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彼女は夢を見ていた。その夢の中での風景や、物はとても幻想的__と言えるまでも無く現実に近しい物だった。よく晴れていて空は青く、雲は集中的に集まっている所もあれば小さくちょこんと居る雲も。暖かそうに見えても吹く風はつんと肌を刺すように冷たい。…あれ夢の中のはずなのに感覚がある、するとなにかの音が耳に入り込む。
“ ピピピッ ピピピッ … ゞ ”
その音はけたたましく部屋に響き渡る。
「うるっさいなあ…」
軽く呻きながら文句を言い、まぶたを開き、我慢しようとしたあくびを漏らした。そして部屋中に鳴り響くスマホのアラームを止める。カーテンを開け太陽の日差しを浴びながら、そのスマホを手に取りいつも通り時間を確認した。 朝 7時46分 。私は目を見開き再度時間を確認した。 朝 7時47分 。変わらない、いやむしろ時間が経っている。私は息をはぁっと呑み、急いで支度をする。
「やっば!遅刻する!」
そう大きく叫んでは、得意なのかってぐらいの早着替えをし、自身の部屋から飛び出る。走って階段まで行くと見事に転びズデーンっと階段の下へと転がり落ちる。打ちどころが悪かったらヤバいが、なぜか怪我をせず、何事も無かったかのように立ち上がり玄関へと走った。すると母親らしき人の声が耳に入り込む。
『かなちゃ〜ん?朝ご飯ぐらい食べなさい?』
朝飯、すっかり忘れていた。寝坊してしまったこともあって、慌ただしく準備をしていたら、いつの間にか食事を取る時間がなくなってしまっていた。急いで食べて家を出なければならない。今日は連休明けの学校、遅刻は避けたいし、何よりお腹がすいてきたので少しでも食べてから家を出よう。朝食を抜くと午後まで持たないし、集中力も欠けてしまうから、なるべく早く食べて出発しないと。時間がないが、朝のエネルギーを補給することは大事だ、落ち着いて食べることにしよう。
「はーい」
椅子に座り、食卓に並んだホカホカの白米、カリカリの唐揚げを見つめながら手を合わせて「いただきます!!!!」と元気に述べ、ガツガツと食べ進める。この組み合わせは最高、異論は認める。そう頭の中で呟きながら朝ご飯を食べる。__「ごちそうさまでしたァ!!」その言葉も元気に言っては、水を飲み椅子から立ち上がる。するとまた母親が口を開き述べた。
「弁当作るの時間かかるからこれ、使って食堂で食べなさい」
と財布から5000円分の1000円5枚を取り出し、私に渡す。なんて太っ腹なのだろうか、これほどいい母親が居るのか。と頭の中で思いながら、自分の財布にその1000円5枚を入れた。念の為また時間を確認してみると、 8時03分 。その時間を見るとまた焦りが湧いてきた。私は急いで靴を履き、こう言った。
「行ってきま〜〜す!!!!!!」
そう言い残し、家を飛び出た。
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コメント
8件
初コメ失礼します! すこーんさんや葬矢さんが紹介していたので、見に来させていただきました! 小説書くの上手すぎっす…! 読者を引き込む?ような書き方、凄いです!
これが5分で、8話書いたバケモン、、
ええ、 フォローしてくれてありがとうなんですけど。 小説凄すぎませんか!?!? 語彙力やばすぎてもうやばいです💦💦💦