はじめまして、さくらと言います…!
趣味程度にはなりますが、読んでいただけると幸いです…!
【sxxn兄弟パロ】
(体調不良表現あり)
登場人物、設定⬇
・LAN(長男)
生まれつき体が弱く、免疫力が低い。
無理をしがち。
・ すち(次男)
・いるま(三男)
・なつ(四男)
・みこと(五男)
・こさめ(末っ子)
2000字程度です。
では、行ってらっしゃい👋
窓の外は、どんよりとした曇り空が広がっていた。
季節の変わり目特有の湿った空気が、部屋の中にも入り込んでくる。
「んう…」
ベッドの上で、長男のLANは重い瞼を開けた。
起き上がろうとした瞬間、視界がぐらりと歪む。頭の奥で警鐘が鳴るような鈍い痛み。
生まれつき体が弱いLANにとって、気圧の変化や寒暖差は大敵だ。
どうやら今日は、その「ハズレ」の日らしい。
けれど、今日は週末。
弟たちはみんな家にいる。
長男として、朝ごはんを作って、洗濯をしてやることは山積みだ。
「よし..ッ、」
LANは震える足に力を込め、壁に手をつきながらリビングへと向かった。
「おはよ~……………」
「あ、らんにぃ、おはよ! 今日はパンケーキだよ〜!」
リビングに入ると、エプロン姿のすちがフライパンを振っていた。
香ばしい匂いが漂っている。
ソファでは、なつといるまがゲームをしており、こさめとみことはテレビに夢中だ。
「すち、ありがと………………俺、やるのに」
「いーの。らんにぃ、昨日仕事遅かったじゃん。顔色悪いよ…」
「大丈夫だよ..ニコ」
すちの鋭い指摘に、LANはドキッとする。
作り笑いを浮かべて、テーブルの席に着こうとした、その時だった。
「ッ……………ごほっ、ごほっ……………!」
突然、激しい咳込みがLANを襲った。
肺が締め付けられるような感覚。
一度出始めると止まらず、目の前がチカチカと明滅する。
「らんにぃ!?」
真っ先に反応したのはなつだった。
ゲームのコントローラーを放り投げ、LANの背中を支える。
その体温の高さに、なつの顔色が変わった。
「おい、すげぇ熱いぞ。らんにぃ、お前まさか…………」
「だい、じょうぶ………ただの、風邪………………」
「大丈夫なわけないじゃん!」
こさめが慌てて駆け寄り、泣きそうな顔でLANの手を握る。
「手が震えてるよ…….. また、無理したの?」
LANは弟たちを心配させまいと、必死に呼吸を整えようとした。
けれど、体は限界を訴えていた。
視界が急速に暗転し、足の力が抜けていく。
「あ..ッ」
意識が途切れる寸前、誰かの力強い腕が体を支えてくれたのが分かった。
「……っと。危ねえ」
いるまだった。
普段はLANと喧嘩ばかりしているいるまが、今は真剣な眼差しでLANを抱き留めている。
みことがブランケットを持って走り寄ってきた。
「いるにぃ、ソファ! 寝かせよう!」
「あぁ、そうだな。」
弟たちの連携は早かった。
LANは抵抗する力もなく、ソファに横たえられた。
熱に浮かされた頭では、弟たちの声が遠くのほうで反響しているように聞こえた。
目が覚めた時、額には冷たい感覚があった。
重い瞼を開けると、心配そうに覗き込む5つの顔があった。
「………みんなッ…」
「気がついた?」
みことが安堵のため息をつきながら、LANの汗ばんだ前髪を払う。
氷嚢を交換してくれていたらしい。
「熱、39度後半まで上がってたんよ。今は少し下がったけど…」
いるまがおかゆの入った器を持って、そばに座った。
「まったく調子悪いなら言えって、いつも言ってるだろ」
口調は厳しいが、その声色はどこまでも優しい。LANは申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめん………………みんなに、迷惑かけたくなくて」
「迷惑なわけないじゃん!」
こさめが少し怒ったように声を上げた。
その瞳は少し潤んでいる。
「こさめたち兄弟だよ?
頼ってくれないほうが悲しいよ。」
「そうそう。長男だからって、全部背負う必要ねぇんだよ」
なつが、冷たいスポーツドリンクをストロー付きで差し出した。
「俺らだって、らんにぃの役に立ちたいんだからさ」
「……ん。ありがとね..ニコッ」
差し出された飲み物を一口飲むと、乾いた喉に水分が染み渡る。すちがLANの手を優しく握った。
「らんにぃがいてくれるだけで、俺らは幸せなんだから。まずは治すことだけ考えてね…」
弟たちの温かい言葉に、LANの目頭が熱くなる。体の弱さを恨んだことは何度もあった。
けれど、この兄弟たちと出会えたこと、こうして支え合えることは、何よりの幸福だった。
「……………じゃあ、甘えさせてもらおっかな」
「おう、任せとけ!」
「何か欲しいものある? プリン食べる?」
「こさめが歌ってあげよっか? 子守唄!」
わいわいと賑やかになるリビング。
頭痛はまだ少し残っているけれど、先ほどまでの重苦しい不安は消えていた。
窓の外を見ると、いつの間にか厚い雲の隙間から、柔らかな日差しが差し込んでいる。
雨上がりの空は、まるで弟たちの笑顔のように澄み渡っていた。
「みんな……………大好きだよ───。 」
小さな呟きは、賑やかな兄弟たちの笑い声に溶けていったが、きっとみんなには届いているはずだ。
LANは安心して、再びゆっくりと目を閉じた。
最後まで読んでいただきありがとうございました…!
コメント
2件
家族愛、、、 めっちゃ感動作品っ!