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おひさまうどん
月みうどんと呼ばれているものがある
煮込んでいる最中のうどんに卵を落として
ぽってりどまんなかに月を浮かばせるやつだ
我が家ではそれの少し変わった版を作る
やり方は簡単で、出来たうどんに半熟卵を半分切ってのせるだけ。名は「おひさまうどん」
どうしてこんな名前になったかは母が前に話してくれた
私が小さいころ、テレビを見たのか「月見うどんが食べたい」といきなり言ってきたらしい
しかし、生の卵は全てゆで卵にしてしまっていて
たったひとつのゆで卵だけが残っていた
仕方なく、小さい器にうどんを作ってそこに半分に切ったゆで卵をのせた
すると私はこういったらしい「月じゃなくておひさまがのっているよ?」と
「そうだね、これじゃおひさまうどんだ」
母は苦し紛れにこう、返した
これが「おひさまうどん」の由来である
思えばこのうどん、変な時しか食べた記憶がない
卒園式の翌朝とか修学旅行から帰ってきた夜とか
一人暮らしで何となくさみしくなった時とか
そもそも卵がふたつあったらおひさまをふたつ食べちゃうことになるだろとかそんなこと言ったら月見うどんだっておひさま色だろうとか
考えてみたらキリがない
そんな時は佐良直美の歌を思い出す
「あしたはあなたに心を残し
あしたはあなたと別れる私
つめたい女だと人は云うけれど
いいじゃないの幸せならば」
そして今日もふたつのおひさまを
おいしくいただいている