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クソ長いです。それでもいいって人は読んでくださると嬉しいです
⚠︎死ネタ
⚠︎R-18シーン無し
⚠︎もしかしたら、誤字あるかも。
⚠︎太中
俺の誕生日が手前の命日になったのは、毎年鼻につく線香の臭いを嗅ぐようになったのは。
ケェキの味がしなくなったのは━━━。
いつ頃だったろうか。
パンッポートマフィアに出社すると風船の弾けるような音がすぐ側で鳴った。その音と共に大勢の声が広がる
「おめでとう!」
この状況に混乱し、少し声が詰まった。混乱しながら皆の様子を見ると皆おだやかな笑顔を浮かべてこちらを見ている。
どうすればいいのか思い悩み、引き立った笑みを浮かべた。
すぐ側に居た姐さんとふと、目が合った、姐さんは俺と目が合った事に気づき微笑んだ。
「き、今日ってなんかの記念日でしたっけ?」
その言葉を聴いた姐さんは目を丸くし、くすっと笑った。
「なにを云うておる?今日は中也の誕生日じゃろ?」
「え…」
無意識に小さな声が漏れる、姐さんは衣手で口元を隠しくすくすと笑っている。
すると足になにかが絡まった様な感覚が流れた。
「チュウヤ!」
「…エリス嬢!」
ラピスラズリのような眼にくるりと巻かれた蜂蜜色の金髪を揺らしながら俺の足に抱きついている。
「チュウヤったら自分の誕生日を忘れるなんておっちょこちょいね!」
腰に手を当て、少し前のめりになりながら俺に云った
「まぁいいわ!チュウヤ!少し目を瞑っててちょうだい!」
エリス嬢がそう云い、不思議に思いながらも目を閉じた。
暗闇の中でエリス嬢の甲高い声が少し俺の耳を通る。
少しの時間が流れるとエリス嬢が俺の手を引っ張り何処かへ移動させる。
「もういいわよ!」
その声と同時に俺が目を開けるると真っ先に少し不格好なホォルケェキが目に入る。
「こ、これは…」
エリス嬢が少し照れくさそうに頬を掻きながら云った。
「私とコウヨウで作ったのよ!」
赤色のふわりとしたワンピースを揺らしながら俺の近くへ来て表情を伺った。
少しばつの悪い表情をしていたのかエリス嬢の表情が少し曇った
姉さんの方を見るとニコニコ笑って首を傾げた。
「……でも、俺なんかが…悪いです…」
俺の言葉に皆が反応し沈黙が流れた。その静けさを遮るようにエリス嬢が云った。
「もう!そんな事云ってないで早く席に着くのよ!」
「でも…」
俺の心情を無視して、エリス嬢が「早く!」と俺の背中を押し、椅子へと誘導した。無理矢理椅子へ俺の体を押し付け、エリス嬢が満足したように満面の笑みを浮かべた。
エリス嬢も自分の椅子へ座り、「早くしなさい!」と皆を急かした。
その言葉に反応し皆が席へと座り込む。
皆が席についた事をエリス嬢が確認し、手を合わせる、それに皆がつられたように手を合わせた
「いただきます!」
エリス嬢の甲高い声にポートマフィア構成員達の少し太い声が混ざり合う
「ん!これ美味しいです!」
ケェキを一口、口に頬張り、俺が云う。それに反応したエリス嬢が椅子から身を乗り出し「本当!?」と俺に聴く。それに答えると満足した様な口ぶりで「よかったわ!」と云い、席に着く。
姉さんが「そうかえ?」と照れくさそうに俺に聴いた。俺が首を縦に振ると姉さんが安心したように表情を緩めた。
久しぶりにこんなに皆で騒いで、楽しかった
━━━はずだった。
皆で飯を食ったりして、騒いでた。すると首領が急に電話が鳴ったと云って少し抜けた。
特に気に求めずに他の連中と話してた。すると首領が俺の方に手招きをした。
なんだろうか、と思いながら首領の方へ向かった。
「なんですか?」
俺が聴くと首領は少し悲しげな顔で俺に云う
「云いにくいんだけど…」
「は?」
「太宰が…死んだ…?」
「太宰が死んだ?」
震えた声で首領に聴く。首領が少し間を置き、こくりと頷いた。
その真実が受け止められなくてその場に頭を抱えて座り込んだ。
首領が皆に伝えに行ったのか俺の目の前から居なくなった。隣の部屋からざわついた声が聴こえる。
姐さんが部屋に入ってきて背中を摩ってくれた。
それに続いて首領も部屋に入ってきた。首領が俺の目の前で立ち止まって屈んだ。
「…現場に向かおう」
「…はい…」
声が出ていたのかもわからないくらいに小さな声で返事をして、ふらつきながら立ち上がった。
現場に向かうとトラックが壁にのめり込んでいる姿、タイヤの急ブレェキ痕、血塗れの太宰、それが目に映った。
交通事故だったらしい。トラックの運転手らしき男が警察の側で場が悪そうにこちらを見ていた。
現場に向かうまでは夢だ、と自分に言い聞かせてなんとか正気を保っていた。でも、太宰の死体を目の前にして我慢していた涙がぼろぼろと目からこぼれ落ちた。
俺が地面に屈んでいると大きな声が耳を打った
探偵社の国木田、とか云う男だ
トラックの運転手の胸ぐらを思い切り掴み目にいっぱいの涙を貯めて大声で怒鳴っている。
それを止めるように敦が泣きながら震えた声で「国木田さん!」と敦が泣き叫び、運転手から国木田を離れさせようとしていた。
その時に「太宰さん!」と聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。振り向くと芥川が目を真っ赤にして泣きながら走ってきていた。
息を少し切らせゴホゴホと咳き込みながら辺りを見まわす。すると国木田と運転手が目に入ったのか目を見開いた。芥川はこれが自殺じゃねぇって事を知ってたのか真っ先に運転手の方へ走って行った。
国木田を払いのけ運転手に馬乗りになり顔面を殴った。
「お前が!!お前が何故生きるのだ!何故!太宰さんが死ななくばならないのだ!何故!何故!」
目から落ちた涙が運転手の顔に落ちる。
途中から警察が止めに入ったが芥川は羅生門で払いのけ、運転手を殴り続けた。
運転手の顔から血が流れ落ちる。
流石に止めねぇとと思い芥川の居るところへ歩く。
「やめろ」
芥川の手を掴み云った。
「中也さん…」
俺が「な?」芥川に云うと芥川の目から涙がぼろぼろこぼれ落ちた。顔を手で覆い涙を拭う。
犯人の上から退きふらふら立ち上がる。
「…すみません」
小さな声で、謝りで俺の横を通り過ぎた。
運転手の方を俺が見ると目が合い、運転手が少しビクついた。
俺は運転手の手を離し芥川を追う。
「太宰さん、太宰さん、太宰さん、太宰さん、太宰さん、…」
芥川がぼそぼそ太宰の事を読んでいる。
「太宰さん、何故、何故、貴方が死んでしまったら僕はどうやって生きていけと云うのですか?、貴方は僕を認てくださらなかった」
ぶつぶつと早口芥川が話す。
聴いてはいけないなと思って少し芥川から離れる
すると敦がしゃがんで泣き叫んでいる。
名探偵はその横で鼻を啜っていた。泣いたあとなんだろう。
探偵社んとこの社長は敦の背中を摩っていた。
誰かの泣く声、鼻を啜る音、もう地獄だ
「もう、やめてくれ」
声が漏れた。涙が目から落ちてきて止まらなくなった。その場に座り込んで声を押し殺して泣いた。
現場から帰ってくると誕生日パァティの飾り付けや料理がそのままになっていて、今日が俺の誕生日だったって事に気づいた。
ケェキが目に入って太宰が死んだ報告を受けた事を思い出して、太宰の死体、皆の泣き声、全部が頭に入ってきてその場で吐いた。
姐さん達が片付けてくれて、首領が部屋まで運んでくれた。
俺は少し首領と話をした後疲れ果てて寝てしまった。
「うう…」
深夜の2時くらいだったか、ふと尿意がしてきて、廁に向かった。ふと自宅と雰囲気が違うな、と思い、少しするとここがポートマフィアビルだって事を思いだした。
「あ、ここ、そっか…寝ちまったのか…」
独り言を呟き廁へ向かうすると外に芥川がしゃがみ込んでいた。仕事着のままだったから芥川も俺の同じ様な感じなのだろう
特に気に求めずに廁へ入ろうとした。
する芥川がぼそっと呟いた。
「廁ですか?」
死人のような、光の籠っていない目で俺を見る
「おう」
「そうですか」
少し掠れたような声だった。
「僕は、どうすれば良いのでしょう」
「太宰さんが死んで、僕は何の為に生きれば良いのでしょう」
芥川が目に涙を溜めて俺に云った。
俺はなんて答えればいいのかわからずに無意識に小さな声で
「俺もだよ」
そう呟いていた。
結局あの後俺と芥川は一言も交わさず廁を済ました。
妙に目が覚めて携帯で時間を確認した。すると、一件の不在着信が入っていた。
太宰からだった。
俺は繋がるはずのない番号に、何度も電話を掛けた。
何度も何度も電話を掛けた後、当たり前だが、一度も応答が無くて、本当に太宰が死んだんだと思って涙がまた出てきて、朝まで止まらなかった。
後日。
ポートマフィアは休みになった。あんな事があったんだ、気分転換に、と云うところだろう。俺はポートマフィアビルを出て自宅へ帰った。
自宅へ着くと一目散に、目に入ったのはドアノブに掛けてある見覚えのない小さめの紙袋だ。
なんだ、と思い中を見ると、白い小さな箱が入っていた箱を開けると一つのショオトケェキが入っていた。
誰からなのかと、中を漁ると一枚の紙が中にあった。そこには「太宰治」そう、描かれていた。
これは太宰が掛けたのだろう。俺が誕生日だから
か、だから、ケェキを買ってくれたのだろう。
部屋に入って中のケェキを取り出した。赤い苺の周りのクリィムが雲のようで綺麗なケェキだった。
フォオクを取り出し、一口、ケェキを口の中に頬張った。
甘くて、美味しい、最初はそんな感覚だった。
どんどん食べすすめていくうちに、太宰が死んだ時の事を思い出して、吐き気がした。でも太宰がくれたケェキだから、唯、それだけの理由で食べていた。
やっとの思いで食べ終わった後、猛烈に吐き気が催して、口の中に吐瀉物がはい上がってきて吐き出しそうになった。思い切り口を押さえてなんとか飲み込んだ。
口の中の感覚が最悪だ。吐瀉物の味、鼻に少し臭いが着く。
「さいあく…」
特になにも考えずに過ごしていると時刻はもう18時。ご飯なんて喉を通らない、立ち上がる気力もない。携帯を手にして、気分を紛らわそうとする、携帯を開くと一番最初に出てきたのは太宰の着信履歴だった。昨日電話を掛けた後寝落ちしたからだろう。
特に理由もないが、手が勝手に太宰に電話を掛けていた。
ツーツーツー、ただいま電話に出る事が出来ません
鬱陶しいアナウンスを無視して電話を切りまた掛ける。何度も何度も繰り返して、もしかしたら出るのかなと、あるわけもない事を期待して、ずっと掛け続けた。気づくと頬に涙が伝っていた。
後日。
今日はポートマフィア、探偵社、で太宰の葬式だ。探偵社の社長と首領が急ぎで準備をしたらしい。会場へ向かうと重い空気が流れていた。誰1人声を出すわけでもなく、唯、ずっと沈黙が流れていた。
太宰の棺桶に敦がへばりついて泣いていた。顔くらい見てやろうと俺は棺桶に近づく。敦がそれに気付き、ゆっくり立ち上がり棺桶から離れた。
太宰の顔を見ると、無表情だった。笑ってる様にも見えなくは無い、「死んだんだな」そう実感出来る様な顔だった。太宰の頬に触れると冷たくて、生きてる感じがしなかった。
その瞬間、会場の戸が大きな音を立てて開いた。音に驚き振り返ると芥川が立っていた。皆が黒服の中芥川だけは太宰に貰った外套で、いつもどうりの服装をしていた。
芥川が棺桶に早歩きで近づいてくる。俺が棺桶から少し距離をとると芥川は棺桶の中の太宰の顔に触れた。
「あぁ…お綺麗な顔です……太宰さん、……僕は貴方の為に、生きておりました。貴方はそんな事望んで無いなどと云うと思いますが…。僕の希望でした。なのに、死なれては…僕はどうやってこれから生きていけと云うのですか?」
太宰に震えた声で芥川が話しかける。
「あぁ……本当に、いつまでも、僕の話には耳を傾けてくれないのですね…」
それだけ云うと芥川が棺桶から離れた。
葬式諸々が終わった時、敦が俺のそばに寄ってきた。
「中也さん!」
作り物の様な笑顔で、俺の方へ走ってきた。
俺がそれに気づいて、立ち止まる、敦が少し首を傾げながら云った。
「少し、散歩しません?」
敦と俺で少し葬式会場の周りを歩いてた。話すことが無いからずっと無言が続いていた。その時に敦が「あの!」と、少し大きな声で云った。急だったから少し体をびくつかせる。「なんだ?」と云うと、敦が云いにくそうに口をもごもごさせる。
「あの…太宰さんの事なんですけど…えっと…」
敦が云う
「あの、太宰さんが、車に撥ねられた時、手に花束を持ってたんです。中也さん達が来たころにはもう回収されてたんですけど、それで、その花束が、中也さんに渡すものだったと太宰さんが云ってました」
「…は?」
余りの真実に驚きを隠さないで居ると敦が続ける。
「ケェキと花束を買って太宰さんが突然探偵社を飛び出したんです。国木田さんに呼び戻してこいと云われたので太宰さんを探しに行きました。外へ出て少し探すと太宰さんが花束だけを持って道を歩いてました。それに誰に渡すのかを聴くと「中也にね」って云ったんです。太宰さんは…中也さんを嫌ってたので、なんでかなと、変なイタズラでもするのかと思ったんです。でもその時の太宰さんの表情が照れくさそうで、ちょっと嬉しそうで、とてもイタズラをするようには思えませんでした。その後に太宰さんが「中也の誕生日だから」と」
敦が一度立ち止まり、俺の前に来た。
「太宰さんって中也さんの事が大好きだったんですね!」
敦が笑顔でそう云った。
「…え?」
小さな息のような声が出た。
「でも…そんな訳…」
上手く喋れない、震えた声が俺の口から漏れる。目から一筋の雫が頬を伝う。
「俺、なんかが…でも、」
敦が目の前でおろおろしてハンカチを渡してくれた。「悪りぃ」小さな声でお礼を云った、聴こえていたのかもわからないが。
「俺の事を、太宰が…?」
敦が頷く。
「きっと、僕がそう思うだけですけど。中也さんの事を太宰さんは好きだったと、僕は思いますよ」
「…、それだけ伝えたかったんです。大事な時間をすみません。」
敦が俺に頭を下げた。
「いや、ありがとう」
敦の顔がぱぁっと明るくなり「それならよかったです」そう云って俺に手を振って走っていった。
あれから、太宰が死んでからもう三年だ。少し季節も夏に近づいていく。
今日は俺の誕生日、4月29日、俺の誕生日で、太宰の命日、自分の誕生日を祝われる事も無く、太宰の墓に花を添え、大きなビルの階段を登っていく。
「うわ、高けぇな」
金属の低い柵を乗り越え、ビルの外側に立つ。
「こんなとこから飛び降りたらいてぇだろうなぁ」
柵のぎりぎりに立ち、下を眺めながら云う。下に居る人間が小さく、ぼんやりと見える。誰かが俺の事を指刺した。そのうちに沢山の人達が俺を見る、写真を撮っているやつも、「やめろ!」と大声で俺に訴えかける奴、沢山の人間が俺に視線を浴びせる。
「ごめんな」
そう小さく呟いた。何に誤っているのか、三年も太宰を待たせた事か、ポートマフィアの連中か、俺が死ぬ事にか、もう生きている間に答えが見つかる事は無いだろう。
そんな事を考えながら、俺は一歩を踏み出した。
主「終わりです、6,000文字行きました!自分頑張った。
ここまで見てくれた方ありがとうございます!」