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そして私は空いているソファーに座った。
K
「ねえ……」
男2
「今度はどうした?」
K
「やっぱ、理由知りたい?」
男2
「理由?」
K
「家出の…理由。」
3拍空けてそう言った。
男2
「知りてーけど、言いたくないなら無理に言わなくていい。言えるようになったら言ってくれた方が嬉しいがな」
K
「…そっか」
K
「私さ。…虐め、られてて。」
その男はスマホをいじる手を止めた。
K
「……虐められてて。
家族、も小4の時にお母さんとお父さんが、離婚してさ。お母さんもお父さんもどこかに行って帰ってこなくなったんだ。 」
溢れ出そうな涙を拭う事なく瞬きで抑える。
K
「自分の価値が見いだせなかった。
そんな時にあの子を見つけたの。」
K
「……知り合ったのはネットの掲示板だった」
過去
叶芽
「…なにこれ。 お悩み掲示板……?」
ある調べ物をしていると、
そのサイトを見つけた。
叶芽
「ふーん」
《コンピューター》
「お名前を入力してください」
コンピューターの音が空気中にある無音の部屋に響き渡った。
叶芽
「名前、か。本名は怖いし……。 」
少し考えた後、私はその名前に決めた。
叶芽
「“K”とか。」
名前を決めると、画面が掲示板に移った。
色々な人達の悩みがそこには掲示されていた。
『カレシと別れて辛い』だとか、
『友達と喧嘩した』とか。
それに紛れて私も掲示板に投稿する事にした。
『辛い』とだけ。
そして、その“投稿する”ボタンを押した。
返信なんか来ると思って無かったし、
実際、来るのに時間が掛かった。
他の投稿には何件もの返信が来ている。
K
「そりゃあ、こんな薄っぺらい内容なら来ないか。」
冷食を食べ終えた後、そのサイトを閉じようとしていた時だった。
ピロン、と。一通の通知が来た。
K
「…え」
一度ドキリとした。
もし、否定されたら。もし、何か言われたら。
貶されたら。学校の時みたいに言われてしまうのではないだろうか。そんなことを考えながら恐る恐る開いた。
『大丈夫?元気出して!』
皆にとっては薄っぺらい返信なのかもしれない。でも私からしたらこれ程の事はなかった。
心配もされず、見向きもされない。
挙句の果てには蹴られて殴られて罵倒されて捨てられて。人間として扱われなかった。
でもこの人は違うかった。
もし、“初恋”という権利が私にあるなら。
その相手は紛れもなく、
あの“Yちゃん”なのだろう。