こんな思いをするなら恋なんて知らなければよかったのに…
真緒視点
今日は日射しがきつい
幼馴染の凛月は大丈夫だろうか
そんなことを考えながらも俺の頭の中にはプロデューサーの顔が浮かんでくる
あいつも仕事のしすぎでぶっ倒れていないか心配だ。
このあとはあいつに俺たちのレッスンを見てもらえるから差し入れでも持っていこう。
『衣更くん?』
その瞬間俺の心臓はいきなり早く動き出した。
その声の正体は…
『うわっ!?プロデューサー!?』
『ふふっ、偶然だね!』
『あ、あぁそうだな』
この心臓の音はプロデューサーには聞こえてないよな?
最近はずっとそうだ。プロデューサーを見かけると心臓の音が五月蠅くなる。前に何かおかしいのかと思って凛月に相談してみたら
『プロデューサーのことが好きなんじゃない』と言われた。
俺がプロデューサーのことを好き?そこで自覚した。そうか。俺はプロデューサーのことが好きだったのか。そう自覚してからはそれまで以上にプロデューサーと会話するときに緊張してしまう。どうかばれないでくれよ〜!?
『…くん!』『…さらくん!』『衣更くんっ!?』
『!?な、何だ?』
『いきなり黙り込んじゃったから体調悪いのかと…』
『いや!全然平気!』
『そう?なら良かったけど…』
『熱中症とかになっちゃったら大変だし気おつけてね?』
『おう!ありがとな!』『ついでにスバルたちに飲み物買っていくか!』
『そうだね!』
凛月視点
あれ…?涼しい
ここどこぉ?
『あ、くまくん目ぇ覚めたぁ?』
んー…?俺は幻聴を聞いてるの?なんかセッちゃんの声がする。さっきまできつい日差しの下にいたからかなぁ…
『ちょっ!?起きてるんだよねぇ!?』
『あれ?幻聴じゃない?』
『はぁ?なに言ってんの?』『あんたがフラフラ歩いてたから助けてやったんでしょうが』
『あ、そうだった』『ありがとう、セッちゃん』
『ん、それで?なんで日射しが苦手なくせにあんなところにいたの?』
『それは…』
その理由はわかりきっている。
俺の好きな人。大切な幼馴染にされた相談が原因だ
回想
『…なぁ、凛月』
『んー?どうしたの?ま〜くん』
『ついに俺と結婚する気になってくれた?』
『そうじゃねえよ。そもそも法律的に無理だろ笑』
『そんな冗談は置いといて―』
俺にとっては冗談じゃないんだけどなぁ…昔からずっと一緒にいて、文句を言いながらも俺のお世話をしてくれる。そんな人を好きになるなっていうほうがきつくない?
『おい凛月〜?聞いてるか?』
『ちゃんと聞いてるよ〜♪』
『それでさ、俺なんかおかしいんだよ』
『ん?いきなりどうしたの?』
『プロデューサーを見かけると心臓の音が五月蝿くなるんだ』『これってなんなんだろ?』
…は?それって…
『ま〜くんはプロデューサーのこと好きなんじゃない?』
こんなことがあるなんて思いたくなかった。でも今までのま〜くんを見てると怖かった。お願い、否定してよ…
『そう、なのかもな…』
っ…ま〜くんには好きな人が出来ちゃったんだね。そりゃ俺より女の子のほうがいいか…でも辛い…
『あっ!俺このあと予定あるんだった!』『相談乗ってくれてありがとな!凛月!』
『…うん』
~~
『なるほどねぇ』『それであの状況ってわけ』
セッちゃんは俺の話を最後まで静かに聞いてくれた
『俺にはくまくんの気持ちとか100%わかるわけじゃないけどさぁ?』『取り敢えずはくまくんの好きなようにやったらいいんじゃない?』『諦めるんだったら諦める、諦めないんだったら諦めない』『どちらにせよ俺は応援してあげるから』
『セッちゃんが優しい〜?』『明日雪降らないよね?』
『人が真面目に言ってあげてるのにその態度は何ぃ!?』
『ふふっ笑』
セッちゃん、真面目に言ってくれてありがとう。でも冗談でも言わないと涙が零れ落ちちゃいそうだから…
プロデューサー視点
最近仕事が忙しい。MDMも無事終わったから良かったけど波乱続きで正直しんどい。そんなときは大体ESのピアノのあるレッスン室まで行く。そこにはよく凛月くんがいてピアノを引いてくれるから。それを聞いていると落ち着くし作業もはかどるんだよね。でもあいにく今日は居ないみたい。残念だけど仕方ないよね。そんなこんなでシナモンでゆっくりしてたんだけどこのあとTrickStarのプロデュースがあるからそろそろ行かなきゃ。あれ?あそこにいるのは衣更くん?せっかくだし話しかけに行こ♪
『衣更くん?』
『うわっ!?プロデューサー!?』
ふふっ笑すごく驚いてる。あれ?でも黙り込んじゃった。どうしたんだろ?体調でも悪いのかな?
『衣更くん?』
呼びかけても返事がない。もしかして熱中症!?だとしたら大変だ。このあとのプロデュースどころの話ではない
『衣更くん!』『衣更くんっ!?』
『な、何だ!?』
良かった。体調は悪くないみたい。ならどうしていきなり黙り込んじゃったんだろう?まぁ、そんなことを考えるのは後でもいい。今は仕事のことを考えておこう。
『それじゃあ今日もレッスン頑張ろうか!』
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