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瑠奏
18
#隠し子
団子🍡
38
ばななぁ🍌
78
イングリッドはスーツケースを片手に入国審査の列に並んでいた。
周りは夫婦や家族連れ、老人などが並んでいて、どこを見渡しても自分と同じように16歳で一人でドイツに来た者はいなさそうだった。
イングリッドは首にかけられたネックレスを強く握る。それは母の遺物だった。
イングリッドの母は8歳で亡くなり、生まれ故郷であるスウェーデンに埋葬された。その後は孤児院で暮らしていた。だがある日、イングリッドは夜中に職員の目を見計らって孤児院から逃げ出した。そのきっかけは本当に些細なものだった。数ヶ月前、イングリッドは長い長い夢を見たのだ。夢には亡くなった母が出てきていた。ベッドの上を覗くまだ少し幼い私の頭を優しく撫でてくれる、まだ病気が悪化して窶れる前の、笑顔の美しい母だった。その隣でずっと母の手を握っている男がいた。その男は私の頬をちょんとつついて笑っている。わけが分からない状況だが、夢の中の私は確かに笑っていた。
そこで目が覚めた 。孤児院のみんなが心配そうに私のベッドに集まっていた。ある子は「大丈夫?寝言が凄かったよ。」と言い、また別の子は「心配だよ、インガが丸一日も寝ることなんてありえないよ」と言った。時計を見てみれば、ありえない時間だった。いつもは寝れないと言って布団の中で絵を描いていたイングリッドがこんなに長く寝るなど皆にとっては異常だった。
それ以降もあの夢が忘れられず、孤児院に来た時一緒に持ってきたらしい小さな箱を開いた。理由は分からないが、開けろと直感が告げていた。そしてその箱には、母と思われる者からの手紙と写真が入っていたのだ。それには、母と父らしき者と、幼い頃の私が並んで写る古い写真と、手紙には「幸せになってね、インギ。」とだけ書かれていたのだ。そして下に小さく手紙の主の名前が書かれていた。そこで私は思い出したのだ、母の名前を。カリンだ。私の母の名はカリンだ。
私はすぐに“ママ”に自分の祖父母は何処にいるのかを聞いた。最初は戸惑っていたが、住所の書かれた紙をくれた。そしてすぐに外出届を出して祖父母の家へ向かった。そして両親についてを沢山聞いた。だが、祖父母は父親についてはほとんど語ってはくれなかった。ただ一つ、ヘルマン・ゲーリングという名前だけを私に教えてくれた。帰り道、イングリッドは久しぶりに母の墓に足を運ぶことにした。孤児院に来てすぐに脱走して、母の墓へ向かった時交通事故に遭ってしまったことしか聞かされていないのだ。私自身、事故の影響で記憶が本当に曖昧だった。私は祖父母にすぐに聞いた。「お母さんのお墓はどこ?ここにあるはずなのに!」と。祖父母は静かに言った。墓はドイツにあると。
ドイツに旅立つのを決意するのに時間はかからなかった。父も名前からしてドイツ人だった。母の墓を探しに、そして父を見つけにドイツに行くことにしたのだ。恐らく1週間ほど帰らない。友人に止められたが、だからといってスウェーデンに留まる訳にはいかないのだ。せっかく母を思い出したのに、今更取りやめるなど有り得ない。
深夜に私はスーツケース片手に孤児院を飛び出し、寝台列車に乗り込んだ。そしてフェリーにも乗り、ついにドイツへとたどり着いたのだった。はじめての外国、はじめての一人旅、はじめてのドイツ。イングリッドは、意気揚々と降り立ったのである。
コメント
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第2話、読みました…!イングリッドが孤児院を抜け出してまで母の足跡を追う姿、すごく響きました。夢で見た「笑顔の母と父」の記憶が彼女の原動力になってる感じが切なくて。夜中に飛び出すシーン、背中を押される気持ちになりました。次の展開が気になる…!