テラーノベル
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水×青
🤪「……っし、もう一軒……行くかぁ、ほとけ」
💎「いふくん、もう無理だってばぁ。ほら、足元見て? ぷるぷる震えてて生まれたての小鹿みたいだよ?」
居酒屋の重い扉を押し開けると、夜の冷気が一気に二人の頬を撫でた。
店内のがやがやとした喧騒から一転、静まり返った路地裏。いふは、ほとけの肩にどっしりと腕を回し、自分の体重を預けるようにしてふらふらと歩き出す。
🤪「……んあー、飲んだなぁ。今日は……ブルーハワイ……何杯飲んだっけ……」
💎「数えるの諦めたよぉ。青いお酒ばっかり飲むから、いふくんの舌、今真っ青だよ? べーってして、べーって!」
🤪「ええやん、イメージカラーやし……。……うっ、げふっ」
いふが盛大に千鳥足を踏み、ほとけが「おっとっとー!」と叫びながらそれを必死に支える。
そんなやり取りをしながらしばらく歩いていると、いふの動きが急に止まった。
🤪「……ん。……あー……。ちょっと待て、ほとけ。ストップ」
💎「え、何? 急に。気分悪い? 僕の華麗なステップについてこれなくなった?」
ほとけが顔を覗き込み、いたずらっぽく笑いかける。
だが、いふはそれを力なく手で制すと、焦点の定まらない目でじっと近くの自動販売機の影、薄暗い植え込みを見つめた。
🤪「……いや……出す方は出す方でも、上やなくて……下や」
💎「はえ……?」
🤪「……ちょっと、放出(だ)してくる」
いふは、ほとけの肩から腕を外すと、ふらふらと自販機の裏の暗がりへと吸い込まれていった。
💎「はぇぇ!? ちょっと待っていふくん! ここ道端だよ!? 恥ずかしくないの!? すぐそこにコンビニあるからぁ!」
ほとけが焦って声を上げるが、泥酔したいふの耳には届かない。
いふは壁に手をつき、おぼつかない手つきでズボンのベルトに手をかける。
🤪「……んー、もう限界。……誰も見てへんって……」
💎「見てるよ! 僕が特等席で見てるよ! ほら、チャック下ろさないの! 警察官に捕まってもしらないからね!」
ほとけが周囲をキョロキョロと見渡し、人が来ないか冷や冷やしながら、半ばパニック状態でいふの背中をペシペシと叩く。
しかし、いふは頑として動かない。それどころか、解放感に先走った指先が、無情にもファスナーを引き下ろした。
🤪「……あ…………ふぅ…………」
直後、静まり返った夜の闇に、生々しい音が響き渡る。
――じょぼぼぼ、じょぼっ、じょぼぼぼぼ……。
アスファルトの隅、植え込みの土を激しく叩く、湿った重い音。
💎「……うわぁぁぁ、本当にやってるよぉ……。信じられない……。いふくんのイメージが、じょぼぼぼって流れていく……」
ほとけは泣きそうな顔で耳を塞いだ。
だが、そんな相棒の動揺などどこ吹く風。いふは、夜風に身を委ねながら、この世の苦しみから全て解放されたような、恍惚とした表情を浮かべている。
じょぼぼ、じょろろ……。
静かな夜の路地裏に、その音だけがやけに長く、執拗に響き続けた。
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