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kgmn
雪が降り積もるほど寒い日,俺は1人の男を待った。
『はーッ…寒…』
指先や耳がほんのりと赤くなり,やがて痛くなる。そんな季節。だが,この寒さに耐えるほどの価値が今日にはある
「お待たせ。めっちゃ寒そうやん緋八」
『カゲツ〜!!ほんまやで!?寒すぎるわ!!』
叢雲カゲツ。俺が密かに想いを寄せている人物。彼の優しさ,声,行動,どれを取っても惚れない要素がないほどの完璧男。欠点といったら勉強が壊滅的に出来ないというところだけだろう
『ほな行こか!!』
好きな人とのお出かけが楽しみじゃない人間など居ないだろう。今の俺は世界で一番の幸せ者と言っても過言ではない
ショッピングモールへ行き,服を買ったりアクセサリーを見たり,クレープを食べたり,沢山のことをした
「緋八クリームついてんで」
『嘘ぉ!?』
「取ったるからじっとしとき」
『ん。ありがとう!』
などといったカップルの様なイチャイチャもした。
時の流れとは残酷で,楽しい時間ほどあっという間に過ぎて行ってしまう。辺りはすっかり真っ暗で,道の明かりだけがやけに目立っていた
『もう真っ暗やな〜…』
「な。」
『人も全然おらんし…なんかホラーゲームの世界みたいでわくわくするわ!!』
「何か言っとるわw」
俺が言った言葉に対してちゃんと反応してくれる。そんなところも大好きだ
『人もおらんし…真っ暗やし…丁度ええか』
「?」
今日はただ遊ぶためだけにカゲツを誘った訳ではない。遊ぶのはただの建前,本来の目的はここからだった。
俺は今日,カゲツに告白する
好きになってから毎日が苦しかった。好きで好きで堪らないのに,相手も男で俺も男。そんなの一般的な人間からしたらキモいと思わない訳がない。だから,今日,きっぱり断られようと思う。ちゃんと想いを伝えて,明日からはちゃんと友達同士で関わっていくために。
緊張で真っ赤になった顔も,断られるのが怖くて出てきた涙も,今はこの暗闇が隠してくれる。大丈夫。ちゃんと伝えられる
『あんな…カゲツ』
「どしたん?緋八」
『ッ゛……』
伝えて終わろう。その後は自慢の足で走って逃げればええ。大丈夫。
呼吸を整え,空気を音にする
『俺。カゲツが好きやねん』
『友達としても,恋愛としても…カゲツが…叢雲カゲツが大好きやねん』
今にも溢れ出しそうな涙を必死に堪え,服を握った。
『キモいよなッ!!ごめん。でも友達ではおってくれ!!』
そう言い捨て必死に走った。なるべく遠くに。カゲツから離れるために。せっかくオシャレにセットした髪も,何時間もかけて選んだ服もぐしゃぐしゃにして
数分間走り続け,俺の体力は空になり
必死に呼吸を整えながら,道の端にへたり込んだ。冷たい空気に晒され続けた肌は乾燥し,泣きすぎて腫れた目に冷風があたりヒリヒリする。
『痛い…』
あんないきなり言葉を投げつけて逃げてくるとかマジで最悪の極みやん。次会う時どんな顔すればええねん。
『俺…終わっとんな…ほんまに…』
とっくに枯れたと思った涙が再び頬をつたり,服に染みた
「何が終わっとるって?」
『…ッは?』
追いつかれた?と言うか追いかけてきたん?この距離を?なんで?
多くの疑問が一気に頭を駆け巡った。
「いきなり話し出したかと思ったら僕が何か言う前に走り去るとか…何しとんのマジで」
『ぇあッ…やってそれは…』
「緋八足速いから追いつくのも探すのも大変やったで?」
『それは…ごめんやけどさ…』
言葉が途切れ途切れにしか出てこない。顔も酷いし。今がどう言う状況かも理解が出来てない。どしたら良いのかと思考していると,彼が一言言った
「僕も好き」
一瞬時間が止まった様な気がした。
僕も好き?そう言ったんか?いやそんな訳ないやん。カゲツがそんな事言う訳ない
『嘘や…そんな訳ないやん』
「嘘やない。僕は緋八が好き」
「ちゃんとさっき伝えたかったんに…逃げたのはそっちやん」
『そう…やけど…』
「僕ら両思いやったんやな」
その一言に涙がぶわっと溢れた
『ッ゛…ぅ゛う゛…』
「緋八?顔見せてくれん?」
『ぃややッ…』
「なんで?」
『今俺…酷い顔してるもんッ…』
「お願い緋八」
『無理ッ…』
「…」
無言になったかと思ったら,手を退かされ片方にまとめられてしまった
『ッ…//// 』
「かわええ顔しとんなw」
『やぁッ…////』
「大丈夫やで。どんな緋八でも愛したるから」
「んね。緋八。好きやで」
『はッ!?///』
「大好き。もう離したらんからな」
『ちょッ…カゲツ!!待って!!///』
「待たんよ。大好きやで緋八」
『やッ…///カゲツッ…//』
「大好き。マナ」
『ッ…///ズルいって…///』
「マナは伝えてくれへんの?僕に」
『伝えたやんさっき!!//』
「僕もっとマナの大好き欲しいなぁ」
『ほんまお前ッ///』
「あかん…?」
『ッ……』
恥ずかしさを耐えるためにカゲツの肩に顔を埋め,伝えた
『俺も大好きやで…///』
「んふ…知っとる」
「この後さ僕ん家行かん?もっとマナに愛伝えたいわ」
『!?!?/////』
「ダメ?」
『…駄目な訳ないやろ///』
『んッ…//ッは…ッは…//』
「マナかわええな…」
『うっさいわ…//ほんまに///』
「これからはずっと一緒やで」
『…うん///』
そう言葉を交わし,ベッドの上で愛を伝え合った
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