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看護師めっさ話します
あの日から夢を見る
バジさんと3人でお店を営んでいる風景を
バジさんが猫と遊んでてそれを見た一虎クンがバジさんに悪戯をして少し喧嘩になって、それを見た俺がちゃんと仕事しろ!って怒ったら不満げに返事しながら仕事に取り掛かる変哲もない日常。お客さんが話しかけて来たらとても楽しそうに話してる。その楽しそうな笑顔に触れようってしたら
もう夢は終わってて寝室の風景が目に入ってる。うるさく鳴り響く目覚まし時計を止めたらまた始まるって思って、昨日と同じような日常を繰り返す。
病気が発覚して1ヶ月半。あれからこれといった変化は無いけど、ボーッとする事が増えた。仕事以外だから大丈夫だったけど皿割ったから一虎クンに馬鹿みたいに怒られた。
_”あの夢”を見てしまったせいで奥に埋めていた感情がまた起き上がってきて、胸がザワザワしてる。苦しかったりはしないけど夢を見て、帰ってきて欲しくて、でも帰ってこないから泣いちゃって、情緒が段々と可笑しくなってきて、病気の薬を必要ない時に飲んだりしちゃうから一虎クンに没収された。
過剰摂取を何度かしちゃったから薬も少なくなったって言われて、飲む回数減らして、具合が段々と悪くなって、吐き気とか目眩とか意識遠のきそうになったりとか体調面も見れなくなってきたりして。
「千冬、大丈夫か?」
「…大丈夫です。少し疲れたみたいなんで、奥の部屋で休みますね」
そう言って奥の部屋にへと足を運ぶ。
固いソファーに体を置いて、目を瞑る。少ししたら夢の中
___にはなら無かった。
あの夢を見てしまうから数分おきに目が覚めてしまう。
その夢が見る度に変わっていって、最初はペットショップだったのに途中から昔の光景に変わって何処かと思えばあの抗争の日で見たくなくて目が開いちゃってもう一度眠ればまた違って、次はバジさんだけが出てきて、
「ごめんな、千冬」
「先に逝っちまって」
「ちゃんと飯食ってっか?お袋元気にしてっか?」
最初は申し訳なさそうな悲しい笑顔だったのに話すにつれて明るくなってく笑顔が見ていれなくて起きたらもう目の前には貴方は居なくて、
もう1回寝ようとするけど眠れなくて
「アンタが先に逝ったから…悲しいんだよ」
バカヤロー
1人寂しい部屋で小さな声が響いた。
目元は腫れていた
「最近の体調はどうですか」
3ヶ月に一度の病院に行き、レントゲンを撮った後看護師にそう聞かれた。
「病気が発覚してから好きだった人の事思い出して情緒が可笑しくなりました」
そう真面目に答えると
真面目ですねって看護師に笑われた
「好きな人って時には心の支えになったり時には心の邪魔をしてきますよね」
資料をまとめながら言われた。その言葉を聞いて俺は確かにって内心頷いた。
12年前に起こった関東事変の時は挫けそうでもバジさんの事思い出して心の支えになったし、けど今は思い出して悲しさが込み上げてきて心の邪魔になっちゃって、
悲しい
っていつでも思える人間になりたいって思う
「俺、”悲しい”ってちゃんと思えてんのかな…」
「え?」
ボソッと言ったつもりが聞こえてたらしい。作業を止めて看護師がこちらを向いてきた
「…好きだった人12年前に亡くなってるんです。今、邪魔だなんて思ってしまうとちゃんと俺は”悲しい”って思えてんのかなって思って」
「思えてますよ。ちゃんと」
今度は俺が看護師を向いた。看護師の目は真っ直ぐでどこか悲しそうだった。
「私もこの職に就く前、最愛の恋人を亡くしたんです。悲惨な事故で。悲しくて、この仕事の資格もあの人が1番応援してたけどいなくなって価値が無くなったんです。その度に元気なあの人思い出して思っちゃったんです、邪魔って」
「……」
事故死なんて可哀想
そう他人事に思ってしまった
他人事ですよね
そう看護師に言われた途端、心が読まれてると思って肩を大袈裟に揺らしてしまった
「それからは察して下さい。今の私を見て」
「……、耐えたんですか」
「耐えたっていうか”彼の為”では無く”自分の為”と頭をスイッチさせました」
頬を掻きながら照れて笑う看護師。
その姿はどこか貴方に似ていた
「悲しいって思えてなくても大丈夫ですよ。人間、そんな感じですから」
そう言われたら
「悲しいって泣いた時に1番思います」
「…………そうですね」
俺を見た看護師の顔はぼやけてよく見えなかった
頬に1粒水が落ちた
_____
「病気の進行はやや遅めです。」
「もしかすると完全とは言えませんが止める事ができるかもしれません」
「、ホントですか?」
医者から言われた喜の報告。
色々あったけど進行は遅らせる事は出来たらしい
「また薬出しておくんで、3ヶ月にまた」
「はい」
その日の帰りは足並みが軽快だった
続く
なんか気分で長くしてたら長くなりました