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僕らの マスク戦争
第二章
覚醒〜1
母は、弟のハクトをなるべく普通に育てたいと父と話していた。それからの母は、悪戦苦闘の日々だった。喘息の発作は、深夜に起こり呼吸困難で何度も入院した。そのために、母は、過労と睡眠不足で倒れたこともある。
常に献身的にハクトを支え、その甲斐があり、少しずつだが、短い時間なら外にも1人で行けるようになった。父が絶望視していた学校にも特別クラスだが、通えるようになったのだ。
母は,手を叩いて喜んだ。幸せそうな母の顔を僕は覚えている。そして僕も誓った。((弟の事は僕が守る))
「希望を持ってあきらめなければ、必ず道は開けると言う事よネ!」と、母の口癖はいつも、長男の僕に向けられた。多分これは、いつの間にか、宮原家の家訓になったようだ。
受験を来年に控えた僕に寄せられる期待が伺え、試験勉強中の背中に重く、のし掛かる。
(明日の進路相談、〇〇大?大丈夫かなぁ!…〜まだ時間あるから、挑戦してみろ〜とか、担任の前橋なら言いそうだ。)
僕は、環境化学科か自然科学を学び、気象予報士かシステムエンジニアになりたいと思っている。分離理科系の進学を希望している。
3者面談は可もなく不可も無く全て終わった。僕の面談もほぼ予想通りの結果ではあったが、ただ、意外なことに担任の前橋が、母の前で僕をリスったのだ。僕を褒めあげた❗️(なんで⁉️),僕にはクラスをまとめる統率力があり、皆に信頼されているらしい。僕は急に不安になった、(何か俺、やらかしたかな?…どう考えても、褒められる事は無い)
前橋が、この後に、僕に言い出し難い事など、嫌な事を頼んで来たりやしないかと、少しばかり背筋が寒くなった。
流行病中、束の間の授業が開始された。久々のクラスの仲間が集う。
都立高校八王子南は、AとBの2つの進学クラスと普通科に分かれ、生徒数28名のBが今のクラスだ。多分3年までこのクラスだろう。
「ネエ?シズキ!昨日のゲームさぁ、最高のスコアゲットしたじゃん!!そんでさ、キョンが興奮して騒いだから、オカンに見つかっちゃったの。だから途中で切れたというか、電源切られた❗️ 言っときますけど最後のは負けじゃないからウン!今日はとにかく成績下がったと面談で前センに言われた後だし、ゲームばっかやってるからよってネ。」
キョウコは自分のことを、キョン と呼んだりする。クラスの中でも、少し変わり者の女子は、言い出しにくそうに、マスクからはみ出た切れ長のデカ目で、今や親友の1人でもある僕に,意味不明の、謎をかけてきた。
「シズキ、だから今日と明日は、ゲームからひとまず抜ける❗️休止、休止。…だけど,だけどね、困ったことに勝負に負けると悔しくて寝れないのよねーア・タ・シ。キョンの性分とやらカナ、それで、もしかして、杉田(ゲーム仲間の1人)とか,部活と塾だったりして、シズキがやる人が居なくて困り、どうしてもゲームをやりてぇなぁと言う事なら、キョンの休止を休止してあげても良いよ❣️ハハハ」
「何なんダヨ〜、なに訳分かんない事言ってんだよー。要するに,キョウコが勝つまで今日もゲームを続けるってことなんだろう❓全くめんどくさい奴だなぁ,お前!!」
キョウコは僕を見ながら、笑い転げていた。
第二章
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