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配信の合間に、葛葉はスマホの画面をなんとなくスクロールしていた。
特に変わった事は無い、いつもの画面。リスナーと雑談しながらもうしばらく指を動かしていると、1つの広告が目に入った。
【別れやすいカップルの特徴】
・言葉にしない
・甘やかされすぎ
・すれ違いが多い
(……やべぇ、これ……俺達じゃね…?)
葛葉の胸に重たい不安が押し寄せる。
叶とは長年相棒として活動してきたが、今は恋人という肩書きが増えた。
だが、自分はいつも恥ずかしがって素直に、「好き」や「愛してる」など、恋人らしい言葉を言える事が出来ないでいる。叶は優しいから無理矢理言わせようとしてくるとかは絶対しない。けど、流石に甘やかされてばっかりで俺の気持ち伝わってんのかな、とは葛葉も思っている。今日だって朝起こしてもらって、事務所に行くまでの準備してを手伝ってもらった。ご丁寧に朝ごはんまで付けちゃって。
(このままだと…..俺、捨てられんのかな)
葛葉は少し震えた指でスマホを置いて配信に戻った。
その夜、2人とも配信を終えて寝ようとした時葛葉は重たい口を開いた。
「…か、かなえ?」
「ん?どうしたの?」
「その言いたい事があって…っ」
葛葉は深呼吸して、ぎこちなく言った。叶は既にベットの上でスマホをいじってリラックスしており、葛葉の事を不思議そうな目で見ている。
「…何?…..勿論だけど別れ話とかじゃ無いよね?」
いつもと違うかしこまった葛葉と雰囲気に叶は困惑していた。
「…っ!ちッ違う!」
「……俺、言葉にするの苦手で、いつも誤魔化してばっかで伝えられないし…」
「可愛いことも言えないし…っ、」
「葛葉が素直に言葉に出来ないのはもう分かってるよ」
「それに言葉に出来なくたってちゃんと伝わってるしね」
叶は微笑んで、葛葉の手を取った。
「…でもちゃんと言わないと、俺の気持ち伝わんないから、叶に飽きられるかなって」
「無理に言葉にしなくていいよ。お前が僕の事大切にしてくれてるのも分かるし」
「…俺、甘やかされてばっかりで、叶にめんどくさいとか、嫌われたらどうしよって不安になっちゃってッ」
「それは僕がやりたいからやってるだけ。だから面倒くさいとか思わないし、嫌う事も絶対ない!」
「分かった?」
「……ぅ゛ん」
「んふ、葛葉泣き虫だねぇ」
「…泣いてない」
叶が手を広げて俺を見てる。え、何?来いって事?
「ほらおいで〜僕が抱っこしたげる!」
葛葉は何も言わずに叶の胸元に寄り添った。そして、
「これからもずうっといっしょだよ?♡」
俺はその言葉で不安が打ち解けた安心と幸福で胸がいっぱいになり、
「….俺、かなえのこと好きだから忘れないでね?///」
「僕も葛葉の事大好きだよ」
2人の距離は更に近づいた。そして、不安も、恥ずかしさも全部を包み込む愛がそこにあった。