カーテンが揺れていた。冷たい風がつま先にあたる感触と電車が線路を走る音で目が覚める。ぬるい覚醒の中でやっと昨日のことを思い出した。カーテンを閉める気力もなくて帰ったらベッドに倒れるようにしてそのまま眠ったのだと。
細く長い息をつく。これからシャワーを浴びてメイクをして、また仕事に行かなければならない。朝食を食べる気にもなれない。けど、久しぶりによく眠れたんじゃないかと思う。最近は早めにベッドに入っても必ず2、3時に目が覚める。そこからはどうやっても眠れなくてお昼の弁当の準備とか洗濯の時間にしてる。でも今日目覚めた時は朝だった。カラッと晴れた寒い朝で、やっと夜が明けたような気分になった。
「あーぁあ」
誰にも見せられないような顔を引きずって風呂場に向かう。化粧をしたままの顔は浮腫んで、かろうじて目元がキラキラしているのがわかる状態だった。風呂から上がり窓を見ると一層空が眩しく見えた。日が上がってきたのだろう。
「めんどくさ」
窓際に膝を立てて座り、タバコを吸う。会社に行きたくないなぁと思いながら煙を吐いて近くにあった空のビール缶の中に吸殻を落とす。
今日もまた仕事が始まる。
嫌いなものがわんさかある場所に自分から突っ込んで行かなければならない。みんながピリピリしてるオフィス、上司が着けてる香水の臭い、機嫌いい時だけ優しい同期、会社に着くまでの電車に乗ってる時間。全部全部嫌い。
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