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思えばそれは、必然だった。
その時、俺はふと倉庫が気になった。一家相伝で受け継いできた倉。何が入っているのかは両親もあまり知らないらしい。
そんな倉庫は当然子供達の遊びの場となった。両親に見られれば怒られるから、秘密にしてよく遊んだ。
そんな遊びを続けていたのももう昔。流石に高校生になればそんなことはしない。老けたって言ってもまだ四十ぐらいだけど、両親も老けた。
ある時、ふと気になった。あの倉の中身は何なのだろう、と。
気になった俺は、久方ぶりに扉を開けた。ギギッと古臭い音がして、気にせず力強く開いた。
「コホッコホッ!」
灰が舞った。口から気管へ入って咳き込む。酷い。掃除が殆どされていない。
両親が大切なものばかり入っているから、絶対に入ってはいけないなんて言ってたのに、全く大切にされてない。
むしろ酷い扱いをされている。
中身を一つ一つ確認していく。どれもガラクタにしか見えない。壊れた時計、切れそうにないナイフ、湿気たマッチ。
ガラクタというかゴミだな。これ。
頭の中で結論づけるも勝手に捨てるわけにもいかない。
しかしもっと綺麗にしてあげないとこれらが可哀想だ。
俺は、ナイフに触れた。もう錆びていて、物を切れなさそうなナイフ。
柄をぐっと握りしめて、そして──
ナイフは輝きだし、力を発し始めた。
「なんだなんだ!?」
思わず困惑の声が飛び出る。不自然というよりも非科学的だった。
触れた瞬間光るってそんな玩具があった気がする。
どうでもいいことを考えて少しでも緊張を解そうとする。
一体何が起こっているのか、あのガラクタナイフはなんなのか。
輝きは収まったものの、何故か綺麗になったナイフを持ちながら、倉庫を出る。
両親に聞こう。そう思いながら。