テラーノベル
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このストーリー進めるの久しぶりですね。下手くそです。お手柔らかに。
こしょこしょ話という言葉があるのかと思っていたのですが、そんな言葉無いとグーグルジェミニさんに怒られました。ないんすか。作ってくれ。
榊ネスの3D、くそ笑いました。星導はひろふみとして出ると思ってたら、急に下ネタぶっこまれて。でもくそ顔が良くてツボりました。おかげで筋肉痛で、そろそろ腹筋が割れそう。いたい。
wnkgのサムネを変えた途端、急に♡が増えてびっくりです。不破湊の言葉を借りようと思います。この変態ガキども!!笑
グウェルさん100万人おめでたいですね。私もチャンネル登録しときました。
にじたうんいっちょうめ、ということは二丁目も出るし三丁目も出るってことですよね。てことはさぁ!!ヒーローも来るじゃん!!!金ねぇんだけど?!!
広島公演と兵庫の公演により推しとの距離が近くなって、興奮が抑えられないです。実質添い寝(?)
リアルの友達(推し)ににじさんじ布教したら、見事星導さんにハマってくれました。嬉しい。誕生日グッズ買ったらしいです。二人だけの秘密が出来たみたいで良いですね。
崩ステ、最近ユーチューブで見はじめて。サンデーさんと金髪男性の目が水色と紫のマフィアみたいな人が好きです。
独占欲強くて優し緋八と、秘密に隠された星導のお話。今回八千字超え。多分次回最終回です。
ぢくぢくとした不快な痛みが止まらない。無意識に爪を立て自分の手の皮膚を傷付ける。血は出てないものの、日頃日焼けに気をつけている白い肌に赤い円のような痕が沢山付いていた。逆に血が出たらるべは心配してくれるのかな、なんて。
「知ってたのは俺だけじゃないんだ」
誰も気付かれない声で、ぽそりと呟いた。自分でも驚くほど弱々しい声だった。
「あ!マナ?!動かないでくださいね!!」
俺にずんずん近づいてくる。そんな自分勝手な感情でるべに気を使わせたくない、と咄嗟に自身で傷つけた手を後ろに隠した。心配してほしいのに、気を使わせたくないって、自分でもよく分からない。
るべは焦っているようで大きな飛沫を上げていた。るべの制服が濡れてしまう。どうして、そこまでして俺に向かって来るのだろうか。分からない。でも今日ずっと避けていたのに、また俺に話しかけてくれた事が不安とは裏腹にとてつもなく嬉しい。
「え、るべ…?どうし…」
るべはぱっぱっと頭上を手で払った。そして虫の独特な羽音が聞こえる。どうやら、頭に虫が留まっていたみたいだ。
「もう大丈夫ですね。…どっか痛いとかある?刺されたりしてない?」
肩を掴みゆらゆらと揺さぶってくる。るべの手が熱くて、手が触れている所からじわじわと熱が伝わる。太陽の暑さと相まって本当に溶けてしまいそうだ。
「…あ、うん、だいじょーぶ…」
多分顔が赤くなっている事だろう、恥ずかしくて少し俯いた。
「良かった」
そんなことされたらもっと欲しがってしまうではないか。彼の優しさを。彼からの視線を。彼の愛を。
彼の為にも俺の為にも、数歩後ずさった。
「…ねぇ、何で避けるんですか?」
俺が数歩下がった数だけ、るべは俺ににじり寄ってくる。
「何でも、ない」
一瞬、るべの笑顔が引き攣った。
何と思われているのか怖くて、不意にひくりと喉が震えた。
「俺、マナに嫌われるような事しましたか?」
俺の肩を掴んでいた手がだらりと崩れて、再び弱々しく俺の腕を掴んだ。
「い、や。何でもな
きゅ、と俺を掴む手に力が篭った。
「俺…マナに避けられるのだけはやだ。」
「マナの嫌なことしちゃったなら、直すから」
呆気に取られた。
るべがそんな事を言うなんて。
何と返そうか、推敲する。数秒間だけだったはずなのに、とても長く感じた。
「…いつか、言う。いつか言うから」
「やだ、今が良い」
子供が駄々をコネるように呟いた。
「じゃあ、今日は一緒に帰ろ?そん時言うから…これでも駄目?」
「わかった」
俺の腕を掴んでいた手を離した。若干赤く痕が残っている。少し嬉しいかも。…やっぱなし…///。
「絶対、ですよ?」
「うん」
安堵をしたせいか、重度の寝不足と熱中症で立ちくらみが起きる。気持ち悪い。吐きそう。グラグラと体が揺れて視界が黒くなったり白くなったり明滅している。
「お、わっ」
バシャンと音を立てて二人がプールに転ぶ。
だが、これでもるべが俺の手を掴み被害を最小限にしてけくれたのだ。
「あ、はは…ごめんな、」
「いえ」
るべの腰までの長い髪が水に浮かんで海月のようにゆらゆらと浮かんでいる。ワイシャツが濡れた事により透けてるべの脇腹らへんに黒い何かが見え気がする。俺よりいち早く立ったるべが俺に手を差し出した。好意に甘え、るべ手を取ると引っ張ってくれた。お互いビッショビショになったのを見て苦笑する。
「…ちょっと更衣室行ってきますね」
「うん、いってらっしゃい」
るべは返答に笑みを返した。髪の毛を隠すように一つにまとめて、そそくさと早足で駆けて行った。何も考えないようにして、それを見送った。再びブラシに力を込める。
「ありゃなんか隠してんね」
ずしりと肩に重みが掛かる、どうやらライは肩に顎を乗せているようだ。喋る度に顎が動いて少しくすぐったい。
「…やっぱライもそう思う?」
「俺から見ても、だいぶ怪しーね」
俺に隠すこと。何だろうか、先ほど俺に隠すなと言ったばかりなのにるべは隠すんだ。ピリッと指先に痛みが走る。またちくちくと俺を不安にさせる。
「更衣室、着いて行ったら?」
「それは、流石にダメやろ」
今はセクハラとかプライバシーとかが厳しい世代やし…
「でも気になるでしょ」
「そりゃそうだけどぉ」
「じゃあ、いってこーい!」
背中を押される。
熱いプールサイドを通り越し、おずおずと更衣室に向かう。更衣室のドアの目の前に立ち、今から万引きでもするんですか?と言う感じに周りを見渡す。
よし、誰もいない。
見える程度、五センチぐらい開けて中を覗く。
蛸の足は水を含んで蠢く度にべちょびちょと聞こえてくる。るべの周りには紫のような黒のような霧がかかっていて、良くは見えない。だが妖艶な雰囲気を醸し出していた。
どうやらその霧の発信源はお腹の傷ような所からでさっき俺が見た黒い何かはこれだったようだ。
かちりと目が合う。
細かに動いていた目が確かに俺を捉えた。
足から力が抜けた。
背中がゾワゾワと粟立つ。
プールサイドのタイルに尻餅を付き、ドスンと音がなった。
「ぃつ」
逃げなければ。普段の彼からは想像が出来ないような冷たい目。命を狙われているような感覚。ずりずりと足を引きずって出来るだけ離れる。ライ達に助けを求めようと思ったがここだけ切り離された別の世界なんじゃないかと酷く遠く見える。寒い、空気が冷たい。喉が切り裂かれるようにピリピリと痛みが走る。
怖い。
肩で息をすると言うように肩が上下に動く。
目の前の扉の隙間から蛸足が伸びてきて、ゆっくりと開かれる。
さっきの紫の冷たい霧が隙間から溢れ出る。
怖いのに目が反らせれない。
目の前が真っ暗になった。
「ひゅッは、ひゅくっッ」
目を覚ますと見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。
どこだ、ここ。
部屋を眺めてみるとオレンジ色になりかけなので夕暮れ前なのだと察する。見知らぬ部屋と言ったが、違った。ここは星導の部屋だ。
感覚が戻ってきた頃、足に重たい感覚がした。上半身だけ起き上がるとるべが足元ですやすやと寝ている。
相変わらず、髪さらっさらだ。
夕日に照らされて一段とキラキラと輝いている。
一房触ってみると少し湿っていた。
「あ、」
「なぁに?」
再びあの碧眼と目が合った。優しい目。
「…なぁ、君は…人間?」
珍しく星導の事を「君」と呼んだが、それ以外俺の頭の中では思い付かなかった。
「人間かもしれないし、人間じゃないかもしれないね」
ふいっと俺から目を逸らした。
「どっち」
「俺は人間だと思ってるよ」
「じゃあ人間か」
「信じてくれるの?」
「本人がそう言ってるなら、信じるしかないやん。てか、あれなに?あの…蛸足?」
「俺もよく分かんないんだよね」
「髪の毛が蛸に変化してんの?」
「そう…だね、生れつきで」
温水、お風呂とかだったら変わらないんだけどね、付け足した。
だから必ずいつもプールの授業は見学しているのか、と合点が行った。
「マナ、このこと誰にも言わないで」
うんと、頷いた。自分は口が堅い方だと自負している。
「それで教えてくれるんだったよね?俺を避ける理由。」
このまま何事も無かったかのように帰れると思ってたのに、言われた瞬間ギクリと身体中が固まった。
「…あー、それ聞いちゃう?」
「知りたい!!」
「えっと、…引かんでな?」
告白する時は遊園地やレストランと、シチュエーションを色々と考えていたのに現実は、何度も行ったことがある星導の部屋。ちゃんと身嗜みも整えて、るべの好きな服を着てお揃いのピアスを身につけて挑みたかったのに、プール掃除のせいで少し湿った代わり映えのしないワイシャツ。おまけに髪はボサボサで、お世辞にも綺麗とは言えない状況だ。
これは考えもしない、最悪な物だった。
「るべが好きだから」
「ラブで?」
「じゃなきゃ言わんけど」
驚く訳でもなく、喜ぶ訳でもなく、軽蔑的な目を向ける訳でもなく、ただ微笑んだ。恥ずかしがるように口元を手で隠して。まるで俺がそう言うのを知っていたかのように。
「_俺も好きだよ」
鼻腔は石鹸の匂い、視界には水晶のような碧眼で満たされた。
そして初恋の人に唇を奪われる
と、言う夢を見た。
実際は、目覚めると保健室のベッドに寝かされ、カーテンの隙間からオレンジ色の夕陽が差し込んでいた。眩しくて起き上がると、誰かがいる訳でもなく純白のカーテンに囲まれていた。
「さいあく…、」
再びベッドに沈んだ。
クシャリと前髪を崩した。
少しでも期待した自分が嫌になる。
後を付けようなんてしなければよかった。
こんなに虚しくなるなら、好きになんてなりたくなかった。
好きという、感情をなかった事にしたい。
暫くそうして悶々と自己嫌悪に陥っていると、保健室の先生が見回りに来た。
「あ、緋八さん起きたんですね。どうしますか?お迎え呼びますか?」
保健室の先生は真顔で何考えてるのか分からない。ポーカーフェイスというやつだ。だが釣り目で眼鏡。正直、いつも怒ってるように見える。
「いえ、歩いて帰ります」
「分かりました。…そういえば、先生方からプール掃除のお礼としてアイスがありますが…食べて帰りますか?」
「あ、…食べながら帰ります」
言った後に気づいた。ヤバい食べ歩きになってしまう、と。
「今回だけ、目をつむっておきます。この事は口外しないようにしてくださいね?」
しー、と人差し指を唇に添えた。
「はい笑」
思ってたより、先生はおちゃめなのかもしれない。
先生が渡してくれたのは葡萄のアイスバーだった。
またネガティブ思考が舞い降りてきたが、他の事を考えて一蹴しておいた。
「あ…は、は」
無理矢理口角を上げて、零さぬように無自覚に瞬きが多くなる。目元が熱くて、湿っている。
弱い自分が、
我が儘な自分が、
自分の気持ちを相手に押し付けようとしている自分が。
痛くて、
苦しくて、
恥ずかしくて、
汚くて、
醜くて、
自己嫌悪に陥った自分の考え方が嫌になって。
ぴちゃぴちゃり、とアイスバーを舐める。ちょっと酸っぱくて薄くてベタベタしてる。
俺の家に着いた。という事は星導の家の前にもいるという事だ。
チラリと隣の家を見てみる。星導の部屋がある所には堅くカーテンが閉め切られていて、様子は伺えない。
家に帰っても一人でいるのは少し怖かった。
次の日、星導は欠席だそうだ。
何もなかったように過ごせば良いと思っていて、いつものように星導の家の前で立っていた。だが遅刻ギリギリな時刻になっても家から出てくる訳でもなかった。しょうがなく一人で登校し、教室に着く。やはり、星導はいなかった。そして、担任から星導は夏風邪だとクラスメートに告げた。
教室がざわめく。ファンクラブの女の子達が嘆いた。クラスの男子が感嘆の声を上げる。その中で俺だけが内心ホッとしていて…。
昨日までは会うだけで喜んでいたのにな。
ライにプール掃除の事を聞いた。あの時俺は星導と更衣室に行っている途中、熱中症で倒れ、そのまま俺を保健室に連れていってくれたそうだ。
俺が覚えてる事とライが言っている事が一致しない。俺は更衣室に行った星導の後をつけた筈だし、「気になるなら、いってこい」と言ったのはライ本人だ。
俺が思ってるより、星導は人間から掛け離れた存在なのではないか?あの時、悪ければ俺は殺されていたのではないか。と妄想が膨らむ。あの姿を思い出すだけでも身震いをする。
「それでは二人一組をつくってくださ~い」
先生の悪魔のような掛け声で全員がドタドタと動き出した。いつもなら、星導を囲むサークルが出来てるはずなのに今回はすんなりと仲がいい同士で組まれていった。どうしようか。このままではぼっちになってしまう。周りを見渡してもライはいない。
誰を誘おうか見渡していると、ちょいっと肩が叩かれた。
「あ、緋八…サン?」
独特な心地がいい低音。顔を見ずとも分かる。
「マナでえーよ?」
振り返ると小柳は案外近くにいて、驚いた。こつん、と顔同士がぶつかる。咄嗟に半歩後ろに下がり、「ごめん」と言うと「ん、いーよ。」と普段クールポジの小柳が柔らかく微笑んだ。小柳は少し頭を傾かせる、その拍子にふわりと灰色の髪が揺れた。
「マナ。俺と組んでくんない?」
「え、ありがとな。ちょーど困ってたんよ」
「そりゃ良かった」
また、微笑んだ。笑い方、控えめに口角を上げて、手で口元を隠す笑い。似てる。
「うん」
じゅわり、といつもと違う暖かさで満たされる。
「突然だけど、マナは星導の事好きなの?」
冷水機で水分補給をしていた時だったから、水を噴き出しそうになった。
「…ほんま、突然やねぇ…」
「あ、聞かれたくなかった?」
「別にいーよ」
「で、どうなの?」
男子高校生が二人で恋ばなだなんて、初めてする。汗をビッショリとかいたメンズ二人とは少しむさ苦しいが、少しでもモヤモヤが晴れるのなら喜んでこの状況を受け入れよう。
「好きでもある」
「そっか、」
あ、え、と歯切れが悪いように言いだそうとして、言い出さず飲み込むということを繰り返していた。
「なに~?ロウも好きなん?」
「いや?星導はいけ好かない」
「なんでよ~」
「なんかねちっこいっていうか、簡単に言えばキモい」
「ねぇ、好きな人の前で言うことなくない?!」
「マナが聞いたんじゃん笑」
「ほんとや笑」
「だろ?笑」
なんだか、話していると身体が火照った。だが熱さが丁度心地好くて、なかなか逃げていかない。
「あ、そいやあマナって意外と嫉妬深いんだな」
「え?」
「昨日のプール掃除で俺と星導が話してる時あったろ?そん時、すっごい殺意の篭った視線来てたね。」
「嘘や!そんな睨んでないし!」
「いーや、来てたね」
むぃ、と眉の端を吊り上げて、誇張したであろう再現を俺に見せつけた。
「それで、マナが思ってるより俺ら仲良くないぞ」
「嘘や、めっちゃ仲良さそうにしてたやん」
記憶を遡ってみてもいつも星導と小柳はずっと世間話で盛り上がり、談笑していた。
「んな事ないよ。ずっと威嚇されてるし。だってアイツ、俺に虫嫌いだって言った事ねぇよ?」
「じゃあ、なんで」
「ちょっと前にアイツの肩に蜘蛛が乗った時があって、素振り的に嫌いなんだなって」
少しだけ傷口が塞がった気がした。
「それに比べてマナは愛されてんな、髪なんて俺が触ろうとしたら何されるか分かんねぇわ。」
「だから、…そんなに怖がらなくていいと思う」
今日俺が星導というワードに機敏に反応していたのを小柳は気づいていたのか。
「…ありがと」
ちょっと期待してもええんかな。
自分の手同士を絡めて。
いつか手、繋げれたら良いな。…なんて。
「緋八、確か星導の家から近かったよな」
帰りのHRが終わりいざ帰ろうとした時、担任に話し掛けられた。
「はい」
「ちょっとコレ届けてくれないか?出来れば手渡しで頼む。」
渡されたのは少し厚みのある小さな封筒だった。感触的になんか紙が数枚入っていて、重みで封筒の下に落ちている…何かマスコットのような物が入っている。
「あ…分かりました」
「助かるよ」
ピンポーン。
星導の家のインターホンを鳴らす。いつもなら、応答してくれるはずだが…全く反応無し。うんともすんとも言わない。
玄関のドアを開けてみようと手を掛ける。アニメや漫画では、ここで鍵が掛かっていないというのが定義だ。まぁ、掛かってるやろと思ったのだが鍵が掛かっておらず、ガチャリとドアが開いてしまった。鍵がかかっていたら、言い訳としてポストに入れておけば良かったのだが。
「マジか~」
扉を開けてみる。相変わらず家のお手本のような、無駄な物が一切ない家だ。まるで生気がない。だが、一足のスニーカーが揃えておいてある。星導のスニーカーだ。
星導の両親も最低限の物しか買わないらしい。生活出来たらそれで良い。という感じだ。あんまり見たことないけど。
「お邪魔しまぁす…」
靴を脱ぎ、スリッパを履き、廊下を進み、階段を上る。ちょっと歩いてやれば、星導の部屋の前になる。夏の真っただ中で毎日猛暑と呼ばれる日々だが、この家の中は異様に冷たくてひんやりとしている。
部屋のドアに扉なんてない。ドアノブを軽く捻れば直ぐに開いてしまう。
「るべー?」
ドアを開けると布団の上にこんもりと布団で覆われた星導がいる。布団の端から薄紫色の髪がはみ出ていてドキリとした。
「まな…?」
「そうだよ」
ズビリと鼻を啜らせながら布団から顔を出した。目の下が真っ赤で腫れている。先ほどまで泣いていたんだろう。熱を持っている。
「まな」
「どうした?」
「俺のこと嫌いになった?」
星導はふえ、と顔を不安そうに歪ませた。俺が相手しているのは高校生なんかじゃなくて、小学生のように小さく感じた。俺が着いていないと、溶けて消えてしまいそういうだった。
「んーん、好きだよ」
「じゃあなんで避けたの?」
「まだ内緒」
今好きというのは何だか、違った。
星導の弱さに付け込むのは、嫌だった。
「あ、先生から封筒預かってて」
鞄からあの封筒を出す。すると星導はしー、と口に指を添えた。そして汚らわしい物を見るような目でその封筒を見た。
「…捨てといてもらえる?」
こそり、と耳打ちをした。
「大事な物じゃないん?」
「ん、いや、どうせ小型カメラか盗聴器」
「は?担任シバいとくわ」
「…ん」
安心したようにきゅ、と結ばれた口元が綻んだ。
よく見たら、頬に赤い手形が残っていた。内出血が起きていて、痛々しい。それに爪が引っ掛かったのか皮膚が少し裂けて、血が出ていた。
「どうした?この傷」
「えと、転んで」
「ほんとに?」
明らかに嘘だ。手形があるのだから誰かに平手打ちされたのは間違いない。すり、と撫でてみると痛いのかピクッと肩を震わせた。
「…研究所の人にぶたれて」
「研究所?」
「毎日健康診断して、血取って、変な薬飲ましてくる、俺の一番嫌いな人達」
驚いた。そういうのは漫画だけだと思ってた。実際に起きていていたなんて、知らなかった。しかも身近で。多分、非公式の研究所だろう。
世間に告発したら多分その研究所は潰されるし、研究員は逮捕される。そして星導も国のどこかの研究所に引き取られる。悪くて危険人物として殺される。
「逃げないの?」
「逃げる場所ない」
「俺は?」
星導の目がきらりと輝いた。
「…逃げる場所は、俺じゃ…ダメ?」
まるで、暗闇を迷っていた子供が光を見付けるように。
「負担になるよ」
「頼ってよ」
好きな人には頼られたい。
「厄介ごとに巻き込んじゃうよ」
「巻き込んでよ」
星導の事、全部知りたい。
「怖くないの?」
「怖くないよ」
星導と一緒なら。
「なんでそんな良くしてくれるの?」
好きなんだもん。
だけど、伝えるのはまだ先。
「俺ん家で遊ばない?」
「…遊びたい」
「帰ろ」
「うん」
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はぁぁぁぁぁぁああああもうほんと...大好きです 天才すぎます