」


とんとん、とペンの先でわからないところを指して教えを乞う。


「ん?んー、あー、ここね。」


わざわざ席を立って隣に来て

ここは〜と懇切丁寧に解き方を教えてくれる

伸びすぎた横髪を耳にかける仕草にキュンと胸を打たれた。

ふわりと香る柔軟剤の匂いは真面目な勉強会にはあまりにも不釣り合いでドキドキした


「わかった?」


「えっ?あ、あぁ、うん。ありがと」


あまりに失礼だろう、相手はこんなにも真面目に教えてくれてると言うのに。

さっき教えられたことは全く頭に入っていなかったけど、うん。と返してしまってやっぱりもう一度…だなんて言えなかった。

足りない脳みそをフル回転させてなんとか答えを捻り出す。

ちら..とウマヅラハギがこちらのノートを見て、解けたみたいでよかったと微笑んでくれてキュンと胸が鳴った


こうやって解く度に微笑まれて、丸を貰える

ウマヅラハギはこちらが一つ一つの問題に悪戦苦闘してる中、スラスラ問題を解くから凄い。なのに本人はこれくらいしかできないからと謙遜する。

もし、こちらが凄い凄いと頭を撫でたら喜んでくれるだろうか、それともびっくりして固まってしまうだろうか。

俺は犬みたいに撫でられたい…。

くだらない考えに呆けて手が止まっていた。ペチッと手を叩かれて「あと10分だけなんだから集中して」と怒られてしまった。




学校のチャイムが軽快に鳴って、2人同時に背伸びをする。

チャイムが鳴ってからは丸つけの時間だ。

2人ノートを交換して、互いに答え合わせをする。

スラスラと紙に赤ペンを走らせて採点する。

ウマヅラハギのノートにバツをつけたことがないなと思った。

変わらず全問正解で、 最後に大きく花丸を書いて相手に返す。

どうやらこちらにはミスがあったらしく、その箇所を見せられて解説される。ウマヅラハギの声はまっすぐ脳みそに入ってきて心地良ささえ感じる。これがいつもの授業にも有効なら…。

俺の ノートの余白に書かれた小さな花丸と「よくできました。」の淡白な一言。

それだけで幸せが込み上げてきて、今すぐに好きだと言ってしまいそうだった。

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