テラーノベル
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青 今日はどこへ行っていたんだ
いつになったら俺を見つけに来る。
お前は俺を俺の好きなものを見つけるのが得意だろう。
そう語りかける相手 は写真の中だった。
昔はよく逃げ回っていた。
授業が勉強が大嫌いだった。
執事もメイドもいつも困った顔をして俺を探し回っていた
———1人を除いて
青 ふふんっ…今日こそは絶対にバレないぞー!
桃 今日はこちらにいらしたのですね
授業に戻りますよ
そう声をかけるのは俺の小さな頃からの専属執事だった
青 今日はバレないと思ったのにー!
桃にはすぐバレる…
桃 何年青様に仕えていると思っているのですか。
青 でも桃は昔から俺を見つけるのが得意じゃん
どうして俺を見つけるのが得意なの?
桃 そうですね…私は青様の好きなものを見つけるのが得意なのですよ。
そう言う桃は困った顔をしながらもその瞳にはいつも優しさが滲んでいた
青 桃ー!!!
見てみて!花冠を作ったんだ
メイド教えてくれたの
綺麗でしょ!
桃 えぇ。とても美しいですね
青様によくお似合いですよ
青 実はね〜じゃじゃん!
桃のためにも作ったんだ!お揃い!
桃 いいのですか?
私にはもったいないほどのもののようですが…
青 良いから!つけてつけて!
急かすと嬉しそうでどこか照れながらもその花冠をつけてくれた
やはりその瞳には優しさが滲んでいた
青 花冠はね好きな人への贈り物なんだって!
だから桃にあげる
俺がが大人になったら結婚してね!
俺は桃の瞳が桃が好きだった
心の底から本当に愛していた
それでも真面目なこいつは
桃 お気持ちは嬉しいですが私は執事です。
私は残念ながらあなたの隣を歩むことはできないのですよ。
それに青様はきっと私以上に素敵な人と結ばれることができますから。
何度も言った俺の愛を受け取ることはなかった。
それでも俺は諦めなかった。
青 桃っ!大好き!
青 結婚しようね!
青 愛してるよ!
何度も愛を伝えた
結果はすべて同じだった
それでも愛を伝えていた時
1度だけ桃に聞かれたことがある
桃 青様は多くいる執事からどうして私を見つけることができるのですか。
そんなの当たり前だった
簡単なことだった
だって俺は
青 俺は自分の好きなものを見つけるのが得意なの
だから桃だってすぐに見つけられるんだよ
そう桃の瞳をまっすぐ貫いて伝えた
桃は困ったような嬉しいような照れたようないろんな感情の混ざった顔をしていた
でもいつだって瞳に滲む優しさは変わらなかった
赤 あれっその花冠どうしたの?
そんなの持ってるの珍しいね可愛い〜
桃 あぁこれ?
俺の大事な人からもらった宝物。
結婚指輪の代わりみたいな?
赤 それ本人に伝えたの?
桃 いや…伝えてないけど
赤 そりゃそうだよね…青様に伝えられるわけないか〜
桃くんが執事じゃなければ…
桃 ちょっと待って
なんで青様にもらったことを知ってるの?
赤 え?いやいや桃くん分かり易すぎだから
桃くんの気持ちに気づいてないの青様だけじゃないかな
桃 う…嘘…
赤 えっ…もしかして自覚なし?
青様と話す時だけあんな幸せそうに笑って優しい瞳してたら誰だって分かるよ
桃 俺…そんな顔に出てる…?
赤 うん…写真撮って見せてあげたいくらい
桃 それはやめてほしいけど…
青様にバレないように気をつけなきゃ…
おかしい…!
おかしい…おかしすぎる!
青 いつもだったらもう見つかってるのに
いつも通り授業を抜け出してた時のこと
いつもはあっという間に桃に見つかるのに
今日は見つからない
いや
良いこと…良いことなんだけど…
ちょっと寂しい…
桃 本当は青様のこともう見つけてるけど…
すぐ見つけたら好きなのバレるかな…
いやでも授業には出てもらわないと…
桃 …青様
青 遅かったな。お前にしては珍しい。
少し不貞腐れながらそう言う
我ながら子供っぽいと思うが俺を寂しくさせたんだ
俺は悪くない
まぁでも
青 今回は許してやる。ちゃんと来たからな
そのまま立ち上がろうとした
いつも通り桃の手を取って
それなのに
青 は…?
桃が倒れた
赤くて黒い血を流して
何が起きたか分からなかった
桃 ご無事…ですか…
青 俺の心配よりお前の傷が…
桃 もう…無理ですね…
最期に見れるのが青様の顔で良かった…
青 何か方法が…絶対…!
血の匂いが広がる中
必死に桃を抱きとめながら叫ぶ
青 なんで…なんでお前がっ…
本当は俺が…
俺が撃たれるはずだったんだ…
そんな俺の気持ちとは反して桃の血は広がっていく
じわじわと俺の心を赤く染め上げる
青 くそっ…お前は俺の好きなものを見つけるのが得意なんじゃなかったのか…
声が震えた
視界が滲んだ
それでも伝えたかった
青 どうして…自分を外すんだよ…
桃 申し訳…ございません…
それでは最期に私のわがままを…聞いていただけますか…
青 あぁ…なんでも言え
抱きしめる手に力が入った
嬉しかったと同時に最期という言葉は俺の胸に深く突き刺さった
それでも聞いてくれというそのわがままを、俺が受け止めなければいけないと思った
桃 今世では…叶いませんでしたが…次の生では…あなたの…隣で歩むことを…お許し…いただけますか…
青 …当たり前だ
好きな奴の願いを叶えねぇ奴がどこにいるんだ
桃の瞳をまっすぐ見つめ
青 俺はお前だけの 王子だ…
それに…次の生ではお前が生きられなかった今世の話を嫌というほどしてやる…
お前の…隣で…
桃 …
桃は少し驚いたように目を少し開いた
青 だからさ
次も見つけに来いよ
俺のこと…
この時の俺はどんな顔をしていただろうか
上手く笑えていただろうか
涙で滲んで何も分からなかった
それでも
桃がいつものように優しく穏やかに微笑んでいたことだけは分かった
——その瞳に滲む優しさも最期まで変わることはなかった
桃は二度と目覚めることはなかった。
それでも青は、
桃から見つけられることを信じて疑わなかった。
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