.
8時16分 __ 。
息を切らしながらも全速力で走る。風を切って走るその感覚が、少しだけ心を軽くしてくれる気がした。あ、勿論だが、信号はきちんと立ち止まっている。これは当たり前のことではあるが、焦っている時こそ無意識に抜かりが出そうになるものだから、改めて気を引き締めた。急がなければならないという思いと、でも安全第一という考えが頭の中で交錯する。幸い、電車で遅れてしまう心配もなく、走って到着できる距離であることに、心の中で改めて感謝を感じる瞬間があった。もしこれがもっと遠い距離だったら、今頃は間に合わなかったかもしれないし、もしかしたら更に焦って転んでしまっていたかもしれないと思うと、少しホッとした。そして、自分にとっては意外と走ることが心地よいと感じ始めていた。しばらく走ると、ようやく学校が見えてきた。あの大きな校舎が遠くに見えると、少し安心した。あと少しだ。胸の鼓動が高まりながらも、なんとかペースを維持して走り続ける。もう少しでこの日の目的地に到達できると思うと、疲れが少しずつ薄れていった。
「はぁ゙ッ はーッ!キツイキツイキツイ!!体力持たないって!」
と、述べ、やはり先程の心地良さもここまでのようだった。体力が限界に近づき、今やただの”キツイ”状態に変わってしまっていた。息が乱れ、若干過呼吸気味になりながらも、なんとか足を動かし続ける。呼吸がうまく整わず、胸が苦しくなりながらも、ひたすら目の前のゴールを意識して走り続けるしかない。そんな時、ようやく前方に見えてきたのは学校の門、そのすぐ近くに立っている先生の姿だった。それを見た瞬間、心の中で よし、あと少しだ! と気合いが入り、すぐに再度息を整えた。時間的にもギリギリだと感じた瞬間、思わず 絶対に間に合わないとまずい! という焦りが押し寄せる。それならば、もう本気を出すしかないと決意を固め、再び走り始める。さっきよりもさらに速く、これが最後の力を振り絞る瞬間だと思いながら、全力で走る。足が重く、息も荒くなりながらも、その先に見える門へ向かって必死に進んでいく。途中、何度も足を止めたくなったが、それを抑え込み、ひたすら前へ。目的地が目の前に迫るたびに、力が湧いてくるような感覚があった。そして、
「はいっ!せーぇふ!!!」
.
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!